表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/116

第五十伍話 ミントの町に到着

翌朝フレディア達は、ロファのギルドに居ました。

そこでギルドマスターのローゼスから、フレディア、カーナ、ハンクへSランクのチタンで出来た虹色のバッチと、認定書を渡されました。


ギルド創立以来、初めてのSランク冒険者となった三名には、その場にいた大勢の冒険者から惜しみない拍手が送られます。

フレディアは嬉しそうに、虹色に輝くバッチをなでなでしています。


「君たちはこの国を救うという、重大な任務を背負っているが、我々ギルドも全面的に協力させてもらう」


「昨夜のうちに、王様の命令をしたためた書簡を、各ギルドへ向けて送った」


「それとこれは旅の費用にと、王様から預かったものだ」


そう言うとローゼスはフレディアに金貨1万枚を手渡しました。

これは国王から発せられた、Sランクの最重要クエストの報酬金額でした。



翌日フレディア達は、ミントの町へ向かって出発しました。

カラカラ砂漠へ行くには、ミントの町からジーノの村へ向かう道の途中から、南へ下って行かなければならないからです。


ミントの町へ向かう旅の間、フレディアはハンクとルナの様子を見ていました。

ハンクはルナの事をとても大切にしているし、ルナにとってハンクはかけがえのない人に違いありません。

それなのにハンクが(かたく)なにルナの気持ちを遠ざけようとしているのが、愛のキューピットとしてのフレディアには、とてももどかしいのでした。


それにしても、ハンクにはルナの心の声が聞こえるのに、天使であるフレディアに聞こえないのは何故でしょう?その事にもフレディアは少し悩んでいるようです。


(ハンクとジーノの村で別れる時、ルナを故郷へ送り届けたら自分は旅に出ると言っていたけど、いまでもそう思っているのかな?)


ギルドに用意してもらった馬車に揺られながら、そんな事を考えていたら、いつの間にか眠ってしまいました。



旅をして8日目の昼にミントの町へ到着しました。


「お腹が空いたね!ごはん食べよっか?!」


「は~い!あたしオムライス!」


「キャハハ!わたしはハンバーグ定食にする!」


フレディアとカーナを先頭に、四人はモモちゃんのお店に入って行きました。


「いらっしゃいませ~!」


モモちゃんは今日も元気に働いています。


「あら?フレディアちゃんとカーナちゃん!おひさ~!!」


「モモちゃん、お久しぶり!」


「モモちゃん元気?」


フレディアとカーナは、モモちゃんとハイタッチで挨拶を交わします。


「あらっ?二人ともギルドのバッチが替わっているわね?」


「ふふ~ん!」


「へへ~ん!」


フレディアとカーナは、自慢げに胸をそらしてSランク冒険者のバッチを見せびらかしています。


「まぁ!バッチに『S』って刻印がされているわね?!」


「こ、これって、もしかして!?」


「ふふ~ん!」


「へへ~ん!」


「初心者のSって意味ね!」


ドテッ!!


「良かったわね!丁稚奉公(でっちぼうこう)からやっと普通のギルド会員になれたのね!」


二人はモモちゃんの言葉にショックを受けていますが、モモちゃんは二人の事を、見習いの『お子様ギルド員』と思っているので、やっと一般のギルド員と同じになれたと勘違いしているのでした。


「今日はお祝いにサービスしちゃうわよ!!」


注文を聞いたモモちゃんは、忙しそうに厨房へ向かいました。


その様子を見ていた隣の親子連れの子供が、母親におねだりしています。


「ママ!ボクもあんなバッチが欲しいよ~!」


「あら、まぁ~。ギルド()()()がしたいの?」


「じゃぁ、ごはんを残さず全部食べたら、買ってあげるわよ」


「わ~~~い!」


ガ~~~ン!!


