Lv20 酒場で歓迎会
前回のあらすじ!
魔法使いフードのカッコ良さに惚れた怪盗ヒカルが
落ちこぼれ勇者パーティーに参入することに!
聖水を持ってウルフタウンへ急げ!
おや?あれは四天順王の2と4。勇者クーム達を監視しているようだが…
「にしても洞窟がスッカラカンだったから入り口まであっという間になったな」
【( ゜д゜ )】
「元々バイキングのアジトだった割には空っぽでしたね。師匠」
「まぁ俺達が吹き飛ばしたからな」
「…え?」
【酷いんだよ!フード僕ごと吹っ飛ばすんだから!】
「さすが師匠!カッコいいっす!」
「こいつ…思ってる以上にバカなのか…?」
「そこら辺は大丈夫だ!怪盗は知力と俊敏力が高くなければなれないんだからな!」
「その割には単調な罠に引っかかるなんてな…」
「なっ!?それはいつものことだ。なんだかんだで今まで生き残ってきたからな!アッハッハ!」
【やれやれヽ(´ー`)ノ】
「全く…調子の良い奴だな…。!?ゲホッゲホッ!
はぁ…なんだ…?って血?なんだってこんな縁起の悪い…。さっきの戦いか…?まぁ気にするほどじゃないか」
俺は気にせずに2人の後を追いかけた
「さて、ウルフタウンに着いたことだし。早速聖水を渡すとするか。おーい!おっさん!聖水を取ってきたぞー!」
「まさか!本当に戻ってこられたのですか!ってどうしたんですか!?その傷は!」
「あぁ、洞窟の中にD級モンスターがいたからな。きっと今までに行かせたやつらは…きっと…」
「そうだったのか…。まさか洞窟がそんなことになっていたとは…。」
「んで!さっさとこの聖水で熱血野郎を元に戻してやってくれよ」
「わかりました、早速調合に入りますね」
「あぁ、そうしてくれよ。俺は疲れた」
ドサッと座り込むと目眩がした。
こういう時は酒でも飲んで頭をガッと飛ばしたい…
俺の様子を心配したクームが肩を貸してくれた
【フード大丈夫?一人で狼もガーゴイルDも相手にしたんだから疲労が溜まってるんだよ、きっと】
「…あー……k…だ。」
【?】
「酒だ酒だ!酒場行くぞクーム!ガーゴイルDを倒したんだ!祝杯を上げに行くぞォ!」
【やめときなよ…今日は宿屋で休んどこうよ…】
「いや、酒場でヒカルのパーティー登録も…あれ?ヒカルは?」
【ここに着いた瞬間にどこかに行ったよ?】
「?。全く不思議で変わってて調子の良い奴だ…。
おっさん、後のことは任せてもいいか…?」
「もし…!あなたはもしや、No.1勇者パーティーにいらっしゃった魔法使い様ではないのですか…!」
「…誰だろうな、それ。俺はお面を被ってないし、人違いじゃねえかな。」
俺は重い足取りを取りながら、クームの肩を貸してもらいながら酒場へと歩いて行った、満月は酷く綺麗な夜だ…
【それにしてもフードはウルフタウンに来たことがあるの?】
「…あぁ、前にいた勇者パーティーで一度来たんだよ。俺と英雄は当時一緒に旅をしていた仲間だ。」
【!?】
「雰囲気でわかるだろ…。」
【なんで英雄さんは勇者パーティーを抜けたの?】
「…俺と同じく追放だ」
【…】
「ハルヤはいつも強さを求める為なら手段を選ばねえクソ野郎だ。…いや、まさか、そんなはずはない…」
【どうしたの?】
「あいつがパーティーを入れ替える時はほぼ換えを見つけた時だけなんだ。狼男の呪いに勘づいて…。はは…考えすぎだよな…。」
【( ´ー`)y-~~】
「どうやら事は済んだようだな!とうッ!」
「あ!ヒカル!どこ行ってたんだ!ってかその格好どした?フードなんか着込んで…」
「そうなんですよ!師匠に折り行って話して置かないといけないことが…」
「待て待て!話が長くなるなら酒場に入ってからにしろ!」
「いや!あの!ちょっ!待っ!」
俺は制止するヒカルを無理やり引っ張って酒場の中に入った。もう俺の脳内には酒の文字しか残されてはいなかった。俺達が酒場に入った瞬間、盛大なクラッカーと拍手が包みこんだ。
「な、なんなんだ。いきなり!?」
「いやー!あんたは俺達のヒーローだよ!英雄を元に戻してくれたんだろ!?」
「な、なんでもう知ってるんだ…?」
「そりゃもう下町じゃ噂になってるからな!狼男を倒してくれた手前、No.1勇者パーティーにもいた英雄様を討伐することが出来ずにみんな目を瞑ってたんだ!」
「俺から酒を奢らせてくれ!」
「俺も俺も!」
「僕も!」
「私だって!」
「おいおい、俺は1人なんだから相手し切れねえって!クーム!?おい、俺を置いて行こうったってそうは行かねえ!おい!お前ら!俺達は新参の勇者パーティーだ。目的はただ1つ!」
俺は貰ったジョッキを机に叩きつけて言ってやった
