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第十三話 ジーノの村へ出発

「なんか、大変な事になっちゃったね!」


「ほんと!でも、このままにしていたら、もっと大変な事になっちゃう!」


仕方なく引き受けたフレディアと違い、カーナはお仕えするセレノス様からの頼みごとなので、気合が入っています。


「そうね・・・。仕方ない、がんばって妖精の杖を取りに行きますか・・・」


「は~~い!まず、ジーノの村へ行くんだったね」


「そう、そう。じゃぁ、旅の支度をして出発しますか~!」


旅の準備をするために、町の人から話を聞いた二人は、ジーノの村へはここから歩いて五日ほどかかる事が分かりました。


「なにがチョコットよ!」


カーナは、ブ~ブ~文句を垂れるフレディアをなだめるのに必死です。


「まぁ、まぁ、フレディア。お金ならあたし20ゴールド持っているから、これで食料と『おやつ』をいっぱい買って行きましょうよ」


「!!!」


「お、おやつ!」


「そ、そうね!そうしましょう!」


『おやつ』という魔法の言葉で、フレディアの不満も無事解消されたようで、二人はお菓子を一杯買いこみ、意気揚々とジーノの村へ旅立って行きました。


旅を続けて4日目に、最後の難所『ふらふら峠』の入り口までやって来ました。

勾配の急な坂道が続き、ジーノの村へたどり着く頃にはフラフラになるので、この名前が付いたそうです。

この峠を越えれば、やっとジーノの村へ到着します。

ですがその前に、旅をする二人にはちょっと困った問題が待ち受けていました。

この峠には魔物が多く徘徊するため、通行制限が設けられていたのです。


峠の入り口には関所が設けられ、中には10人ほどの武装した兵士が辺りを見回っていました。

その中の一人がフレディアたちに気付き、小走りで近寄ってきます。



「ありゃ?君たち、他の人はどうしたんだい?」

「君たちのお父さんや、お母さんは?」


他の番人たちも、フレディアたちを見て近寄ってきました。


「えっ?他の人って・・・私たち二人だけだよ?」


キョトンとするフレディアと、他に誰かいるのかとキョロキョロするカーナに、番人の兵士も困惑気味です。


「いや、いや、君たちどこから来たの?」


「ミントの町からだよ!」


「えっ!ミントの町?」


兵士は彼女たち以外に他に人がいないのを確認すると、沈痛な面持ちで言いました。


「じゃ、じゃあ他の人たちは魔物にやられて・・・」


集まって来た兵士たちも、青い顔をしてフレディアたちを見ています。


それもそのはず、まさかまだ見た目の幼い二人が、魔物がうじゃうじゃいる場所を、のんきに歌を歌いながら歩いて来たなんて、だれも信じないでしょう。


この後うんざりするほどの質問攻めにあった二人は、途方に暮れる事になりました。



「え~~っ!護衛がなければ、ここから先へは行けないのですか!?」


カーナが驚いて兵士に尋ねました。


「そうだよ、お嬢ちゃん。もしくはギルドランクがDランク以上でないとダメなんだよ」


「困ったね、カナちゃん!」


「いや、いや、困ったのはこっちの方だよお嬢ちゃん!」


「そうそう!護衛もなしにジーノへは行かせられないし・・・」


「ミントの町まで帰ると言っても、二人だけでは行かせられないし」


「二人だけで帰すなんて、そんな事をさせたら、俺たちの首が飛んじまうよ!」


自分たちならぜんぜん大丈夫だと、フレディアとカーナは口をそろえて言いますが、危ないから二人だけで帰す事は出来ないと、兵士たちはガンとして言い張るのでした。


そんな、こんなでホトホト困り果てていた時、ふらふら峠から降りてくる一団がありました。


「よお!兵士さんたち、なにをもめているんだい?」


「おや!あんたたちは?」


見ると屈強な男を先頭に、全部で5人の冒険者風の人たちが立っていました。


「俺たちはCランクの冒険者チーム、『ムーンライト』だ」

「ジーノまでの荷馬車の護衛が終わり、いまからミントの町へ帰るところさ」



その話を聞いた兵士たちは、まさに渡りに船と言わんばかりに喜んでいます。

そして事情を説明したところ、ムーンライトがフレディア達をミントの町まで送ってくれる事になりました。





関所に設けられた天幕の中で、昼食を摂りながらリーダーの男は仲間の冒険者を紹介してくれました。


「俺はこのチームのリーダー、剣士のマウロだ!よろしくな!」


「オレの名はコローニ、槍使いだ」


「私の名はシラよ!魔法使いなの。よろしくね、かわいいお嬢ちゃんたち」


「あたしの名はマルティー。アーチャーよ、よろしく!」


「マイオスじゃ、僧侶をしておる」


マウロはがっしりとした体格の20代後半の男性で、日焼けした精悍な顔をしています。

コローニは背の高い細マッチョで、にやけた顔が良く似合う、ハンサムな男性です。

シラは均整のとれた綺麗な顔の女性で、上品なお嬢さんぽい雰囲気を持っています。

マルティーは、小柄で活発な感じの女性で、大きく奇麗な瞳が印象的です。

マイオスは40代後半の無口な男性で、立派な髭が特徴です。


5人の冒険者たちの自己紹介が終わり、次は自分たちの番となりましたが、フレディアはまるでリスがドングリをほおばるように、口いっぱいにパンをほおばっていたため、慌ててカーナが自己紹介をしました。



「私の名前はカーナ!そしてこっちがフレディアよ!」


「あたしたち、天使をしています!よろしくね!」




「「「はぁ?」」」


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