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第八十一話 遺跡の財宝

地下五階の宝物庫の扉を開けると、中には金銀財宝が溢れていました。

そして一番奥には、美しく装飾された宝箱が二つ置いてあります。


「きれいな宝箱が二つあるね!」


フレディアはカーナにワクワクしながら言いました。


「一つはサソリのハートだと思うけど、こっちの大きな箱はなんだろう?」


カーナが恐る恐る宝箱を開けてみると、中には見事な槍が納められていました。

そしてカーナがその槍を手に取ると、槍はカーナに反応して青白い光を放ち始めます。


「!!!」


「これ、ルーンスピアだわ!」


「カナちゃん、知っているの?」


驚くカーナに、フレディアが尋ねました。


「あたしのお家にある秘伝書に、この槍の事が書かれていたの!」


「光と闇の神々の戦いの時に作られた物だって!」


「じゃあ、すごい武器じゃない!カナちゃんが持つのにふさわしいね!」


そう言って、フレディアはカーナにこの槍を使うように勧めました。


「てへへ。じゃあ、これもらっちゃおう!」


カーナは嬉しそうに、ルーンスピアを抱きしめています。


そしてもう一つの宝箱には、赤い水晶玉が入っていました。

水晶玉をよく見ると、表面が星のように小さく瞬いているのが分かります。


「これがサソリのハートね!」


フレディアは水晶玉を手に取って、確認しています。


「よし!これでヤーンの遺跡へ行く事が出来るな!!」


ハンクが嬉しそうに答えました。


二つの宝を手に入れたフレディア達は、(むくろ)となったマリポサとセルトンを四階の玄室に丁寧に納めると、カーナの魔法『おくびょう風』で一気に地上まで脱出しました。


ニコヤの遺跡に入って伍日目の昼、遺跡から生還したフレディア達を真っ先に迎えてくれたのは、何とスターバーストのズッコケ三人組でした。


「わ~!やっと帰って来た~!!」


「あぁ、助かった~!!」


「カレンさ~ん!会いたかったよ~!!」


クラット、ボトル、カチュアの三人は、嬉しそうに手を振りながら、カレンの元へ駆け寄りました。


実はこの三人、カレンの従魔であるヘルハウンドに完全になめられて、かなりおもちゃの様な扱いを受けていたので、一日千秋の思いでカレンの帰りを待ちわびていたのでした。



「よう!お前たち、ブルートの世話はちゃんとしていたのだろうな?」


カレンは三人に尋ねました。


「もちろんですとも!」


(もう、コリゴリです!)


「はい、もうすっかり仲良しになって・・・」


(あんな凶暴な魔物はもう嫌だ!)


「我が子のようにお世話をしていました!」


(あぁ!やっとあの魔獣から解放される・・・)


クラット、ボトル、カチュアの三人が、もみ手をしながら話をしていると、カレンが帰って来た事を察知したブルートが、猛烈な勢いでカレンの元へ走って来たので、カレンの前に立っていた三人はふっ飛ばされてしまいました。


ドッカ~ン!!


カレンの前で止まったブルートは、ちぎれんばかりに尻尾を振って喜んでいます。

カレンはふっ飛ばされた三人には目もくれず、嬉しそうにブルートを抱きしめています。


「よし、よし!いい子にしていたみたいだな!」


カレンはブルートの頭を撫でて、ご褒美に干し肉をあげました。



「キャハハ!あの人達、またズッコケてるよ!」


「ほんと、こけるのが好きね~!」


後から歩いて来たフレディアとカーナが、三人組をみて笑っています。



「いいんだ・・・。いくらでも笑ってくれ!」


「あぁ!これで俺たちはあの魔獣から解放されるんだから!」


「痛いけど幸せ・・・」


クラット、ボトル、カチュアの三人がズッコケながらも、ニタニタと笑っています。


「なんだ、こいつら?気色悪いな!」


その様子をみたハンクが、ルナを庇いながら大回りして通り過ぎて行きました。



遺跡に潜ったメンバーが全員無事に帰還し、目的のサソリのハートを手に入れた事を確認したギルドマスターのダグラスは、キャンプの撤収を命令しました。

そして全員カルカラッサの町へ帰還したのでした。



カルカラッサの町へ帰ったフレディア達は、長老の元へ赴いてサソリのハートを見せました。


「うむ、間違いなくこれはサソリのハートじゃな!」


長老のお墨付きを得たフレディア達は、ヤーンの遺跡攻略への士気を高めます。

そんなフレディア達に長老は、ヤーンの遺跡に眠る秘宝についても教えてくれました。



ヤーンの遺跡には、ダグダルムの邪教徒と戦うために神々が贈った武器が四つあります。


その一つは、フレディア達が求めているイーヴの魔石で、力の杖の魔力を跳ね返す事が出来る神秘の宝玉です。


二つ目はカーナの持つルーンスピアですが、これはヤーンからサソリのハートと一緒にサンドレラへ贈られました。

一突きで巨大な岩をも砕くと言われている、驚異の槍です。


三つ目は炎の剣ヘスティア―です。

炎の神の力を秘めた神剣で、斬撃を飛ばして一振りで百の敵を倒す事が出来ると言われる伝説の剣です。


そして四つ目は、神の加護が込められた守りの腕輪です。

戦闘不能以外の、毒、麻痺、石化や凍結など、すべての状態異常を防いでくれる、神秘の腕輪です。


これらの四つの武器を手に入れる事が出来れば、世界をも征服できると言われた神器なのでした。



ヤーンに眠る秘宝の説明をした後、最後に長老はフレディア達に念を押しました。


「ヤーンの遺跡には、侵入者から宝を守る仕掛けだけではなく、怖ろしい魔物も放たれていると聞く」


「まだ誰も、行って帰った者がおらぬ所じゃ」

「悪い事は言わぬ、止めるのは今のうちじゃぞ?!」


「大丈夫だよ爺さん!俺たちは必ず行って帰ってくるさ!」


ハンクが胸を張って答えました。


「そうか、どうしても行くというのじゃな?」


「では、この者たちに砂漠の神のご加護があらん事を・・・」


長老はフレディア達のために、神に祈りを捧げてくれました。





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