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新たな敵の脅威、反撃の始まり

艦内に警報が鳴り響いていた。通信装置からは警告音が断続的に聞こえ、乗組員たちは混乱の中で次々と命令を受けて動いている。私は手元の端末に映し出されたモニターを見つめ、襲来する敵艦隊の数に圧倒されていた。


「…これが、敵の主力艦か。」


モニターには、黒い影のように広がる敵艦の姿が映し出されている。彼らは宇宙空間の闇に紛れ、まるで獲物を狩る狼の群れのようにこちらに迫ってきていた。目を凝らすと、その中にはいくつもの巨大な主力艦が見て取れる。


「ライナー、ここからどうする?」


隣に立っていたカインが、険しい表情で私に問いかける。彼もまた、敵の圧倒的な数と火力に不安を感じているのだろう。だが、今は冷静さを失うわけにはいかない。私たちの前にあるのは、これまでにない強敵だ。それに、この戦いに負ければ、帝国全体が危機にさらされる。


「まだだ、カイン。これで終わるわけにはいかない。俺たちにはまだ策が残っている。」


私は自分に言い聞かせるように、冷静さを保ちながら答えた。頭の中で戦術を組み立て、次の一手を考える。この状況を打破するためには、冷静な判断と的確な指揮が不可欠だ。


「敵の主力艦を撃破するために、まずは彼らの動きを止める必要がある。無重力空間での機動力を削いで、動きを封じ込めるんだ。」


「具体的には?」


カインが少し戸惑いを隠せないままに聞いてくる。私は彼を落ち着かせるために、冷静に説明を始めた。


「敵の艦隊は、機動性を重視した布陣を取っている。このまま正面からぶつかれば、間違いなくこちらが不利になる。だが、彼らの動きにはパターンがある。それに無重力戦では、推進装置が機動の要だ。その推進装置を破壊できれば、奴らの優位性は消える。」


「なるほど…推進装置を狙うのか。」


カインが小さく頷き、次第に落ち着きを取り戻していくのがわかった。私たちは、敵艦隊の動きに対して適切な戦術を講じる必要がある。彼らがどんなに強大であろうとも、弱点は必ずある。


「全艦に指示を出せ。敵艦隊の推進装置を狙って集中砲火を浴びせろ。主力艦に火力を集中させず、まずは足を止めるんだ。」


私は素早く指示を出し、モニターに映る艦隊全体の動きを把握する。敵の艦隊は広がりを見せながら、ゆっくりと距離を詰めてきていた。彼らは確実にこちらを包囲し、壊滅させるつもりだ。だが、その前にこちらが動かなければならない。


数分後、全艦隊に命令が行き渡り、敵の推進装置を狙った攻撃が始まった。前方に展開している帝国艦の一斉射撃が、まるで光の雨のように宇宙を照らし出す。エネルギー弾が連続して発射され、敵艦隊に向かって一直線に飛んでいく。


「やれ…!推進装置を狙え!」


私はモニターに釘付けになりながら、エネルギー弾が次々と敵艦に命中していくのを見守った。だが、敵艦の反撃は早かった。すぐに火線が交差し、私たちの艦隊に向けても強烈な光弾が飛んでくる。


「くそっ、奴らも反撃してきたか!」


カインが叫びながら、モニターの端に映し出される被害状況を確認している。こちらの艦が何隻か直撃を受け、爆発を起こしているのが見えた。だが、今は引くわけにはいかない。私は歯を食いしばり、必死で作戦を続けるしかなかった。


「もう少しだ…あと少しで奴らの足を止められる!」


推進装置を狙った攻撃は確実に効いていた。敵艦の中には、機動力を失って動きが鈍くなる艦も現れ始めていた。これで少しは奴らの優位を削ぐことができた。


しかし、その時だった。モニターに異常な数値が表示された。敵艦の一隻が突然、膨大なエネルギーを放出し始めたのだ。まるで艦全体がエネルギーを集中させているような異様な光景だった。


「ライナー、あれを見ろ!」


カインが指差す方向を見ると、敵艦の一隻が輝きを増していた。次の瞬間、信じられないほど強力な光弾がその艦から放たれ、こちらの艦隊に向かって高速で飛んできた。


「回避しろ!」


私が叫んだが、既に遅かった。光弾が私たちの艦隊の一隻に命中し、轟音と共に爆発が起きた。その衝撃で艦が揺れ、私は一瞬、体が浮くような感覚に襲われた。


「こ、これほどの火力が…!」


信じられないほどの威力だった。敵は通常の火力ではなく、何か特殊なエネルギー兵器を使用している。こちらの艦が一瞬で破壊され、戦局が一気に厳しいものとなった。


「まずい…このままでは…!」


私は頭を抱えた。これまでの戦術では、この新たな脅威に対抗できない。敵は確実にこちらの動きを見抜き、圧倒的な火力で仕留めにかかっている。無重力空間での戦術が通用する相手ではなくなってきているのだ。


