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ゼロレベル  作者: 光大地
Ⅵ章 滅亡の聖魔街と魔法使いの過去
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Lv41 魔人ブルーの継承

「地図によるとここなんだが……」


俺が地図をしまい、辺りを見渡してみるが、あるのは街の残骸だったものがいくらかあるだけだ。石レンガのヒビ割れた柱が斜めに刺さっていたり、ボロボロになった建造物が建っているくらいだ。


【……】

「あー、なんというか、その、殺風景な」

【何か思うことはある?】

「え?そうだな、ここに来てから空気が変わったような気がする」

「なぜか、俺の心臓の鼓動が早まってきて、冷や汗も…」

【ねえ、“大使館”はどこ?】

「大使館はこの奥を……」

「え?」


俺はふと我に返って、驚いてクームの方に振り向く。

クームは澄んだ目で俺の指差した方向を見ている。

大使館?どういうことだ?なんだそれは?

戸惑っている俺に気を止めることなく、クームは迷いなく歩き始めた。


「クーム?大使館ってなんだ?」

【……大使館まで案内してよ、何かあったんでしょ】

「え……お前、なんで……」

【……】


俺はそれ以上何かを聞かずに、クームに大使館へと案内した。

大使館に着くと、寂れた崩壊寸前の大きい建物が建っていた。


「これは……」

【大使館だよね】

「俺知ってる、俺この建物知ってる、裏口だ、裏口に」


俺は何かに取り憑かれたかのようにフラフラと歩きながら、大使館の裏口へと向かった。

裏口の扉を開けると、そこにあったのはボロボロの高貴な服を着て座り込んだ“白骨死体”だった。


【(´゜д゜`)】

「……白骨死体……だ」

【うん】

「死んでる……」

【うん】

「この人……、!?」


俺が白骨死体に手を伸ばそうとした時、唐突に強烈な頭痛が俺を襲った。

何が起きたのか理解出来ず、頭を抱え込んでその場にしゃがみ込んだ。

クームは慌てて俺のことを心配してさすってくれているが、何かが俺に襲ってきて頭痛が終わらない。

この人は……この人は……!


「落ち着け、ゆっくり深呼吸をして呼吸を整えろ」


俺が苦しみながら、声の聞こえる方へ目を向けると、魔人ブルーが屈んで俺の前にいた。


「なんで、ここに……?」

「今のお前なら、タイムメモリーを掌握出来るかもしれん、慎重に周波数を合わせるんだ」

「周波数?そんなのわからな」

「いま、悪いがお前が記憶を取り戻す最後のチャンスだ。ここで諦めればもう二度と記憶が戻ることはないだろう」

「なっ」

「光魔法を習得した男だろ、考えるな、感じろ」


俺は頭に意識を集中させてみる、頭痛は激しくなり、頭が割れてしまいそうだ。


「違う!そんな滅茶苦茶に脳を弄るな!頭が真っ二つに割けることになるぞ!」

「ぐ……どうしたら……いいん……で……!」

「引き出しを開ける感覚だ!記憶に飲まれるな!」

「あぁ!頭が……割れ……る……!」

「マズい、死ぬ……ダメだ!頑張ってくれ!お願いだ!」

「がぁ!!」


もうダメだと、俺と魔人ブルーが息を呑んだその時。

クームが優しく俺を包みこんで抱きしめた。


「クー、ム?」


クームはもう大丈夫だよと言わんばかりの優しい顔をして頭を撫で始めた。

気がつくと、頭痛は緩和されていて、俺は落ち着きを取り戻した。


「……はっ、今だ!ゆっくり、刺激を集めるんだ……」


俺は落ち着きながら、一点に意識集中させて、記憶の引き出しのようなものを引き出した。

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