第五十四話 白い竜の正体
「ヤーンの遺跡は謎が多く、前人未到の危険な所じゃ、とても一筋縄ではゆかぬぞ」
王様はフレディアに念を押して確認しました。
「うん、わかった!でも、がんばってみる!!」
「おぉ!では、やってくれるか!!」
「この国の運命は、そなた達にかかっておる。頼んだぞ!」
「うひゃ、ひゃ。フレディアよ!バズエルはいまダグダルム神殿を復活させる事に全ての力を使っておるはずじゃ」
「その間はこの国にはちょっかいを出さぬじゃろう」
「じゃが、神殿が完成してしまえば、地上は大変な事になってしまうぞ!」
「分かった神様!行ってくる!」
こうしてフレディアとカーナは、イーヴの魔石を探す旅に出る事になりました。
「わたしとカナちゃんは、これからカラカラ砂漠へ行くけど」
「ハンクとルナはどうするの?」
「砂漠か・・・」
「そうだな、いまさらジーノの村に戻るつもりは無いしな・・・」
「俺は一緒に行っても構わないぜ」
「えっ、本当!?ハンクが来てくれたらヤーンの遺跡なんて楽勝だわ!」
フレディアは大喜びです。
「じゃぁ、ルナは?」
今度はカーナがルナに尋ねましたが、ルナの返事を待たず、ハンクが言いました。
「ルナはダメだ!お前は俺たちが帰ってくるまで、ここで待っているんだぞ」
「・・・・・・・・」
だけどルナはハンクの言う事を聞く気はないようです。
フレディアの元へ駆け寄り、腕をしっかり掴んで離しません。
「お、おい!!」
「わーい!ルナも一緒に来てくれるのね!」
カーナは大喜びです。
「・・・・・・・・」
「まったく、しょうがないなぁ・・・」
「俺の言う事なんて、ちっとも聞きやしない」
「だけど、すごく危険な旅なのよ。本当にいいのかな~」
フレディアはハンクとルナにもう一度確認しました。
「あぁ!バズエルの野郎なんかに、この国を取られてたまるものか!!」
「実はさっき・・・。バズエルの野郎を見た瞬間、なぜか体中の血が騒いだんだ」
「体の血が?」
「そうだ!体が熱くなり、急に激しい憎悪と怒りが込み上げてきた・・・」
「こんな気持ちになったのは初めてだ」
「ひょっとすると、奴と俺とは、どこかで繋がりがあるのかも知れない」
「ハンクとバズエルが?」
カーナが驚いて尋ねました。
「いや、ただ・・・。何となくそんな気がしただけだ」
「とにかく、あの野郎の好き勝手にはさせないさ。この俺がぶっ飛ばしてやる!!」
「よ~し!じゃあ、頑張ってイーヴの魔石を探しに行こうか!!」
フレディア達が玉座の間から退出した後、急に暇になったセレノス様と、後に残された三匹のネズミの目が合いました。
「・・・・・・・」
三匹のネズミを見て、セレノス様がボソッと言いました。
「なかなか、うまそうなネズミじゃな・・・」
「!!!」
「「「チュ~~~~ッ!!」」」
悲鳴を上げて、三匹のネズミは一目散に逃げ出して行きました。
「うひゃ、ひゃ!冗談なのに・・・」
玉座の間を出たフレディア達は、大臣に12年前の事件を研究している学者に会う事を勧められ、お城の研究室を訪れました。
研究室には二人の学者が居ましたが、その内の一人に声をかけると・・・。
「ダグダルムの神殿の中には、巨大な魔法陣があるそうです」
「その魔法陣は闇の世界とつながっており、力ある者の手によってのみ、扉が開かれるとか・・・」
「それで、今はどうなっているのですか?」
カーナが尋ねました。
「そのダグダルムの神殿も、12年前に地中深くに消え去りましたが、王様は堅固な要塞を築き、今でもその場所を監視しております」
「じゃぁ、今はまだ現れていないのね?」
「はい、そのようです」
もう一人の学者の話を聞くと・・・。
「王様の命令で、12年前の事件を調べているのですが、私たちには理解できない事が多すぎて・・・」
「ホイヤー博士は、白い竜とダグダルムの神殿は関係ないとおっしゃっているが、僕はなんか引っかかるんですよね・・・」
「えっ?ホイヤー博士ですか?」
「博士なら奥の研究室におられますよ」
フレディア達は案内されて博士に会いました。
「なに、なに?白い竜の正体を知りたいとな?」
「街の人は白い竜の事を、災いを呼ぶ不吉なモノと恐れているけど、一体白い竜の正体は何なの?」
気になっていたフレディアが尋ねました。
「うむ、あれはほうき星と言ってな、周期的に訪れる星の仲間なんじゃよ!」
「だが、白い蛇の様な姿が突然夜空に現れるものだから、人々はほうき星の事を白い竜と呼び、恐れるようになったのだよ」
「白い竜が現れると不吉な事が起こる・・・とね」
「えっ?星・・・なの?」
「そう、だから何も恐れる事はないのだが、ほうき星が現れたと同時に、ダグダルムの神殿も現れたものだから、みんなますます迷信を信じ込んでしまったのだよ」
「な~~んだ、そうだったのか!」
「だけど、王様はそういった迷信を気にするお方でね。マーガレット王女様が生まれた時に、ほうき星が現れたものだから、とても気になされたご様子で・・・」
「アルバンと言う偉い賢者をお呼びになり、厄を払う方法をお聞きになったそうだ」
「だが、結局王女様はあんな事になってしまわれたのだよ」
「ふ~~ん、そうだったのか・・・」
「じゃあ、偉い賢者様のおまじないは効かなかったのね?」
「これ、これ!滅多な事を口にしてはいかん!王女様は行方不明であって、亡くなられたと決まった訳じゃないのだからね!」
ホイヤー博士はフレディアにそう注意すると、また机に向かって研究を始めました。




