第8話】 胃がん末期です、と言われた午後に 〜入院も点滴もなし、自宅で静かに看取ることを選んだ日〜
「もし、大切な家族が“余命宣告”を受けたら――あなたはどうしますか?」
手術か、延命か、それとも自然に任せるのか。
あんなに元気だった義母が、ある日突然「胃がん末期です」と告げられました。
そして義母が選んだのは、
**「入院も点滴もせず、自宅で最期を迎える」**という道。
派手なドラマはありません。
でも、その小さな決断ひとつひとつが、確かに私たちの日常を変えていきました。
###元気だった姿からの落差###
つい半年前まで、義母は近所の友達と笑いながら漬物を配っていた。
その義母が、ある日、散歩の途中で電柱に腰を下ろし、息を切らす。
病院では「問題なし」と言われても、どうしても納得できなかった私は、夫に言いました。
「変だよ。大学病院に行こう」
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###大学病院での宣告###
精密検査の結果、画面に映し出されたのは――
「胃のほとんどが腫瘍に覆われています」
医師は淡々と続けました。
「手術するなら全摘。ただし高齢なので、耐えられるかはご家族で……」
頭が真っ白になり、言葉が入ってこない。
ただ、時計の秒針の音だけがやけに大きく響いていました。
――――――――
###義母の即答###
説明を受けたのは、義母、夫、私の三人。
義母はぽつりと言った。
「私、もう年だから……手術なんてしたくない。
入院もしたくない。早く家に帰りたい」
そして、泣いた。
夫は戸惑っていた。
「でも、手術すれば治るかもしれないんだよ……?」
その声には、希望というより混乱がにじむ。
義母は、くるりと私を見た。
「○○ちゃん、どうしたらいいと思う?」
……え、今、私?
内心は警報フル稼働だったけれど、
なぜか心は静かだった。
私はゆっくり答えた。
「私がお母さんの立場だったら……手術はしないかな。
自然の流れに身を任せたいと思うな」
義母はすぐにうなずいた。
「じゃあ、そうする。手術、しない」
義母の即答に、私も夫も言葉を失った。
病院の時計の針の音だけが、やけに大きく響いていた。
――――――――
###家で看取る覚悟###
あっという間の決断だった。
その日から私は心に決めた。
義母を最後まで自宅で看取る。
私の実母とともに、最期までそばにいよう――。
家で看取ることの重さ、実母への負担。
簡単なことではないと分かっていた。
そして結論を言えば――
義母は診断から8か月後、静かに旅立った。
入院もせず、点滴もなく、モニターもつけず。
最後まで鎮痛剤すら必要とせず、
まるで眠るような最期だった。
……でも、そこに至るまでの日々は、
決して穏やか一辺倒ではなかった。
「入院もしない」
義母の決断に、私たちは逆らえませんでした。
正直に言えば、「これでよかったのか」と揺れる瞬間もありました。
でも振り返れば、後悔よりも「納得」に近い日々だったと思います。
あなたなら、もし大切な人が同じ選択をしたら――どう支えますか?
延命か自然か。考えたことがあれば、ぜひコメントで教えてください。
【次回予告】
蒸発していた、あの自由すぎる人がひょっこり戻ってきた。
お見舞いに来たのか、遺産の話か、それとも……?
「お金もらえるなら介護するよ」
――って、それ冗談じゃないよね?
どうぞ気を緩めず、お付き合いください。




