Lv35 勝利の代償
ハルヤはガクッとその場で跪いた
戦いの終わりを告げるかのように雨も止んだ
「おい…マジかよ…あのハルヤに勝っちまったのか…!?」
【……】
「やったじゃねえか!ク…」
フードが近づくと、クームが眠っていることに気がついた、その顔は何か複雑な顔をしていた。
疲れ切ったクームを抱き抱えて言い放った。
「さすがにあの戦いをしたなら疲れが出るのも当たり前…か、おい!No.1勇者パーティー!良く聞け!俺達が勝ったんだ!もう二度と悪事に手を染めることはやめろ!わかったか!下衆共め!」
「魔法使い!」
「エデン?何か不満でもあるって言うのか?」
「違うの!もう私はあなたのこと見下したりなんてしてない!だってあなたはとても凄いもの!」
「俺は大した人間じゃないよ、この勝利は勇者とヒカルの力を合わせたから成し得たことだからな」
「賢者の私が凄いって言うんだから…凄いの!」
「引き止めた理由はそれだけか?俺達はヒカルを探しに行かないといけないんだが…」
「最後に…名前だけ…教えてよ」
「名前?俺の名前はフードだよ」
「…変わった名前ね?」
「あぁそうですかい」
「魔法使いよ」
「今度はなんだよ、ってなんだその傷!?」
「怪盗に激しくやられてな」
「そうなのか」
「…俺はお前のことを凄いやつだと思っていた、そして見事にNo.1勇者パーティーに勝利した」
「俺を見捨てたくせにか?」
「お前よりも勇者殿が強かったからだ、それは今でも変わらないだろう、お前たちの勇者殿は凄い実力者だ」
「こいつ、レベルゼロなんだぜ?本当にこんな強かったなんて、意味わからねえよ」
「レベルゼロ?兄弟揃って不思議な血筋だな」
「本当にな…え?兄弟?」
「知らないのか?勇者殿とその勇者殿は兄弟だと」
「兄弟だとッ!?!?」
「鈍感さは相変わらずのようだな」
「じゃあこいつは聖剣王国の王子ってことか!?」
「そうだな」
「何で今まで言ってくれなかったんだよ…クーム」
「まぁそのなんだ、怪盗にもよろしく伝えておいてくれ」
「あぁわかった、それじゃあ元気でな」
「あぁ」
「…!そうだ、最後に聞きたいことがあるんだが…」
「何が聞きたいの?」
「お前達が魔王軍と繋がっているってのは本当か?」
「…なぜNo.1勇者パーティーが繋がっていると思う?」
「ヒカルから怪しいって聞いたんだ、それにさっきの死神と呼ばれる者は明らかに魔族…言い逃れは出来ないだろ」
「私たちもあんなの初めて見た…」
「その反応的に、ハルヤが怪しいってことか」
「にわかには信じ難い事実だが、こちらでも目をつけておこう、また何かわかったら連絡しよう」
「わかった、だが俺はお前達を信頼したわけではないからな?」
「そ、そんな…」
「ま、じゃあな」
「これからどこへ向かうんだ?」
「この渓谷の川は海へ繋がっている…そして海流的に三日月海岸に辿り着くはずだ」
こうして、俺達はNo.1勇者パーティーに別れを告げた