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異界の侍、世界を救わんとする。  作者: 緑のくま
1章 異世界への旅立ち
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1−3 新たな旅の仲間

 朝が訪れると、シンは早く目を覚ました。清々しい朝の光が差し込む部屋の中で、シンは一瞬自分がどこにいるのかを忘れていた。しかし、すぐに昨日の出来事が頭に浮かび、異世界にいる現実を再確認した。シンは身支度を整え、部屋を出た。


 宿屋のロビーで待っていると、カインが姿を現した。「おはよう、シン。昨夜はよく眠れたか?」


「おはよう、カイン。ああ、よく眠れたよ。ありがとう。」シンはカインに感謝の意を示しながら答えた。


「さて、村長が君に改めて話したいことがあると言っていた。まずは村長の家に行こうか。」カインはそう言って、シンを連れて村長の家へと向かおうとしたが、シンのお腹の虫が鳴った。


 シンは気まずそうな顔をしながら「すまない。こちらの世界に来てからまともなものを食べていなくて…」


 カインは笑いながら、「それなら、まずは朝食を食べに行こう。空腹では話もまとまらないだろう。」と提案した。


 二人は宿屋の食堂に向かい、簡素だが温かい食事を取ることにした。シンはカインと共に席に着き、出されたパンとスープを見て感謝の気持ちでいっぱいになった。「いただきます。」シンはそう言って、パンを一口かじった。


「どうだ、口に合うか?」カインが尋ねた。


「うん、美味い!ありがとう、カイン。」シンは心から感謝しながら食事を続けた。スープの温かさが体に染み渡り、次第に元気が湧いてくるのを感じた。


 食事をしながら、カインとシンは互いの文化や生活について話し合った。シンは母国の食事や習慣について語り、カインもこの村の生活や食文化について話した。


「ここでは自給自足が基本だ。村の皆で協力して食べ物を育て、収穫している。」カインは誇らしげに言った。


 シンはその話を聞いて、自分の故郷と異なる生活様式に興味を持った。「それは素晴らしいな。皆が協力し合って生きているんだな。」


 食事を終えると、二人は再び村長の家に向かうことにした。村長の家に到着すると、村長はすでに彼らを待っていた。


「おはよう、シン。今日は君にこの世界の話をしよう。」村長はそう言って二人を迎え入れた。


 シンとカインが席に着くと、村長は話を始めた。「昔、この世界には魔王が存在していた。魔王は強力な力を持ち、世界を恐怖に陥れた。しかし、異世界から来た勇者とその仲間たちが魔王を封印し、平和が訪れたのだ。」


 シンはその話を聞きながら、異世界との繋がりに興味を抱いた。「それで、その勇者たちはどうなったのですか?」


 村長は少し考え込んだ後、「彼は元の世界に戻ったと言われている。しかし、最近になって魔王の封印が弱まり、再び世界に危機が訪れる兆しが見え始めた。予言者によれば、再び異世界から来た者が魔王を倒すだろうとされている。」と続けた。


「それが私に関係しているのかもしれませんね。」シンは呟くように言った。


 村長は頷き、「君が元の世界に戻る方法も、この世界のどこかにあるかもしれない。まずは森を抜けた先の街に行ってみるといい。そこはかの勇者ゆかりの地で、君の手がかりを知っているものもいるかもしれない。」と助言した。


 シンは頭をさげ、「ありがとうございます。早速向かってみます。」と言った。


 カインはその様子を見て、「一人で行くつもりか?」と問いかけた。


「そうなるな…」シンは答えた。


 しかし、カインは首を振り、「いや、お前一人じゃ危険すぎる。」と力強く言った。


 シンは、「そんなこと言われてもな…」


 村長がカインの方を向き「カイン、お前がついて行きなさい。」


 カインは驚きながら「でも村長、この村はどうなるんですか?俺がいなきゃ森の魔物や魔獣に襲われますよ?」


 村長は静かに微笑んで、「心配するな。この村の皆が協力して守るさ。」


 カインは一瞬考え込んだ後、「分かりました、村長。シン、一緒に行こう。」と決意を固めた。


 シンはカインの決意に驚きつつも、「ありがとう、カイン。」と感謝の意を示した。


 二人は出発の準備を整え、村を後にした。森を進む中で、カインは自身の過去について語り始めた。「俺は赤ん坊の頃にこの森に捨てられていたんだ。村長が拾って育ててくれた。それ以来、自分がどこから来たのかを知りたいと思っていた。この旅でその手がかりを探せるかもしれない。」


 シンはカインの話を聞きながら、「それは辛かっただろうな。この旅できっと何か見つかるさ。」と励ました。


 森の中は暗く、樹々が高くそびえ立ち、空を覆い隠していた。薄暗い中で、シンとカインは慎重に進んでいた。周囲には異様な静けさが広がり、風の音さえも聞こえない。二人は注意深く進みながら、森の奥深くへと進んでいった。


 突然、何かが茂みから飛び出してきた。それは小鬼のような魔物の群れだった。シンとカインはすぐに戦闘態勢に入った。


「来るぞ、シン!」カインが叫び、弓を構えた。


 シンは刀を抜き、魔物たちに向かって突進した。魔物の武器ががシンを狙って襲いかかるが、シンは巧みにかわしながら反撃を繰り出した。カインも遠距離から正確な射撃で援護し、魔物を次々と倒していった。


 シンが最後の魔物を倒し2人は一息つく。

 カイルは汗を拭いながら「今のはゴブリンだな。この数もしかしたら近くに巣があるかもしれないから警戒して先へ進もう」

 シンは頷きながら刀を収めた。


 しばらく進むと突然、遠くから爆発音が聞こえてきた。シンとカインはその音の方へ向かった。音の方へ走ると、そこにはゴブリンの群れに襲われているエルフの姿があった。エルフは必死にゴブリンと戦っていたが、数が多すぎて圧倒されていた。


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