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第四十伍話 王妃様の治療に来た人たち

ロファのお城の入り口には、王様のおふれで集まった賢者や冒険者たちが列をなしていました。


「うわっ!ここも一杯並んでいるね!」


「そうね、王妃様の姿を治しに来た人たちみたいね!」


フレディアとカーナはビックリしています。

どんな人たちなのか気になったので、特に興味を引く人たちに話を聞いてみました。


フレディアが最初に声をかけたのは、錫杖(しゃくじょう)とほら貝を持ち、頭に頭巾(ときん)を付け、背に箱を担いだ修験者(しゅげんしゃ)のおじさんでした。

その独特の姿に興味をもったようです。


「わしは神仏に仕える修験者じゃ!」


(しんぶつ?しゅげんしゃ?それってなに?)


フレディアの頭の上に、大きな?のマークが浮かんでいます。


「険しい山で修行を積んで得た呪法を使い、いかなる病とてたちどころに治す薬を開発したのじゃ!」


「この、わしが開発した万病に効く妙薬。マンキンタンを一粒飲めば、王妃様の病とて、たちどころに治であろう!」


「うわ~!すごい!!」


パチ、パチ、パチ・・・・。


フレディアが目を輝かせて拍手をするので、おじさんは鼻高々です。


「うおっほん!!」


「ちなみに王妃様が治ったその暁には、このマンキンタンを一粒300ゴールドで販売する許可をもらうつもりでおる」


「そうなりゃ、わしも明日から大金持ちの仲間入りじゃ!わっ、はっ、はっ・・・」



次に声をかけたのは、立派な法衣を身にまとった、聖職者と思われる老人でした。


「王妃様が動物の姿になったのは、きっと物の怪の呪いに違いない!」


「わしの神から授かった法力を用いて、見事その呪いを解いて見せようぞ!」


「おぉ~~~!!」


パチ、パチ、パチ・・・・。


フレディアは神様がこの人にどんな力を授けたのか、興味深々です。


「ちなみに、王妃様の姿が治ったときは、我がスットン教に100万ゴールドの寄付をお願いしようと思っておる」


「さらに、この国の宗教に認定してもらい、信者を増やしてゴージャスな余生を送るのじゃ!」


「ほっ、ほっ、ほっ・・・・」



次に声をかけたのは、灰色のローブを着て、手に羊飼いの杖を持った、預言者のお爺さんでした。


「なぜわしがここに来ておるのかと?」


「娘よ、なかなか良い質問じゃ!お前のその利発さに免じて特別に教えてしんぜよう!」


「よいか!この事は誰にも話してはならぬぞ!」


フレディアは、ブンブンと首を縦に振りました。


「じつは昨日の夜の事じゃった・・・」


「わしが寝ておると、枕元に大天使が現れたのじゃ!」


「ええっ!だ、大天使が?!」


フレディアは驚きのあまり、口の中にあったアメ玉を落としてしまいました。


「そうじゃ!そしてお告げがあったのじゃ」


「この器に水を入れ、それを王妃様に飲ませよと!」


「さすれば、必ず元の姿に戻れるであろうと・・・」


「すご~~~い!!」


パチ、パチ、パチ・・・・。


喜ぶフレディアに気を良くした預言者は、特別に器を見せてくれました。


(あれ?器の底に穴が開いているけど・・・)


「ちなみに、王妃様の姿が治ったときは、わしを宮廷お抱えの賢者にしてもらうつもりじゃ!」


「さすれば、わしの老後も安泰じゃ!」


「ひゃっ、ひゃっ、ひゃ・・・」



次に声をかけたのは、小汚い服装の、太ったおじさんです。

その男は、髪の毛や髭はボサボサの伸び放題で、おまけに体は垢だらけ・・・。

なんかくさい臭いが周りに漂い、並んでいた人も少し距離を取って並んでいます。


「うっ、くさ~い!」


質問しようとしたカーナは、慌てて男から離れましたが、フレディアは頑張って、鼻をつまんで声をかけました。


「お、おいさんは、なんれならんれいるの?」


「ガハハ!ワシは辺境の山奥で20年間修行を積むことで、神羅万象に精通し、ついに悟りを開いたのじゃ!」


「おわ~っ!ふご~~~い!!」


「ワシの神通力を使って、みごと王妃様の病を治してみせようぞ!」


パチ、パチ、パチ・・・・。


「もし王妃様の病が治った暁には、一生遊んで暮らせるだけのお金をもらうんだ!!」


「ガハハハ・・・・」


(うっ!もうらめら・・・)


フレディアは、息が続かずその場で目を回してしまいました。

それを見たカーナが、慌てておじさんから引き離します。



最後に声をかけたのは、胸にAランクの金バッチを付けた冒険者でした。


「ふふ~ん、なんだ君たちは?あぁ、Bランクの冒険者か?」


「Aランクのこのオレ様をデートに誘っているのか?」


「いや、違うから・・・」


フレディアはムッとして答えます。


「本来なら、格下の君らに答える義務などないのだが、今日は特別に話してやろう」


「ふふん!このオレ様がここに並んでいるのは、もちろん王妃様の呪いを解くためさ!」


「お前たちのランクじゃ到底行く事の出来ない、ダンジョンの最下層で手に入れた、この究極の秘宝、『魔法のトンカチ』を使ってな!」


そう言うと、男は自慢そうにトンカチをフレディアに見せびらかしました。


「ほら、ほら、どうだ?これはAランクのオレ様だから手に入れる事が出来たのだぞ!」


「あっ、こいつクソだな・・・」


「ちょっと、フレディア!天使がそんな、はしたない言葉を使っちゃだめよ!」


カーナがフレディアに注意しましたが、男は自画自賛で気づいていません。


「とにかく、オレ様はこれで王妃様を治した暁には、この国初めてのSランク冒険者に認定してもらうのさ!」


「お前たち美人になりそうだから、5年後に俺のパーティーに入れてやってもいいぜ!」


「はっ、はっ、はっ・・・・」


「カナちゃん、こいつヤッてもいいよね?」


「ダメだから!」


カーナはハンクの所までフレディアを引きずって行きました。



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