表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/116

第十二話 セレノス様の頼み事

ネコのセレノス様と会えたのは、フレディアがヨタヨタと木に持たれかかった時でした。


「おっ!お前たちどこに行っておったのじゃ?」


「ど、どこにって・・・。よく言うわ・・・」



「ところでフレディア!カーナを使いにやったのは他でもない」

「実はのう・・・」


「あ、そうだ!スクラップ様からセレノス様へ伝言があったんだ!」


「なに!わしへの伝言とな?」


「あの、神様・・・」


「どうでもいいけど、その姿何とかならないの?」


「あ!い、いや、気にせず続けてもよいぞ。うひゃ、ひゃ、ひゃ・・・」


「セレノス様は、バズエルってご存じでしょ?」


「なに!バスエル!?堕天使バズエルのことか?」


「うん!そのバスエルが、天界の監獄から逃げだしたんだって!!」


「な、な、な、なんだと!!バズエルが天界の監獄から逃げ出した!?」


「そう!だから、ひょっとしたら力の杖を狙っているかも知れないので、気を付けるように・・・だって!」


「キャハハ!!」


「そ、それは一体いつの話じゃ!?」


「えっとね、わたしがセレノス様と会った日だから・・・。十日前かな」


「と、十日前・・・」


「・・・・・・・・・・・・・」


「取られちゃったみたい・・・」


「えっ?取られたって・・・何を?」


「力の杖・・・」


「誰に取られたの?」


「バズエルに・・・」


「「うそ~~~っ!!」」


フレディアとカーナが同時に叫びました。

そしてカーナは慌ててセレノス様に尋ねます。


「セレノス様!じゃあ、この町の騒動は・・・」


「うむ、バズエルの仕業と見て間違いないじゃろう!」

「力の杖をここまで使いこなせるのは、ヤツ以外に考えられん!!」


「なにも、そんな自信たっぷりに言わなくても・・・」


「うひゃ、ひゃ、ひゃ!カーナよ、そんなにしょげる事はないぞ!」


「もしもの時のために、ちゃ~んと手は打ってある!」


「えっ!本当ですか、セレノス様!!」


「うむ!力の杖で変えられた姿を、元の姿に戻す方法がある」


「元に戻す方法?」


「そうじゃ!力の杖の魔力を打ち消す事の出来る、『妖精の杖』というモノがあるのじゃよ!」


「「妖精の杖!?」」


「そうじゃ!その杖を使い、わしの姿を元に戻せば、バズエルごときは恐れるに足らぬわ!!」


(足らぬわって・・・。その姿で偉そうに言われてもなぁ・・・)


フレディアは空を見上げてため息をつきましたが、カーナはセレノス様の弟子なので、嬉しそうにセレノス様に言いました。


「さすが、セレノス様!じゃ、早くその杖で元の姿に戻ってください!!」


「うむ!では、そうするから、お前たちちょっと行って妖精の杖を取って来てくれ!」


「えっ!?取って来てくれ・・・って、ここには無いのですか?」


「ないよ!」


「・・・・・・・・・・」


茫然自失のカーナを見て、フレディアは頭を抱えています。


「妖精の杖はの、この町の遥か東・・・。妖精の森という所にある」


「は、はるか東・・・」


フレディアは、遠い目をして東の方を見ました。


「な~~~に、お前たちならすぐに行けるわい!」


「で、その森に妖精たちの住む里があるから、そこへ行って杖をもらって来てくれ」

「妖精の杖はの、わしがもしもの時のため、妖精の女王に預けておったのじゃ!!」


「森の中から里へ行く方法は、石碑に書かれているからの」


「では、行ってまいれ!」


「行ってまいれ・・・って・・・」


「なんかな~。ネコに偉そうに命令されてもな~」


「バカもん!!わしも好き好んでネコの姿をしているのではないぞ!!これもすべてあのずる賢いバズエルの策略にはまってだな・・・」


セレノス様がフレディアに言い聞かせていると、横を通りかかった娘さんがセレノス様に気付き、声を掛けました。


「あら?かわいいネコちゃん!」


「にゃお~~~ん」



「あっ!こら~~~っ!!ついて行くんじゃない!!」


娘の後ろに付いて行こうとするセレノス様を、フレディアが慌てて捕まえました。



「と、とにかく。わしの姿を元に戻すのが先決じゃ!!」


「よいかの。妖精の杖は妖精の森じゃ!」


「はい、はい!はるか東にある、妖精の森の、そのまた先の妖精の里へ行けばいいのね・・・」


「そうじゃ、そうじゃ!!まずは、ジーノの村へ行くがよい!」


「ジーノの村って、この町の東にある鉱山の村ですね?」


何とか立ち直ったカーナが、セレノス様に尋ねました。


「うむ。そこから森へ行く道が通じておるでの」


「では、チョコッと行って取って来てくれ!」


「あ!旅の費用は自分たちで工面するように!それでは頼んだぞ!!」


「あい、あい~~」



この時、木の影からフレディアたちの事をジッと見ていた、とても色っぽいお姉さんと、ガラの悪そうな男たちがいましたが、その事には誰も気づきませんでした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