Lv23 勇者の人助け
前回のあらすじ!
魔法使いフードが謎の夢を見た!
英雄には真実を告げなかった。
怪盗ヒカルはどこかへと行ってしまった。
フードは勇者クームを探しに行く!
それでは本編行ってみよう!
ヒカルと別れた後、俺はガヤついた市場にたどり着いた。さすがは世界最大の貿易都市と呼ばれるだけはある。昨年の競りで2000万ダルで龍竜の剣が落札したと聞いた時には、世間がざわついたものだ。確かウォルターの所属する勇者パーティーが競り落としたんだっけか。自慢された時には「ハルヤは王者の剣を持ってるんだぜ!?」って対抗したっけか。あ、王者の剣ってのは聖剣王国がNo.1勇者パーティーに贈る代物だから、競りに出せば1億ダルはくだらないんじゃないかな。と思いつつ俺が歩いていると、とんでもない物が目に飛び込んできた。
マギツネの面である。何がとんでもないかって?この面を被ると面を外さない限りは正体がバレないという、とんでもない伝説の装備だ。まさか一般の市場で売られているとは侮れないな…。買いだな。
「なぁ、おっさん。この面はいくらだ?」
「…なんだ冷やかしか…?そういうの結構だから。」
「いやいや!マジで買いに来たんだよ!この面のデザインさ、好きだったからさ!」
「お、なんだ。話がわかる小僧…。ん、お前は英雄を元に戻した魔法使いか?」
「え?なんで俺を知って…」
「あったりまえだろ!ウルフタウンを救ってくれたんだ!知らないはずがないじゃないか!」
「そ、そんなに興奮することか…?」
「英雄は狼化することを除けば、ゴミ拾いに街の警備に…みんなから親しまれてたからな」
「…そうだよな」
「ウルフタウンを救ってくれた勇者パーティーの魔法使いとあらば値段を安くしようじゃないか!」
「マz…!…いや、俺達は別に見返りの為に戦ってるわけじゃないし、英雄が元に戻った。それだけで俺は嬉しい限りだよ」
と俺が振り返ると、いつからか話を聞いていた。昨日の酒場連中達とかが沢山集まっていた。
話終えると同時にウオオオオオ!と歓声が上がった。
「何から何まで出来すぎたやつなんだよ魔法使い!」
「見返りの為に戦ってるわけじゃない…カッコいいわぁ!」
「お前達勇者パーティースゲェよ!スゲェよ!」
「まだ今は何もしてないだろ!?野次馬を作るんじゃねえって!」
「魔法使い様!これ魔王討伐の役に立ててください!」
「魔法使い様!これも持っていってくれよ!」
「魔法使い様!サインくださぁい!」
「ちょっ!いらないって!っつーかサインって…危ない契約書じゃねぇーかぁ!」
「魔法使い様!今日のアイドルコンテストの特等席チケットです!よろしければ私を見に来てください!」
「はぁ!?意味わからないって!英雄を元に戻したくらいで大袈裟過ぎるって!!!」
「って!!」
「って!」
「って」
俺はなんとかあの野次馬から逃げ出すことに成功して、人の気の少ない通路まで来た。たくっ、何が奴らをここまで駆り立てるんだ…。まぁでも…悪い気はしないかも…な。
俺が入り浸っていると、子供のすすり泣く声が聞こえた。よく見て見ると家の前の階段に座って泣いている女の子がいた。
「ほら、ハンカチ貸してやるから泣くなって」
「うぅ…。お兄ちゃんありがと…。」
「一体全体何があったんだ?」
「あのね…。私ね…。あっちの公園で遊んでたの…」
「それで?」
「そしたらね…。草むらからね…。スライムが出てきてね…。帽子を取られちゃったの…。うぅ…。」
「それで泣いているのか?」
「それでね…。さっきね…。私が泣いていたらね…。無口の人がね…。私の帽子取り返してくれるって行っちゃったの…。」
「無口の人…。クーム!?」
「ずっと帰ってこなくて…。もう一時間経つのに…。見に行こうにも怖くて…。うぅ…。」
「わかった!わかったから泣くな!俺が様子見てきてやるから!」
「ほんと…?」
「あぁだから待っててくれー!」
俺は急いでクームのいるという公園へ向かった。
公園に着いた時、俺の悪い予感は的中してしまった。
クームが剣を当てる事も出来ず、スキルを乱用しているが、全部外れてスライムに遊ばれている。
スライムD戦で、あれだけ覚醒していたというのに酷い有様だ。まぁレベル0なら仕方がないのか…。
「ギガエネルッ!!」
俺はそう言って赤いスライム二匹を追い払った
やれやれといった形で俺はクームに近づいた
「大丈夫か?」
【フード…】
「やれやれ、スライムD戦でまぐれ勝ちしたからって、つけあがり過ぎなんだよ。レベル0なんだから。」
【そんなことないよ!してんじゅんおうともガーゴイルとも戦って勝ってるんだよ!】
「なーに言ってんだ?四天順王もマスターに助けて貰ったんだろ?どうせガーゴイルだってヒカルに助けて貰ったんだろ?」
【してんじゅんおうは…負けたけど…。ガーゴイルは僕も活躍したんだよ!】
「はいはい、わかったわかった。俺は別にハルヤと違って戦力外になったら追放とかしないから。俺のレベルは今29だ、いざとなったら守ってやるよ」
【守ってもらってばっかりじゃ…ダメなんだもん…】
「…。まぁ帽子も取り返したんだし。あの子に返しに行こうぜ。」
【うん…】
やはり、レベル0のクームは俺が守ってやらないとな
俺はクームの怪我を手当てしながら女の子の元へ向かった。