Lv39 ■■■と勇者ハルヤ
「ただいま戻りました、■■■様」
近未来的な浮いた白い足場の伸びた先に、ハルヤは■■■の前に跪いていた。壁には緑色の宇宙が見える、何を言っているかわからないが、これが最大限出来るこの空間の表現方法だ。
「経過報告をします、例の魔法使いに敗北しました」
「……そうきたか」
「負けると思っていたんですか」
「どうだかな、敗北ということは無理だったか」
「力が及ばずに申し訳ありません」
「焦る必要はない、それよりも残りの“9つ”の行方の方が今は気になる」
「捜索していますが、未だに見つかりません」
「大丈夫だ、やがて“1つ”になるからな。それまでは時が来るまで泳がせておけば良い」
「その時はいつ来ますか?」
「もうすぐそこまで迫っている」
「……そうですか」
「…………ところで、そこで話を聞いているのは何だ」
「!?」
マズい、こちらの存在を気取られていた。今すぐここから離れ――
次の場面に移った時には、俺の頭は■■■の足元にあった。グリグリと潰されそうになる、抵抗が出来ない。
「カハッ!?」
「戦士!?なぜここに!?」
「裏切ったのか」
「いえ違います!彼は今日捨てたところで!」
「勇者……殿!これは……どういう!」
「あーあァ、テメェは何しに来たんだァ?役立たずどころか俺の邪魔さえするクズがァ?!」
「騙して……いたのか、俺たちを!」
「騙されたテメェの落ち度だからなァ?安心しろ!“有効活用”してやるからよォ?」
「やめろ!俺に何をするつもりだ!」
「命まで取らねェから安心しろよなァ?」
「やはり、魔王軍と繋がっていたか!この愚か者め!」
「愚かなのはどっちかァ?なァ?戦士ィ!」
俺の記憶はここで途絶えている。