第2話 見なかったことにした恋
あなたは恋愛や結婚のとき、周りから「やめとけ」と言われたことはありますか?
祖母、親戚、友人、そして占い師まで。
私の恋には、あらゆる方向から“レッドカード”が突き刺さっていました。
でも当時の私は、完全に恋愛ハイモード。
赤信号すら全部「青」に見えていたんです。
-今回は、止まれなかった私の恋と、見なかったことにした警告たちの記録です。
**祖母の第一声はまさかの「やめとけ」**
「あんた、その結婚、やめたほうがいい」
祖母の第一声が、これでした。
もちろん、どんな家庭にも面倒ごとは一つや二つあるもの。
でも私の結婚相手の実家は、ちょっとやそっとじゃ語れないレベル。
むしろ“シーズン制ドラマ”で何年も続くやつ。
今思えば、結婚してからトラブルが始まったわけじゃありません。
結婚前から、もう片足は泥沼に突っ込んでたんです。
(しかも自らズブズブ踏み込みタイプ)
**恋は盲目、警告は聞こえない**
夫とは5年交際してゴールイン。
その間、彼は時々こう言っていました。
「うちの親がね〜、ちょっとね〜」
……と、やや濁す感じで。
でも当時の私は完全に“恋は盲目”モード。
「親なんて関係ない! 本人さえ良ければ!」
はい、若さって素晴らしい。無敵です。
(無敵と無知は一文字違い)
**祖母の“地元聞き込み調査”**
そんな私にブレーキをかけたのが、母代わりに育ててくれた祖母。
結婚の報告をして数日後、祖母は神妙な顔でこう切り出した。
「あんたの彼の家……あんまりおすすめしないわね」
なぜそんなことを?
実は祖母、自分の足で夫の実家近所へ“聞き込み”に行っていた。
その行動力たるや、刑事ドラマの張り込み並み。
近所の八百屋やクリーニング屋に世間話を装って質問。
そして極めつけは、兄の同級生のお母さん宅に偶然立ち寄ったこと。
お茶をすすりながら世間話をしていると、そのお母さんが声をひそめた。
「あそこのお兄さんね、ちょっと変わってるのよ。今は働いてなくて、夜な夜な遊び歩いてるらしいわよ」
この“ちょっと変わっている”がどれほど深刻なのか、祖母は最後まで語らなかった。
ただ、その目は明らかに「やめときなさい」と言っていた。
……とはいえ、そのときの私は、頭の中で白いドレス姿の自分がバージンロードを歩く映像を再生中。
(字幕:※周囲の警告はすべて消音)
**占いでも“レッドカード”**
ある日、私は友人に誘われ、よく当たると噂の「新宿の母」の元へ。
どこのデパートだったか忘れたけれど、その横の狭いスペースには長蛇の列。
占いは夕方5時から夜11時まで。
私たちは午前9時から並び始めたけれど、順番が回ってきたのは夜8時。
(この時点で運命より忍耐力を試されてる)
やっと順番が来たかと思ったら、占い師は私の手を見て間髪入れずこう言った。
「今付き合っている人がいるなら別れなさい。あと二年待てば、あなたに合う人が現れるから」
……あと2年?
そのとき私は心の中で叫んでいました。
「2年待ったら27歳になっちゃうじゃないの!」
当時はまだ“クリスマスケーキ理論”が幅をきかせていて、
23・24歳は「予約殺到」、25歳は「値下げシール付き」、26歳になると「半額コーナー直行」と言われていた時代。
27歳になったら……もうショーケースの奥で、店員さんすら見向きもしないケーキ。
(せめて“本日のおすすめ”って札くらい立ててほしいのに。)
さらに畳みかけるように――
「あなたは強い運気を持っている。でも彼は“停止”の運気。今結婚したら、あなたの足を引っぱるよ」
はい、次の人。
……ちょっと待って。停止って何?
(赤信号? フリーズしたPC? それとも“人生バッテリー切れ”?)
しかも秒で診断&秒で終了。長時間待った私の立場よ……
背後から押されるように席を立つ私。
長時間並んだ分、物足りなさと損した感がじわじわ押し寄せたけれど……
今、ふと思う。
「……あの占い、当たってたのかも?」
**私の恋愛方程式(帳消しバージョン)**
「足を引っぱる」と言われたけど、そのときの私は、“帳消しの法則”を頭に浮かべていた。
「私が強運、彼が悪運なら……足して“普通の運”になるよね?」
私の中では、こういう計算式が成り立っていたのだ。
・「財布落とした(−)+交番に届いていた(+)=奇跡的ゼロ」
・「夫がギャンブル負けた(−)+義母が“まあいいわよ”で補填(+)=家庭崩壊ギリ回避ゼロ」
・「電車に財布忘れた(−)+隣の人が“落ちましたよ”で返却(+)=結果オーライゼロ」
……要は、マイナスとプラスで帳消しにできる、と信じていたわけです。
「そんな“ご都合方程式”を胸に、私は結婚へと突き進んでいった。」
“波乱強運”という呪文
そのときふと思い出したのは、中学時代の担任の一言。
なぜか“手相”が見える人で、私にこう言った。
「あなたは波乱万丈。でも強い運を持ってる。面白い人生になるよ」
加えて、山口百恵と同じ手相と言われ、テンション爆上がり‼
(この時点で“百恵コース”確定の気分)
**……この言葉が、私の背中を押しました。**
でも今なら言える。
“波乱”って、本当に“波が乱れる”って書くんですね。
船酔いするレベルで。いや、むしろ沈む勢いで。
(しかも救命胴衣なし)
でも大丈夫。私は“強運”だから立ち直れる……はず。
たぶん。
こうして私は「普通の運」に望みをかけた。
結果?
はい、見事に波乱スタートです。
今思えば、あの頃の私は“止まれ”のサインを片っ端からスルーしていました。
祖母の忠告も、占い師のレッドカードも、きれいに聞き流して。
結果はもちろん、波乱の幕開け。
でも -予定調和じゃない人生って、案外おもしろいものです。
少なくとも今こうして笑って書けているのだから。
さて、ここであなたに聞いてみたいのですが――
恋愛や結婚で、周囲から「やめなさい」と止められた経験はありますか?
その声を聞き入れましたか? それとも、私のように突っ走りましたか?
ぜひコメントで教えてください。
1話はこちら↓
https://ncode.syosetu.com/n9612kz/1/
次回はついに義兄が本格登場。
“エリート”のはずが“花婿修行中ニート”へ転落し、
さらに借金・サラ金・取り立てと、我が家を直撃するサスペンス編です。