「ライナー、どうする!?このままでは全滅するぞ!」


カインが叫ぶ声が聞こえる。彼も同様に焦っているが、私も答えが見つからない。これほどの火力を持つ敵に対して、私たちができることは限られている。


「考えろ…何か手はあるはずだ…!」


私は必死で考えを巡らせる。彼らの火力を無効化する方法はあるのか?無重力空間での戦術が限界を迎えた今、何をすべきか?


その時、通信装置からフィリシア中尉の声が入った。


「ライナー、カイン、聞こえるか?新たな指示を出す。今すぐ敵艦のエネルギー源を破壊するしかない。」


彼女の声は冷静だったが、その中に焦燥感が滲んでいた。彼女もまた、この状況が非常に厳しいものであることを理解しているのだろう。


「敵艦のエネルギー源か…だが、どうやって?」


私は疑問を口に出した。敵艦のエネルギー源を破壊するには、彼らの防御を突破しなければならない。それは容易なことではない。


「彼らの火力はエネルギーを一点に集中させて放つ特殊な兵器だ。だが、そのエネルギーを吸収している部分は限られている。そこを突けば、一気に爆発させることができるはずだ。」


フィリシア中尉の説明に、私は一縷の希望を感じた。敵のエネルギー源にさえたどり着ければ、この火力を無力化することができるかもしれない。


「分かりました。エネルギー源を狙います。」


私は通信を切り、すぐにカインに指示を出した。


「カイン、敵艦のエネルギー源を狙う。まずはそこの推進装置を破壊して動きを封じるぞ。」


「了解だ、ライナー。」


カインもすぐに理解し、行動を開始した。私たちは敵艦のエネルギー源を破壊するために、全力で動き始めた。


敵艦に接近するにつれて、その巨大さが圧倒的だった。艦全体がまるで一つの要塞のようにそびえ立ち、無数の砲台がこちらを狙っていた。


「推進装置を狙え!」


私は叫びながら、エネルギー砲を連続で発射した。光弾が敵艦の推進装置に直撃し、炎と煙が上がる。これで奴らの機動力は削がれたはずだ。


「次は、エネルギー源だ…!」


私は目の前の敵艦を見据え、最後の一撃を放とうとした。その瞬間、敵艦から再び強力な光弾が発射され、こちらに向かって飛んできた。


「回避しろ!」


私は必死で回避行動を取ったが、光弾の一部が艦をかすめ、衝撃が走った。艦内のモニターが一瞬暗転し、私はシートに叩きつけられるような感覚に襲われた。


「ライナー、大丈夫か!?」


カインの声が遠くに聞こえる。頭がぼんやりとするが、私は必死で意識を取り戻し、モニターに目を向けた。まだ戦える。まだ諦めるわけにはいかない。


「大丈夫だ、カイン。エネルギー源を破壊する…!」


私は最後の力を振り絞り、エネルギー砲の照準を合わせた。敵艦のエネルギー源が見える。そこを破壊すれば、この戦局を変えられるはずだ。


「これで終わりだ…!」


私はエネルギー砲のトリガーを引き、光弾を放った。光が一瞬、敵艦のエネルギー源を貫き、次の瞬間、爆発音が響き渡った。


「やった…!」


爆発の光が宇宙空間を照らし、敵艦は炎と煙に包まれて崩れ落ちていった。私はついに敵艦のエネルギー源を破壊し、彼らの脅威を無力化したのだ。


艦内には静けさが戻った。爆発の衝撃から回復した私たちは、勝利の実感をかみしめていた。敵艦の主力が崩れ、私たちは一歩、勝利に近づいた。


「よくやった、ライナー。」


カインが疲れた笑みを浮かべながら私に言った。私は彼に向かって頷き、少しだけ微笑んだ。


「まだだ、カイン。これで終わりじゃない。次の戦いに備えなければ。」


私はそう言いながら、心の中で新たな決意を固めた。これまでの戦いは辛く、厳しいものだったが、次はさらに激しい戦いが待っているだろう。それでも、私は戦い続ける。


「俺たちは勝つために、進み続けるんだ。」


私は静かにそう呟き、新たな戦局に向けて準備を始めた。

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