Lv27 聖剣王国の陰謀
「それにしても、私たちはあの城を目指して旅をしているんだよな?」
枯れた木の上から海の向こうにある魔王城を指差して俺達に語りかけた。
「正確には魔王討伐だけどな」
「海の真ん中にあるなら船に乗って行くなり方法はたくさんあるだろ?」
「…一度やったことがある」
「そうなのか?」
「だが…。いや、思い出したくない」
「何かあったのか…?」
「…あれは今考えるとD級モンスターだったのかもしれない…。仲間の1人と船を失ったんだ、魔王城には結界も張ってあったし…」
「そ、そうなのか…」
【ウサギさんはニンジンが好きだね(・∀・)】
「お、今日の晩御飯はウサギ肉だな」
【ダメだよ!?】
「休憩もこのくらいにして、そろそろ行こうか」
「そうですね、師匠」
【えー?僕はもう歩き疲れたよー】
「我儘言ってると置いてくぞー?」
【待ってよ!】
「あ、そうだヒカル。そろそろ俺の質問に答えてもらうからな?なんで怪盗なんかやってるのか」
「いよいよその話をしないといけないな…」
「仲間に入った以上、聞かせてもらわないとならない」
「なぜ怪盗になったかは、次の目的地に辿り着いたらわかる」
【?】
「No.1賞金首にまで成り上がってしまった経緯を話させてほしい」
「どうぞ?」
「私は真相を掴むために聖剣王国に忍び込み、情報を盗み出そうとしたんだ」
「待て待て待て待て?俺達置いてけぼりなんだが?真相?何のことだ?」
「私は知り合いの情報屋からとある噂を聞いたんだ。聖剣王国は魔王と手を組んでいる可能性があると」
「嘘だろ!?世界一の大国だぞ!?そんなわけ…」
「考えてみると、ないとは言い切れないんだ。大国なのに魔王誕生からこの日まで4度しか襲撃を受けたことがない、それに魔王軍の動きがおかしいんだ」
「魔王軍の動きがおかしい?普通に侵略活動をしてるくらいだろ、世界征服も間近とでも思ってんだか」
「勇者パーティーをきめ細かに把握しているようだし、国政の状況なんかも把握しているみたいだし、変に魔王軍に都合が良すぎるんだ」
「そんな…わけ…。いや、否定…できないような…。」
「それに、他国は常に魔王軍を警戒しているのに対して、聖剣王国は何か楽観視している感じだ。何か裏はあると考えた私は王城に忍び込んだ、そこで埃をかぶった王の日記帳を見つけた」
【日記帳…?】
「最後に書かれたのは十年前の大襲来の前日だった。その後私は見つかり、次の日には私はNo.6からNo.1賞金首に成り上がっていた、というわけだ。」
「まさか、聖剣王国に何か裏があったとは…、ハルヤはそのことを知っているのか…?」
「なんならNo.1勇者パーティーもグルと考えているがな」
「それは無いんじゃないか?俺がいた時は常に命懸けで何度もメンバー交代が…」
「なぜハルヤ君は生き長らえている?」
「え…?」
「そこまで死闘を繰り返していて五体満足で生き残っている?」
「……」
「本当に魔王軍と戦うつもりなら、聖剣王国とNo.1勇者パーティーも敵に回す日が近いうちに来る。その覚悟も私達は持たなくてはならないだろう」
「まだ…確定したわけじゃないだろ…?」
「まぁ…」
【暗い話ばっかりしてると小皺が増えるよ( ・∀・)】
「お前は少しくらい真面目に話を聞けっての!」
【ぎゃあぁあぁ!】
「旅をすればするほど謎が増えていく…まぁわからないことを考えても仕方ない!今を大切にしていくか!」
【手を!手をはなあああああ!!】
「その辺にしといたらどうです?師匠?大丈夫か?クーム」
【痛かった(ノД`)シクシク】
死天順王も虹貝の笛をなぜか狙ってたし、何が目的なんだ?どんなものでも眠りを必ず覚まさせる神器、ちゃっかり優勝していたっぽいマスターから運良く押し付けられたけど…。てかアイドルコンテストは暇潰しで参加してたのか…なんとなくマスターらしいな、昔から何を考えてるのかわからないやつだったし…。物は試し、一回吹いてみとくか。
「ピユーーー!!!」
「な!?」
【!?!?】
「な…なんて変な音だよ師匠!ハハハッ!」
【その笛僕にも貸してー!】
「あれ?なんだこの笛、吹くのがとても難しいぞ!?」
「ただの貝の笛が?師匠の才能(笑)なんじゃ?」
【僕も吹かせてー!】
荒れた大地に汚い音が響き渡ったわけだが、
この笛の効果は“眠りを覚ます”…ん?
オーク3体が目の前から物凄い勢いで突進してくる!?
すぐに俺達は戦闘態勢へと移行した
3人揃っての初戦闘?だ!