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真珠のネックレス

 わたしの父は、中肉中背で少し、小太り。そして、ちょっとどころでなく頭が薄い。まあ普通のその辺にいる感じのジジイだ。

 そんな父からの結婚のプレゼントが、今わたしの首を飾っている真珠のネックレス。

 今、この場でパパから

「由依、結婚おめでとう」

 と言われ、渡された。

 そして、わたしの首に付けてくれた。

 こんなサプライズはいらないよ。そう声を出せば、パパは優しい声で、

「由依が産まれた時、俺、嬉しくってなあ。何かできないかな? 色々考えたりやっていたんだが、中々思いつかなくてなあ」

 照れ隠しなのか、ボソボソと話す。

「色々と、考えていたら、そうだ、と思い出したのが、以前、本で読んだ、毎年、娘の誕生日に真珠を一粒づつ買うってことなんだ。こんな楽しみはないって思ったんだ。

 だが、宝石店に買い行っても良くわからないんだ。だから,お店の人に色々とアドハス貰い、ネックレスに丁度いいと言われた7〜6ミリの花珠をと思ってとも、高いんだなあ。だから、毎月千円を貯め、一年分で、一万二千円の珠を買うようにしたんだ。3回目か4回目だったカナ? お店の人が覚えてくれてなあ。去年の色と同じくらいの粒を用意してくれて、年によっては粒が小さかったりしてなあ。まあ、由依が中々結婚しないから、小さい方は。こうやってブレスレットまでできてしまったなあ」

 そう零す。顔が真っ赤だ。それを見て、わたしは溢れてきた涙を堪え、微笑む。

「パパ、ありがとう。パパがわたしのパパでよかったよ。絶対に亮司さんを幸せにするから」

 そう宣言すはれば、隣にいた彼が、

「義父さんには勝てると思いませんが、コレからは、僕に、由依さんのフォローを任せてください」

 そう言い、パパをライバルのように睨む。

「ああ、頼む」

 そう少し寂しそうに、パパが笑う。

「新郎様、お時間です」

 係の人の声で、彼が部屋から出る。

 わたしは、パパと二人、最後の時を愉しむように、腕を組み、ワグナーの結婚行進曲が流れる中、バージンロードに足を踏み出す。




YouTubeで音読動画にしました。

よかったら聞いてください。

https://youtu.be/mTSSbDodR5c

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