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第百五話 5つの塔の戦い(一)

フレディアがオリビアと会っていた頃、塔の破壊に向かった各チームも、それぞれが目指す塔の近くの岩陰に身を潜め、決戦が始まるのを待っていました。


「この塔、思ったよりでかいな!」


1番火の塔を攻めるキャノンガールズのリーダー、ムチ使いのアリスが塔を見て言いました。


「塔の中にはどれだけ魔物がいるのかしら?」


分かる者はいないのですが、鋼の爪を武器にする武闘家のポニーは気になって呟きました。


「分かんないわ、でもかなりの数が出て行ったわよ」


ロファ軍との決戦のために塔の中から出て行った魔物を見て、同じ武闘家のティアが答えます。


「な~に、何匹いようと関係ないよ!全部ぶった斬るだけさ!」


影の殺し屋の異名を持つ、シーフーのメアリーが豪語します。

その傍らで開戦を待つズッコケ三人組は、緊張してガチガチになっていました。


「ヤバ! 俺メチャクチャ緊張してきた・・・」


戦士のカチュアが、青い顔をしてクラットに言いました。


「あぁ、俺もさ!けど大丈夫だよ!あれだけ訓練して鍛えたんだから!」


「そうだぞ!あの地獄の訓練を思えば、塔を落とすことなんてどって事ないぜ!」


心配するカチュアに、聖職者のクラットと魔法使いのボトルが励まします。

その話を聞いていたリーダーのアリスは、カチュアに言いました。


「あんたカレン様の言いつけ通り、毎日6時間の筋トレをやったんだろ?」


「だったら大丈夫だよ!自信を持ちな!!」


「お、おう!俺、頑張るぜ!」


カチュアが美人のアリスに励まされ、気合を入れた時でした。


ド~~~~ン!!!


作戦開始の狼煙が空に上がりました。


「よし!みんな行くぜ!!」


アリスの号令で、一斉に塔へ向かって走り出しました。



シーフーのメアリーが隠密スキルで気配を消し、一人で塔の様子を探りに行きました。

そしてしばらくすると、入り口で待機している仲間の所へ戻って来て報告します。


「この塔は三階建てになっているみたい」


「一階の大広間には誰も残っていないけど、二階はかなりの数の魔物が残っているようだね」


「わかった!なら一気に攻め込もう!」


アリスの判断で、一気に二階へ攻め込みます。

長い螺旋階段を登り切った二階の部屋に飛び込むと、中にいる魔物の群れをめがけて、メアリーが火炎玉を手当たり次第に投げ込みました。



ボカ~~~ン!!!ボカ~~~ン!!!ボカ~~~ン!!!



辺り一面に炎が広がり、オークやゴブリン共が慌てて飛び出して来たところを、待ち構えていたアリス達が片っ端から倒して行きます。

いくら数がいようが、浮足立った敵など物の数ではありません。

あっと言う間に二階を制圧してしまいました。


燃え盛る炎をボトルのアイスの魔法で消し止めると、一行は三階へと進みます。


三階の部屋に行くには、再び長い螺旋階段を登らなければならないのですが、さすがに今度は奇襲をかける事は出来ません。

三階の踊り場からは矢の雨が降り注いできます。


接近戦が得意のキャノンガールズは、これでは敵に近づく事が出来ません。


「くそっ!この距離じゃ火炎玉も届かないな!」


メアリーが悔しそうに言います。


「とにかく、この矢の雨を何とかしないとねぇ・・・」


「クラットのガードでしのげないのか?」


アリスがクラットに尋ねます。


「問題はガードの持続時間だよ」


「これだけひっきりなしに攻撃されたら、あそこへたどり着けるのは難しいね」


「行けて階段の中央までかな?」


クラットの答えにアリスは悩みます。

接近戦に持ち込めなければ、こちらに負傷者が出る可能性が大きいからです。


「くそっ・・・」


アリスが歯嚙みしながら考えていた時、カチュアが妙案を思いつきました。


「なぁ、ボトル。お前アイスウォールを作れるようになったんだよな?」


「あぁ、フレディアちゃんに教えてもらって、作れるようになったよ」


「あ!でも氷の壁を作りながらの移動は出来ないからな!」

「俺の魔力じゃ、せいぜい7回も作れば底が尽きてしまうぞ!?」


それを聞いたカチュアは、ニヤッと笑って答えました。


「1回だけでいいんだ!とびきり分厚い氷の壁を作ってくれ!」


そう言うと手に持ったハルバードを指さしました。


カチュアの持つハルバードは、槍の穂先に斧とかぎ爪を持った長柄の武器です。

ボトルが作った分厚い氷の壁をハルバードで突き刺し、それを持ち上げると、大きな氷の傘が出来上がりました。


「おぉ!すごいなカチュア!!」


巨大な氷の壁を持ち上げたカチュアを見て、アリスが大喜びしています。


「だけど、三階まで体力が持つのかい?」


心配するアリスに、ティアが提案しました。


「もし三階まで行けたら、この作戦の後でデートしてあげるって言うのはどう?」


「「「なに~~~!!!デートだと~~~!!!」」」


「おい、カチュア!絶対に持たせろよ!」


「男を見せろカチュア!こんなチャンスは一生ないぞ!」


クラットとボトルは必死です。


「おぉ!任せろ!!」

「俺は死んでもやり切ってみせるぞ!!」


「よし!その提案受けた!!」

「行くぞ!みんな!!」


アリスの号令で、巨大な氷の傘で矢を防ぎながら一行は階段を登り始めました。

階上からは矢の雨が降り注ぎますが、分厚い氷の壁はそれをすべて跳ね返します。

そして三階の踊り場まで後数メートルまで迫った所で、ブルートが敵に向かって襲い掛かりました。


慌てた魔物どもは、武器を弓矢から打撃の武器に持ち替え始めたと同時に、キャノンガールズが一斉に襲い掛かります。

その場にいたおよそ100匹のオークやゴブリン、ワーウルフなどが次々と倒されて行き、数分後には全滅してしまったのでした。


そして結晶石のある最上階を守っていたのは、5匹のAランクの魔物ガーゴイルです。


アリス達を見たガーゴイルは、いきなり吹雪のブレスを放ちましたが、それをボトルがアイスウォールで防ぐと、メアリーが隠密スキルで近づき、敵一匹を風斬り丸で仕留めました。


ティアは左手のチャクラムを空中の敵に投げつけると同時に走り出し、翼を斬られて落下したガーゴイルの首を、右手のチャクラムで切断しました。


ポニーは塔の壁の突起を足場に飛びはね、空中にいるガーゴイルを鋼の爪で切り刻み、一瞬で倒します。


カチュアめがけて襲って来たガーゴイルの攻撃を、クラットがガードで防ぎました。

急いでカチュアが反撃に出ようとしますが、体力を使い果たしたカチュアは、思うように動けません。


「あっ、ヤバイ!」


思わずクラットが叫びました。


再び攻撃して来たガーゴイルの攻撃がカチュアに届こうとした瞬間、ブルートが襲い掛かってガーゴイルの首を嚙み砕きました。


そして最後の一匹は、アリスのブラックマンバによって葬られ、見事に火の塔を制圧したのでした。


「これがダグダルムの神殿を守る結晶石か!」


祭壇の上に浮かぶ透明の結晶石を見たアリスは、無表情のままムチを振りました。



ヒュン!


パリ~~~ン!!


アリスのムチの一振りで、結晶石は粉々に砕け散りました。


「よし!作戦完了!」


「神殿の結界が消えるまで、これより防衛体制に入るよ!」


アリスの号令で全員塔の守りを固めました。

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