きっと明るくなれば
暗がりの教室 オレンジの日が消えゆくそこで
君は僕に話しかけた。
僕は何も答えられずにそっぽを向いたけど
君はそれでも 横にいてくれたね。
その日の僕は辛いことが沢山あった
頑張ってしている努力を蔑ろにされて
その上バカにされても言い返せない
そんな弱い僕にはもう 自分にしか
当たる場所がなかったんだ。
夕日が君に当たって 片目を閉じた
もう片方は僕を見ている
僕の両目は君を見ている。
君の顔は笑ってて その上 凄く切ない顔をしてた。
共感でも同情でもない 心からの悲しみ
その美しい感情を そう僕に向けてくれていた。
君の手は暖かくて 僕の体温を上書きし
少し染みる汗に 気にもとめずに抱きとめた。
君と話したのは いつ以来だっけ
いつからこんなに仲が良いっけ
覚えてない
ただ今は この感情を無くしたくなかった。
愛するという感情がこれなのか
僕には良く分からないけど
君の肌の場所は 特別で
黒のベールが掛かって
普通の人に見えなくて
それをゆっくり脱がすと
白い卵が顔を出す。
夕日の色に明るくて
光沢に君の姿がある。
僕には
こんな美しいものを見た事がなかった。
そして 無性に
僕はそれを割りたかった。
拳をあげて
白い卵を叩く
カチンッと音がなって
ヒビが入る
ヒビからは疑念が溢れてる
真っ赤は色の白身が
僕の恥部にかかる
色の着いた肌をゆっくり撫で
また 拳をあげて卵を叩く
真っ赤な白身がと
どんどんあふるる
あふるる
中には
君は 君じゃなかった
身体中の傷跡が僕に笑いかけて
三毛猫みたいな模様のアザが
変色して美しく
羽の引きちぎられた天使には
この世界は少し汚すぎた
なのに
君の目は明るくて
月の光に照らされて
目の上の たんこぶ型の 影がほら。
きっと明るくなれば
見えなくなるのにね。