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まさかのドルオタへ

二次元オタクが三次元アイドルの推し活をする話。

「やっぱりかっこいいなー。」

 画面に映る姿をツーっと指でなぞりながらひとり呟く。


 まず第一に顔が好き。


 キリッとした眉に、パッチリとした二重の目。マッチ棒が乗りそうなくらい長い睫毛。口元にあるホクロも最高に好き。


 次に声。


 可愛い見た目に合う、男性にしては少し高めの声。でも聞いてて心地の良い声。この声で名前を呼ばれたらどれだけ幸せなんだろう――。


「はぁ!絶対に落としたい!!!」


 ゲーム画面に表示される選択肢を見ながら考えを巡らせる。この選択を失敗すれば今まで頑張って上げた好感度が全て無駄になってしまう。


 攻略ルートを調べるか、いや、自分の力で落としてこそ真のオタクだろ。





 新名にいな久美(くみ)。17歳、高校二年生。見てわかる通りただのオタクである。


 現在人気乙女ゲーム"きみと巡るラブトリップ”、通称ラブトリに勤しんでいる。6人のイケメンと様々な場所をタイムトリップし好感度を上げていくゲームだ。


 私の最推しはきゅるんと可愛い系のトール。王道可愛いキャラで一番人気である。


 友達から、あんたの好きそうなキャラいるからやりなよと言われ半強制的に押し付けられたゲームだったがまんまとハマってしまった。


 オタクは推しに弱いし、きっかけがあればすぐに沼へ落ちていく性なのだ。


 さて、手元にあるラブトリはストーリー上一番大事なシーンを迎えている。


 今までみんなで仲良くタイムトリップをしていたのだが、チーム内で揉め事が発生しタイムトリップ終了の危機を迎えているのだ。選択を間違えばトールと離ればなれになってしまう。


 考えを巡らせろ久美。

 今まで伊達にオタクをやってきていないだろ。

 今こそ適切な選択をするのだ!





「んー……こっち!」





 《きみとはここでお別れだね、残念だよ。―BAD END―》




 ………………。


 え???




「……!!イヤァァァァァァ!!!!!なんで!?どうして!?めちゃくちゃハッピーエンドな流れだったじゃん!!トール!!てか、撃たれたんだけど!?」


 予想外の方向へ物語が進み、最推しから銃で撃たれてバッドエンド。

 急な銃……、ヤンデレか??デレはなく撃たれたが。


 こういう時に限って、新章に入ってからセーブをしてない。BAD ENDと表示されたモノクロの画面を見つめながら頭を抱える。


 突然娘から発せられた断末魔の叫びに一階から母の怒る声が聞こえるが、今はそんな事を気にしていられない。最推しルートをバッドエンドで終えてしまい立ち直れそうにない。


 セーブしたところから再開すればいいじゃんって?それはそうなんだけど違うの。出来れば一度でハッピーエンドを迎えたかった、なんたって最推しルートだから。


 もう今日はやる気が起きない。いつもより重たい気がする体でベッドから起き上がりノロノロと歩き出す。


 一旦お風呂に入ろう。現実から目を背けたい。


 二階の自室から一階の浴室を目指し階段を降りてリビングへ向かう。我が家はリビングを通らないと浴室へ行けない仕様だからだ。


 リビングへ降りると、母はドラマを見ているようだった。

 ふとテレビに目を向ける。






 ――――雷が落ちた。






 この衝撃を表現するのに一番しっくりくる言葉だ。


 先ほどまでのショックは何処へやら。

 私の心は一瞬にしてその人に奪われてしまった。


 やや垂れ目のくっきりとした二重。

 男らしいしっかりとした眉。

 黒髪短髪、センター分けのイケメン。


「お、お母さん!この人誰!?」


「びっくりした、あんたいたの?」


「今下りてきたの!じゃなくて!このめちゃくちゃかっこいい人誰!?」


 テレビに映るそのイケメンを指差しながら母に詰め寄る。迷惑そうな顔をされたが関係ない。


 今はこの人の名前を知りたい。


「え〜?誰か分からないわよ。」


 母曰く、今日ドラマに初登場した人らしく名前は分からないらしい。


 ドラマの名前を母に聞きスマホで検索をかける。出演者一覧を見つけ、ひたすら名前を検索欄に打ち込み出演者の顔写真を確認していく。





 見つけた。





「せりざわ、ちか……。」




 検索して出てきたトップページを見ると名前の隣に"アイドル”と記載されており、興奮した頭の中でアイドルならあのかっこよさも納得だわ、と冷静に考えている自分がいた。


 俳優ではなくアイドルらしいその男は、画面の向こうで無邪気に笑っている。




 今日、この時まで三次元になんて興味はなかった。


 かっこいいと言われる俳優も、今イチオシなんて言われてるアイドルも。


 だって二次元のキャラの方がかっこいいから。


 なのに。


「かっこよ……。」


 推しキャラバッドエンドのショックを吹き飛ばすくらいの衝撃だった。


 私の大好きな王道な可愛さ満載の顔ではなく、可愛い中にも男らしさを感じる造形。


 本来なら好みではないはずなのに。


 誰かが言ってたな、二次元で好きになる顔と現実で好きになる顔は違うって。


 まさに、この事か。



 新名久美。17歳。


 物心ついた時から二次元一直線だったオタクですが、本日を持ってドルオタへ転身します。



はじめまして、読んでくださりありがとうございます。

推し活をする話を書きたいと思い立ち衝動的に書きはじめました。

誤字や、読みにくい箇所もあるかと思いますが暇つぶしにでもなれば幸いです。

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