「魔王討伐だ!そんな我が勇者パーティーのリーダーこそ!彼だ!勇者クームだ!あいつを胴上げするぞォ!」
【!?!?】
俺がそう告げると、俺を取り巻いていた連中は逃げ出したクームの元へ向かって胴上げを始めた。
俺を先に見捨てたのはお前だぜ?クームよ。悪く思うなよっと。そう考えながらカウンターへ向かうと、ヒカルが立って待っていた。近くにいた男が俺にこっそり耳打ちをしてきた。
「ここの酒場のマスター、超美人さんなんだぜ?」
「え!?マジ!?」
「明日のアイドルコンテストにも出場するって話だ」
「アイドルコンテスト…?」
「知らないのか?このウルフタウン1番の名物だぜ?年に一度の魅力的な男と女のNo.1を決める大会だ。
筋肉部門と美形部門とか…とにかく熱狂が凄い大会なんだ。ウルフタウンにまだ滞在するんなら見ていったらどうだ?」
「ほぉ、そりゃ興味深いな。」
「…その大会には巨乳の美女が出るって話も…」
「そいつは良いこと聞かせて貰ったぜ同士よ…」
「フッフッフ」
「フッフッフ」
「私の前で気持ちの悪い話をしないでもらえるか?」
「そういやパーティー登録だったな、さーて、この酒場のマスターはどのくらい美人さんなのか、見させて貰おうか…」
「いや、だから、待っ」
酒場の奥から出てきたのは艷やかな水色の髪、したたやかな瞳、可愛い猫耳…。あれ、これ、どこかで…
「あれ…君…来てたんだ…」
「ブーッ!ゲホッゲホッ!はぁ!?マスターじゃねえか!なんでここにいるんだよ!!」
「行ってなかった…?私…全地域に酒場を展開してるって…」
「え、知るわけないだろ。てか凄」
「ありがと…」
「にしても、がっかりだなー、美人っちゃ美人だけど、顔見知りだからなーもっと新しい顔が見たいんだよ俺は!」
「私じゃ…不満だった…?」
「まな板だしな」
俺はマスターの華麗なる正拳突きを喰らってしまった
その後に正拳突きした本人から心配された
え?サイコパス?そんなマスターが
目を逸らしながら黄色いバラを渡してきた
これは…
トゲがあるから針に刺さって死ね…ということ…!?
俺は顔面蒼白で黄色いバラを食べた。
今回は正拳突きをされずにしょんぼりされた。
おいおい?どこまで俺に死んでほしいんだ?
「あ、そうだ。俺の勇者パーティーに新メンバー参加するから、書類出してくれよ」
「だからちょっと待てとさっきから言ってるだろう!?」
「今更往生際が悪いぞッ!入るって言ったんなら責任を持っては・い・れッ!」
「あぁ!私の手を勝手に使ってサインをするなぁ!」
「ほい!マスター!これ受理頼んだ!」
「…いいの?」
「いいのいいの!こういう時に新メンバー逃したらダメなんだよ、フッフッフ」
「私は入っても構わないんだ!ちょっと来い!」
「ちょっ!?何々!?あ!マスター!いつものやつ!」
俺が腕を引っ張られるがままになっていると角のテーブル席に投げ捨てられた。もてはやされていたクームも戻って来て俺の横にちょこんと座った。
真剣な顔をするヒカルを見つめていると、マスターが酒とジュースを持ってきてくれた。
【僕もお酒飲みたい(´~`)モグモグ】
「だったらさっさと成人しろ」
【(ノД`)シクシク】
「それで、いきなり呼び出しておいて何の話だ?
あ、ウチは入るのは簡単だが抜けるのは容易じゃないぜ?」
「私が“怪盗”をしているのことは聞いたな?」
「あぁ、盗賊の上位職だなんて頼もしい」
「私は一億ダルの賞金首だ」
「……へ」
「賞金首のトップランカーだ」
「はぁ!?聞いてねえぞ!?詐欺じゃねえか!」
「だから私はあれほど言ったんだ!話を聞けと!」
「おいおいおいおいおい!?俺達のパーティーは最低でも2ヶ月は逃げ出すことは出来ないようにしてあるんだぞ!?」
【え?(・・?】
「ミイラ取りがミイラになっちまうなんて普通思うか!?」
「一旦落ち着け!伝えなかった私の落ち度でもある。本当にすまなかった。」
「いや…俺の方こそすまん。」
【もしかして僕って知らない間に監禁されてたの?(・・?】
「当たり前だろ?」
【( ゜д゜)】
「……なぁ、ヒカル。こんなことになって本当に申し訳ないんだが、ヒカルさえ良ければ俺達勇者パーティーで仲良くやっていかないか?……元々その手筈だし…」
「良い…のか…」
「勿論だ、賞金首だろうとなんだろうと!俺達勇者パーティーに入ったなら大歓迎だ!な?クーム」
【うん!もちろん!\(^o^)/】
「うっ…うっ…ありがと…師匠…」
「あぁ、まだその設定あったんだ。ハハッ!ようこそ勇者パーティーへ!」
俺が乾杯!と言うと3人は各々のグラスとジョッキを片手に祝杯を上げたのであった…