「カナちゃん、こんな事なら金色のAランクの方が良かったかもね・・・」


「そ、そうね。この色のバッチは、誰も知らないから・・・」


自慢したがり屋の二人は、ちょっぴり後悔しているようです。



「お待たせしました!」


てんこ盛りのオムライスと、特大のハンバーグ定食。

それに頼んではいない、大きなプリンが二つテーブルに置かれました。

持ってきたのはベゼルの姉のハンナでした。


「いらっしゃい!フレディアちゃん、カーナちゃん!」

「このプリンは私からのお礼よ!」


「「わ~い、やった~~!!」」


落ち込んでいた二人は、プリンを見て大喜びしています。


「ハンナは牧場で働かないの?」


ハンバーグを口いっぱいに頬張って、しゃべれないフレディアに代わってカーナが尋ねました。


「ええ!牧場は母とベゼルとクロマに任せているの!」

「あなた達のお陰で、農場の経営も順調に行っているわ!」


「私はここで働きながら、お店にも農場で作ったチーズやヤギのお乳を卸しているの」


「それとこれ、お二人がお店に来たらって、ベゼルとクロマから頼まれていたのよ」


そう言うと、大きなチーズの塊を二人に渡しました。


喜んでいる二人を見て、ルナがハンクに何か言っているようです。


「・・・・・・・・」


「あぁ、二人ともこの町の人気者だな!」

「俺の暮らしていた村とは大違いだ。まぁ、もうあそこへは戻らないがな・・・」



食事が終わると、眠そうにしているフレディアの手を引っ張って、ギルドへと向かいました。

フレディア達を見ると、フローラが慌ててギルドマスターの執務室へ案内しました。



「おぉ!お前たち、よくやってくれたな!本部から通達があったぞ!」


ギルドマスターのパルコスが、嬉しそうに書面を見せてくれました。


「あのね、ギルドマスター!ちょっとお願いがあるんだけど・・・」


上機嫌でお茶を飲んでいるパルコスに、フレディアが言いました。


「おぉ、何だ?言ってくれ!」


「このバッチAランクに替えてくんない?」


ブ~~~ッ!


お茶を吹き出したギルドマスターが、慌てて理由を聞きます。


「おい!それはどういう意味だ?」


「だって、このバッチ誰も知らないから、自慢できないもん!」


(こ、子供かこいつらは?!)


「バカもん!本部から直々授与されたものを、わしが勝手に替えたらどえらい事になるわい!」


「わしは間違いなくギルマスを辞めさせられるか、下手をするとクビだよ、クビ!!」

「絶対にダメだ!!」


「「え~~~っ」」


「え~じゃない!!」


フレディアとギルマスが言い合いをしている所へ、お茶とお菓子を用意したフローラがやって来ました。


「フレディアちゃん、この方たちが新しいチームの仲間なの?」


「そだよ!」


「じゃあ、後でチームの登録の変更をお願いしますね!」


「ラジャー!」


ベゼルとクロマがギルドを辞退したので、新たにハンクとルナがチームライトブリーズのメンバーになりました。

ルナはギルド員ではありませんが、Sランク冒険者が三人もいるチームなので、もう何でもオッケーみたいですね。


結局バッチの交換は聞き入れられず、フレディア達が不服そうに執務室から出ると、こちらを見て手を振る一団がありました。


「よ~っ!ライトブリーズ!」

「すげえな!Sランク冒険者の集団かよ!」


声をかけて来たのは、チームムーンライトのリーダーのマウロとコローニでした。

見るとマウロはCランクからBランクへ昇格していました。

他のメンバーもフレディア達を満面の笑みで迎えてくれています。


Sランク冒険者と言われたフレディアとカーナは、嬉しそうにググっと胸をそらせて、虹色に輝くバッチを見せびらかしています。つい今しがたまで、交換してくれと駄々をこねていたのは何だったのでしょう?


ムーンライトとライトブリーズがギルドの喫茶室で話をしていると、受付のフローラがやって来ました。


「ライトブリーズとムーンライトの皆さんは、明日の朝ギルドマスターの所まで来てくださいね、ギルドマスターからの辞令があるそうですよ」


「辞令ってなに?」


辞令の意味が分からないフレディアが聞きました。


「たぶん、カラカラ砂漠へ行く話じゃないかな?」


「私の勘では、ライトブリーズのお供にムーンライトを選んだんじゃないのかな?」

「フレディアちゃん達だけじゃ、道中危なっかしいから・・・」


そう言うと、フローラはクスクスと笑いました。


「あ~っ、それ分かるわ・・・」


シラが頷き、他のムーンライトのメンバーも全員納得しているようです。

フレディアは意味が分からず、首を傾げていますが・・・。



翌朝ギルドマスターが辞令を発表しました。


「ムーンライトは、ライトブリーズの任務に同行して、カラカラ砂漠に行ってくれ!」


「出発は急で悪いが、明日の朝だ!」

「何しろこの任務には国の存亡がかかっているからな!」


そう言うと、ムーンライトに旅費として2000ゴールドを、そしてライトブリーズに1万2000ゴールドを渡しました。

1万ゴールドは、前にギルドに渡したヨルムンガンドなどの魔物の代金だそうです。


ミントの町からカラカラ砂漠にあるカルカラッサの町までは、およそ二ヶ月の長旅です。

フレディアとカーナ、そしてルナも一緒になってお菓子をいっぱい買い込んでいます。

その後モモちゃんのレストランへ行って、お弁当をいっぱい作ってもらいました。



大急ぎで旅の準備をした一行は、翌朝馬車に乗ってカラカラ砂漠へと旅立ちました。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