Lv33 魔人ブルーの助言
――先刻、ブルーについて行った後
「……」
「おい、何をしている?早く杖を構えろ」
「え?」
「これからお前に1つの魔法を授ける」
「魔法…?」
「さっきも言っただろ、大決戦の必勝魔法」
「その大決戦ってなんなんだ!魔人って魔王軍の仲間なんじゃないのか!!」
「両腕にテラエネルを作れ」
「テラエネルってギガエネルの一段階上の魔法じゃないか!?それを両腕に!?」
「男だろ、それにお前のレベルならもうテラエネルは使えるはずだ。もし出来るようになれたら、お前の質問にいくらか答えてやろう」
「…ッ!!あーもう!やってやるよ!やれば良いんだろ!?」
「…それでこそ、お前だな…」
「テラエネル!!テラ…エネルッ!!」
腕が…重い…!!杖も使わずに直接腕に乗せているんだ、当たり前だ…!!耐えろ…!!耐えてくれッ!!
「…よくやった!あとは2つのテラエネルをくっつけろ」
「2つ…を!?」
「こうやるんだ」
ブルーの頭上で2つのテラエネルが重なる瞬間、激しい音と共に眩い光が辺りを照らし尽くすが、段々収まっていき、眩い光だけがブルーの右手に残った。
「さぁやってみろ」
「ぐあ…ああああ…ああああああ!!」
「良くくっつけた!あとは右手と左手のバランスを揃えて少しずつ抑え込むんだ」
「右…!左…!あああ…あああああ!!」
「マズい、このままでは消滅する…!手を離せ!」
「イヤだ!」
「…!」
「ここでチャンスを逃したら、もう二度とチャンスは訪れないかもしれない!」
「お前…」
「俺は知りたいんだ!自分が何者なのか!空白の6年間を!」
「……」
「やれることは全部やってやるんだ…ッ!!ああああああああ!!!!」
「…ッ!」
「ああああ!!ぐあッ!!…ッ!出来たッ!!!」
「ッ良くやった!」
「これは、何なんだ…?雷魔法…じゃ…なくなった…?」
「それは雷魔法から光の力だけを抽出した光魔法だ」
「光…魔法…これが…」
「闇の力に唯一打ち勝つ方法、それは光だ。その力は大決戦だけでなく、これからの戦いで役に立つだろう」
「手で光っているだけで役に立つのか…?」
「あの岩を見ていろ」
「?」
「ライト」
ブルーが右手の光を岩に向けて放つと、岩が消え去った。
「岩が…消えた?」
「お前も放ってみろ」
「あ、あぁ、わかった。ライト!」
俺も右手の光を岩に向けて放つと、岩が消え去った。
「すぎゃあ…」
「いざとなったら、同じ手順を踏んで光魔法ライト使うんだ」
「わかっ…た?ありがとう?」
「お前も男を見せてくれたんだ、質問に出来る範囲で答えよう、さぁ、何から答えようか」
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「今こそ、ブルーに教わった光魔法を使う時!」
「もう…ダメ…ッ!」
「行くぞ!ライト!」
俺がライトを放つと、ブラックホールは消滅して消え去った。
「た…助かっ…た」
「大丈夫か!?」
俺はすぐさま倒れる賢者を支えた。
「あなた…敵でしょ…なんで助けるの…?」
「なんでって…俺の敵はお前らじゃなくて魔王軍だから」
「ッ!私の完敗ね」
「いや、闇魔法を使える実力者なら普通に戦ってたら俺が負けたはずだ」
「…うん」
「ん?大人しくなったな賢者」
「賢者って呼ばないで!」
「え?」
「私には…エデンって名前があるんだから…」
「はぁ…?わかったよ、エデン」
「ありがと…」
「はっ!それより、早くクームの元へ行かなくては…!」