第十六話 ギルドの試験(事前審査)
「フローラ、ただいま!」
「あっ、シラお帰り!今回の依頼は無事に終了ね!」
「えぇ。だけどギルド内がすごく混雑しているわね?」
「そうなのよ。人や動物の捜索依頼が殺到しているのよ」
「えっ?あの事件、まだ解決していないの?」
「そうなの。それに国からの通達があって、この事件はSランクの最重要クエストに指定されたのよ」
「事件解決の懸賞金額は、何と1万ゴールドなの!だからもう、ギルド内はてんやわんやの大騒ぎになっているのよ」
「ふ~ん・・・。そ~なんだ・・・」
「ところで、そこの可愛いお嬢さんたちは?」
「あなたの妹さん?」
「うふふ・・・。違うわよ!」
「紹介するわ、こちらはフレディアとカーナ!ギルドの入会希望者よ!」
「で、この人はギルドの受付嬢で、私の友達のフローラよ」
「よろしく、フレディアちゃんに、カーナちゃん!」
「で、いま何て言ったの?」
「ギルドの入会希望者よ、フローラ」
「えっ?」
「よろしくお願いします!フローラさん!」
「キャハハ!」
「う、嘘でしょ?」
シラの説明を聞いたフローラは、自分では判断出来ないので、慌ててギルドマスターを呼びに行きました。
「う~む・・・。確かにギルドの規定に年齢制限はないのだが・・・」
「本当に・・・。その、なんだ・・・」
「魔物と戦えるのか、マウロ?」
眉間に皺を寄せて悩んでいるのは、ミントのギルドマスターで、名前をパルコスといい、元Aランクの50代のおじさんです。
本来なら、こんな幼い少女をギルドに入会させるなどあり得ないのですが、Cランク冒険者のムーンライトが推薦しているため、いま絶賛悩み中なのでした。
「確かに魔物が活性化する今、戦闘の出来る冒険者は喉から手が出るほど欲しいのだが・・・」
「しかしなぁ~。わしの孫のようなこの子たちを・・・」
「いや、ギルマス!メチャクチャ強いんすよ!この子たち!!」
「希代まれなる魔法使いじゃ!」
「笑えるほど強いんだから!」
悩むギルマスに、コローニ、マイオス、マルティーが援護射撃をします。
「よし、分かった!」
「お前たちがそこまで言うのなら、事前審査を受けさせよう!」
そう言うとギルドマスターは、受付のカウンターに設置している、魔力を測定する魔道具の所へ二人を案内しました。
事前審査とは、ギルド員になるだけの技量があるのか、個人の能力を測定する審査です。
審査方法は二種類あり、一つはファイター系の能力を測定する体力テストです。
主に筋力や、俊敏性などの適正検査を行います。
もう一つは魔法の能力検査で、ここでは魔力の絶対量を測定します。
魔法使いや聖職者などが受ける審査で、方法は魔道具を使っての測定になります。
測定方法は、複雑な機械の中央にある透明の水晶玉を使って行います。
測定者が魔力を込めると、水晶玉に色の変化が起こり、その色によって魔力の量を測定するという物で、色の段階は全部で七種類あります。
紫色・・・失格
藍色・・・Eランク
青色・・・Eランク
緑色・・・Dランク
黄色・・・Cランク
橙色・・・Bランク
赤色・・・Aランク
魔力量によって受けるランクが決まりますが、Bランク以上は本部での試験となります。
また、初めて受ける者は魔力量に関係なく、Eランクからのスタートとなります。
「説明は以上だ」
「よし、それでは始めよう」
ギルドマスターの合図で適性検査が開始されましたが、かわいい女の子が試験を受けると言う事で、ギルド内にいた沢山の冒険者が、物珍しさにわんさか集まって来ました。
「じゃぁ、あたしから行くね!」
「カナちゃん、がんばって!!」
「測定開始!」
ギルドマスターの合図で、カーナは機械に手を当てて魔力を込めました。
中央にあった水晶玉がふわりと宙に浮きます。
そして色の変化が始まりました。しかも異例の速さで・・・。
「えっ!三つ色を飛び越して、いきなり緑色になったぞ!」
「いや、もう黄色に・・・」
「なに!橙色だと?!」
「わっ!赤色になった!!」
ボン!!
「どひゃ~!!破裂した~!!」
水晶玉が破裂し、その飛び散った破片で機械はメチャクチャに壊れてしまいました。
その様子を見ていた冒険者たちは大騒ぎです。
ギルドマスターは、口をあんぐりとあけて固まっています。
「キャハハ!やったね、カナちゃん!」
その横でフレディアは、大喜びしています。
職員たちは大慌てで壊れた魔道具を片付けると、予備にしまってあった新しい魔道具を持ち出し、急いで準備を進めています。
「次はわたしの番ね!」
「あの水晶玉を破裂させたらいいのよね!」
(こ、こいつは人の話を聞かんタイプなのか?)
魔道具の前に進んだフレディアを見て、ギルドマスターは慌ててストップをかけました。
「ま、まて、まて!」
「今回は偶然機械が故障してしまったようだが・・・」
「だが、もしも高価な魔道具を続けて壊したとなると、本部への始末書どころか、わしの首が飛びかねん」
「ま、まぁ、同じ事故が二度も続くとは思えんが、ここは大事を取ってだな・・・」
「ムーンライトの推薦もあるし、二人とも事前審査は合格としよう!」
「「やった~!」」
フレディアとカーナは、大喜びでハイタッチしています。
「では、本試験の実技審査に入るぞ」
「だが、その前に・・・」
「君たちは魔法使いだろ?」
「誰かEランクの前衛を頼んでもいいのだか・・・」
「前衛?」
「そう、魔法の詠唱が終わるまでのクールタイムをカバーする役目だよ」
「キャハハ!いらないよ!」
「そ、そうか、ならいいのだが・・・」
ギルドマスターは、不思議そうに首を傾げています。




