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目覚めた先は無重力の戦場、俺の名はライナー・アステリア

「いたっ、痛い…!」


 私は声にならない叫びをあげた。


 胸が焼けつくように痛い。肺が圧迫されているような、そんな感覚が全身に広がる。


「なんだ、これは…!」


 目を開けると、周囲にあるのは無機質な白い光。金属の壁に囲まれ、機械音が耳をつんざく。そこは見たこともない場所だった。


 頭が混乱する。今、私はどこにいる?


 記憶が曖昧だ。確か、私は地球で戦術ゲームに没頭していたはずだ。戦略シミュレーションを9999時間もプレイして、歴史的な戦争の知識を身につけていた。それなのに、どうしてこんな場所にいる?


 「ライナー様、目をお開けください!」


 聞き覚えのない声が耳に響く。ライナー?それは、私の名前じゃない。私は、天野優斗だ。


 痛みが再び襲う。身体を覆っているのは、見慣れないスーツ。無重力の感覚が私を包み、足が宙を漂う。息が苦しい。何かが体内で変わっているのを感じるが、それが何なのかはわからない。


 「息を吐いて、冷静に!」


 声は必死だ。しかし、私は混乱し続ける。周囲に立っているのは機械だけ。私は誰に命令されているのか。


 「ライナー様、適応が進んでいます。もうすぐ完了します。」


 適応?適応とは何のことだ?


 頭の中に、突然違う記憶が流れ込んできた。まるで、誰かの人生が私の中に押し込まれるようだ。その記憶は、宇宙戦争、無重力での戦闘、星間帝国の階級社会…。だが、それは確かに今の私と一体化していく。


 私は…ライナー・アステリア…?


 だが、その名を受け入れる一方で、私はまだ自分が天野優斗であるという感覚を捨てきれない。9999時間の戦術経験、地上で培った知識はどうなる?無重力の宇宙でそれが役立つとは到底思えない。ここには上下の感覚もなければ、私が頼りにしてきた戦術的な位置取りも無意味に思える。


 「ここでは、地上の戦術は通じないのか…?」


 無重力の世界では、戦術の常識が根底から覆される。地面がない以上、陣形や防御線は無意味。上下も左右もなく、攻撃があらゆる方向から飛んでくる。そんな世界で、俺の知識は役に立つのか?


 「ライナー様、次の任務に備えてください。帝国の未来が貴方にかかっています。」


 その声に、私はかすかに頷くが、胸に抱くのは不安と疑念。


 「本当に、俺の戦術はこの世界で通用するのか…?」

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