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第百七話 5つの塔の戦い(三)

キ~~~~ン!!


大斧の斬撃を剣で弾いたテイストは、すぐさま反撃に移りますが、死霊に物理攻撃は効きません。

テイストのバスターソードはまるで空気を斬る様に、死霊の身体をすり抜けてしまいます。


「何だと!」


テイストは咄嗟に飛びのき、死霊との距離を取りながらフランクを見ました。

するとフランクもテイストと同様、死霊にダメージを与える事が出来ずに焦っています。


「クッソー!!」


「ふざけやがって~!!」


防戦一方の二人が叫んだ時、激しい炎と強烈な風が巻き起こり、二体の死霊を消し去りました。

後から来たシラとブロンディが同時に魔法を放ったため、シラのフレイムの炎にブロンディの風が合わさり、より強力な威力となって敵を殲滅したのでした。


「大丈夫か二人とも?」


ブロンディがテイストとフランクに声をかけましたが、結局今回いいところを見せられなかった二人は、その場に座り込んでガックリと肩を落としています。


そんな二人に代わって、マルティーが結晶石に矢を放ちました。



ヒュン!


パリ~~~ン!!


「よし!任務完了~!!」


マルティーが親指を立てて見せました。



4番土の塔を攻めるのはロックファイターズと、ムーンライトのリーダーのマウロです。

作戦開始の狼煙を確認すると、一気に塔に攻め込みました。


ロックファイターズはジーノの村の廃坑で活躍するチームです。

みんな特徴のある技を持つ強者たちですが、特に土属性の魔法を得意とするスージーは、このチームには無くてはならない存在です。

ランクはBですが、ジーノのギルドで最もAランクに近いと言われている女性で、今回も大活躍する事になります。


石と土で作られている塔は、スージーにとってまさに格好の戦場と言えるでしょう。

塔の二階では、魔物の群れに剥がした床石を使った強烈なストーンバレットを放ち、一人でほぼ全滅させてしまいました。


そして塔の三階でも、雨の如く降り注ぐ矢をロックウオールで防ぎながら進み、敵に50メートルまで近づくと、踊り場の床の底を抜いて、一気に魔物を奈落の底へ落としてしまいました。


「嘘だろう・・・」


これを見て唖然としているマウロに、リーダーのホワイトが声をかけました。


「すまんな、せっかく応援に来てもらったのに」

「ここはもう、スージーの独壇場だよ・・・」


「は、は、は・・・」


マウロはもう、乾いた笑いしか出ませんでした。


そして最上階を守っていたのは、フルプレートアーマーの鉄巨人でした。

見せ場が無かったマウロが果敢に攻めますが、彼の剣は固い甲冑に全て弾かれてしまいます。

ランプトンの薙刀も、マウロ同様歯が立ちませんでした。


「よし!やっと俺の出番がやって来たぜ!」


そう叫ぶとホワイトは、自慢の大ハンマーを鉄巨人の腹に叩きつけました。


ガ~~~~ン!!


鉄巨人は強烈な打撃でヨロヨロと後ろに下がりましたが、鉄の身体には傷一つ付いていません。

すぐに立ち直ると、鉄の斧を振りかぶって再び攻撃して来ました。


「嘘だろ?どれだけ固いんだよ!?」


ぼやくホワイトに、スージーが声をかけました。


「ホワイト!あなたのハンマーで、鉄巨人を壁まで弾き飛ばして!」


「壁までだな?!」


ホワイトはスージーに答えると、大ハンマーを振り上げ、鉄巨人に向かって全力で走りました。

そして全体重を乗せた一撃を叩き込みます。


ドッカ~~~~ン!!


その衝撃で鉄巨人がヨロヨロと壁まで下がった瞬間、スージーが壁を液状化させて溶かしてしまいました。


身体を支える壁がなくなった鉄巨人は、塔のてっぺんから地上に落下し、二度と起き上がる事はありません。


「はぁ~~っ。俺、何のためにここへ来たのか分からんな・・・」


ため息をつくマウロに、ホワイトは言いました。


「それは俺もランプトンも同じだよ!」


「私もよ!みんな私の存在忘れてない?」


聖職者のベティーがムスッとした顔で言いました。


「まっ、適材適所と言う事で・・・ねっ!」


スージーはそう言ってウインクすると、ロックバレットで結晶石を破壊しました。




5番闇の塔を攻めるのはクラッシャーズと、ムーンライトのコローニです。


開戦と同時に二階へ上ったメンバー達は、入り口で見世物でも観るように突っ立っていました。

中では魔物同士が大乱闘を繰り広げています。

グーグーが魔物にコンフユーズの魔法をかけて、同士討ちをさせていたのです。


「俺はあのオークキングに3ゴールド賭ける!」


「じゃあ俺はあのワーウルフに賭けるよ!」


オニールとグーグーがどの魔物が最後まで勝ち残るか、賭けを始めました。


「コローニはどれにする?」


グーグーがコローニに声をかけた時、ナタリーが怒って言いました。


「ちょっと!真面目にやりなさいよ、あなたたち!!」


「そうよ!何のんきに賭けているのよ!さっさと終わらせないとダメでしょ!」


ジェンナからも叱られたグーグー達は、仕方なく従います。


「ちぇっ!もう少しで決着が着くのに・・・」


そう言うとオニールを先頭に、コローニとグーグーが残った魔物を倒しに行きました。



二階から三階に上がる階段では、例外なく三階の踊り場から魔物どもが雨の如く矢を放ってきますが、このチームにはジェンナがいます。


踊り場にいる魔物の群れに、ジェンナは的確に爆薬の矢を次々と打ち込み、魔物を一気に殲滅していきました。


三階の部屋に逃げ込んだ魔物はオニールとコローニが始末し、一行は最上階へと進みます。


螺旋階段の行きついた場所では、トカゲの戦士ドラコニアン三匹が、結晶石を守っていました。


ドラコニアンはSランクの魔物です。

力が強いうえとても俊敏で、しかも固く頑丈なウロコの皮膚に守られています。


剣士のオニールと槍使いのコローニがそれぞれ1対1で戦いを始めました。

もう一匹のドラコニアンに対しては、ナタリーはガードで仲間を守りながらスローの呪文で動きを鈍らせます。

それに合わせてグーグーがドレインの魔法で体力を奪ってゆき、そして完全に動きが鈍ったところを、ジェンナが弓矢で仕留めました。


オニール対ドラコニアンの戦いは、アイスブレードを持つオニールが断然有利に戦います。

変温動物のドラコニアンは、外気温度で動きが左右されるため、アイスブレードが放つ冷気で体が冷やされたドラコニアンは、どんどん動きが鈍くなり、そしてついにオニールによって打ち取られました。


一方コローニ対ドラコニアンは、手に汗握る熱戦を繰り広げた結果、見事にコローニが勝利しました。

最初はナタリーがスローの魔法で援護しようとしましたが、あまりに素晴らしい戦いだったため、コローニのプライドに傷が付くと思い、グーグーが止めました。

自分もドレインの発動準備をしていたのは内緒ですが・・・。


「よし!俺たちの完全勝利だ!」


そう言ってオニールは、自慢のアイスブレードで結晶石を破壊しました。



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