Lv3 魔法使いとマスター
前回のあらすじ!
レベル0の勇者クームの特訓で全く成長しないことに
痺れを切らした魔法使いフードが直々に指導することに
彼の素晴らしく精度の高い魔法を見たクームは
魔法を学びたいと伝えるが……
レベル0なら魔法使えなくね?
ということで剣の技術を教えることとなる……
魔法使いだがな!俺!!
そんな時、雲行きが怪しくなってきたことに
気づいたフードは
村の自分の家へ傘を取りに帰ることにした。
クームとスライム。
そして、たくさんの世界樹の葉を置いて……
「……で。なんで……君が……いるの?」
そう言って酒場のマスターが机に項垂れた俺の顔を覗いてきた
「聞いてくれよ!マスター!パーティーに新しいメンバーが
入ったのはいいけどよ、レベル0なんだよ!
しかも向上力ゼロ!ありゃ旅に出るまで時間がかかるぜ?」
「それはいいよ……。お仲間さんは……?」
「あー、置いてきた。」
「!?」
「大丈夫大丈夫!世界樹の葉をたくさん置いてきたからな!それまでに帰ればなんとかなるって!」
「………最近……物凄い強い魔物が現れたって……
冒険者の間で噂……」
「え?冗談だろ?スライム程度の雑魚しか出なくて
ドがつくほどの田舎のここで?」
「……うん」
「……気がかりだな。万が一に勇者が遭遇したら
あれだけの世界樹の葉があっても絶対足りないな
……ま!さすがにそんなことないよな!
さて、そろそろ傘取りに行くか!」
俺がそう言って立ち上がるとマスターがこちらを睨みながら
手を差し出してきた。
「今までのツケ……しっかり払って……」
と言って物凄い睨んでくる。マズい、今ツケを払ったら
破産どころの問題で済まない。逃げなくては……
「早く……」
「あ!そういうことね!ハイハイ握手だな!
はいあーくーしゅっと。いやーファンが多いと照れるね!
それじゃあ!俺、行くからなー!」
と捨て台詞を吐いて逃げ出した。
我ながら完璧な言い訳を言えたと思う。
いや、むしろ才能か?才能では!?
……俺は入り口前で止まって振り返った。
「マスター!元気でな!」
見るとマスターは俯いていた。きっとツケを払わなかった事に激怒しているのだろう……まぁ、魔王倒したらツケも払えるようになっているだろうし!
それに……もしかしたらこれが最後かもしれないから……
俺はマスターに手を振って酒場を後にした
「……手……握られちゃった……」
マスターは一人の酒場で何故か盛り上がっていたのだった……