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ゼロレベル  作者: 光大地
Ⅳ章 戦乱のアイドルコンテスト
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Lv26 旅立ちの時

「大丈夫ですか!?」


俺が目を覚ますと目の前に立っていたのは兵士だった

重い体を起こしてみると、ベットに横たわっているようだった。宿屋とは違うこの場所はどこなのかを聞こうとしたら、先に教えてくれた


「ここはウルフタウンの役場です。ドームの前で倒れたあなたをここまで運ばせていただきました。」

「そう…だったのか…イテテ!…あれ包帯が…」

「みなさん重症でしたので手当てをさせていただきました。」

「そうでしたか…わざわざありがとうございます。」

「今、会議室にて町長が怪盗ヒカルへの今後について話されていますので、その後にお話を聞かせていただけますか?」

「ヒカルが…!?」

「あ!そんな重症なのに動いてはダメです!!」


俺は兵士の声を無視してヒカルの元へ走り出した。

No.1賞金首と言っていたんだ、即打ち首されてもおかしくはない。

俺は会議室と書かれた扉を開けて中に入った


「ヒカル!!大丈夫か!!?」

「フード!?なぜここに…!?」

「町長さん!!ヒカルは…ヒカルは食っても美味しくないんです!!!」

「なっ!?何を言ってるんだ!?」

「落ち着きたまえ、魔法使いフード君。君達の話は聞いているよ。狼男となっていた英雄君を元に戻してくれたんだってね?」

「え?あ、はい。そうです」

「そして、ドームで魔王軍の襲撃からこのウルフタウンを守ってくれた。君達には頭が上がらないよ」

「両方ともヒカルも手伝ってくれたんだ!だから!」

「しかしだね、彼はNo.1賞金首なんだ。例えこのウルフタウンを一緒に救ってくれたとしても、聖剣王国へ引き渡さねばならないのだよ」

【ヒカルは悪い人じゃないよ!】

「おあっ!?クーム!?スケッチブックを投げるな!?危ないだろ!?」

【ヒカルは…ヒカルは食べても美味しくないよ!!】

「何を言ってんだ!?」

「…正直な所、虹貝の笛がドームごと潰れてしまって、優勝者には代わりに賞金を用意したいのだよ。余った金額でドームの再建費用に当てたいしな」

「うっ…」


No.1賞金首の怪盗ヒカルは1億ダルの懸賞金がかけられている。こればっかりはどうしようもない…か、俺が最終手段に手を出そうとした時、ヒカルが口を開いた。


「…もし、虹貝の笛をこの場に出すことが出来たら、私を解放してくれるのか?」

「…おとぎ話のような事を言うでない」

「クーム、私のジャケットの右ポケットから取り出してくれないか?」

【何を?】


疑問に思いながら右ポケットを漁ると、

出てきたのはまさかの虹貝の笛だった!?


「は!?おま!いつの間に!?」

「No.1賞金首の私をみくびりすぎだ、死天順王?が来た時の騒ぎに紛れてこっそり盗んでおいたのだ。もし、何かしらのことがあってこの笛を盗まれでもしたら大変だったからな。ドームと潰れたのはすり替えた偽物の方だ。」

「なんと!つまり…虹貝の笛を守ってくれた、ということなのか!?」

「…物わかりが良いな、魔王軍があの虹貝の笛を狙っているのを情報屋から聞いたんだ。だから先回りをしてケースから偽物とすり替えようとしたんだが、間に合わなくて…結果的に守りきれたから良かった…ってところかな」

「お父さん!お兄ちゃんをいじめないで!!」


突如!会議室に新たな人物が入ってきたと思えば、さっき助けた女の子ではないか!え?まさか…。仕事で忙しいお父さんって…そんな小説みたいな展開があるわけ…。


「なっ!?今お父さんは大事な話をしてるんだ!下がってなさい!」


あるんかーい


「このお兄ちゃん達はスライムから帽子を取り返してくれたの!だからいじめちゃダメ!!」

「まさか!娘のことも助けていただいていたとは!」

「まさか町長さんの娘さんだったとは…」

「ここまでしていただいて、本当に感謝しきれません!」

「…頼みます町長さん。ヒカルを…見逃してやってはくれませんか?」

「…」

「実は、ヒカルは色々あって俺達勇者パーティーに入ったんです。俺達は必ず魔王を討伐してみせます。なので、その…」

「…わかった。今回は見なかったことにしよう」

「…!!やったー!!」

【\(^o^)/】


その後、町長さんと女の子は玄関まで見送ってくれた


「…もう行ってしまうのか?」

「俺達は勇者パーティーですからね、用もないのにいつまでも滞在するわけにもいきませんよ」

「また遊びに来てね…?」

【任せておいて(≧∇≦)b】


色々危なかったが、なんとか町長さんから解放された俺達は、ウルフタウンをあとにしたのだった。結局優勝者は誰だったのだろうか…。そう考えていると、後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。


「もう…行っちゃうの…?」

「お?マスターか。あれから大丈夫か?」

「私はなんともないよ…フードの方が…!」

「もっと強くならないとだよな、ドームを守ることも出来なかったし、クーム達も守れなかったし…」

「自分の身くらい自分で守るさ」

【足手まといにはならないよ!】

「ふふ…。…フード…これ…旅に役立ててほしいの」

「これって…虹貝の笛!?なんで…」

「私が優勝者だからよ」

「え…!?」

「いってらっしゃい、気をつけてね…?」

「あ、あ、え?そんな…もらっていい…のか?」

【走って行っちゃった…】

「こんな…なんで…え?」

「師匠って鈍感なんですね。行こうクーム」

【鈍感…?】

「は?え!?どういうこと!?」


俺は2人の後を追って、今度こそウルフタウンを後にした。

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