Lv12(後編) 魔法使いと鬼人(キヒト)
前回のあらすじ!
色々な偶然が重なることによってスカイドラゴンを仕留めた
レベル0の勇者クームと魔法使いフード
霧が濃くなってきた中で、フードがクームを脅したことで
クームが走り出してしまったのをフードが後を追う……
そんな時、スカイドラゴンの元へ戻ってきた
魔王軍最強格の死天順王の2の鬼人と4のボンバーン
何やら鬼人はクームとフードに
対して怒りを感じているようだが……?
「はぁ……はぁ……どこに行ってしまったんだ………?」
走り出したクームを追っては見たものの見失ってしまった……
まぁ、霧が濃いから仕方がない
ドラゴンもスライムもいなくなったわけだ
きっと、大丈夫だろう………か
レベル0のクームに………大丈夫なのか……?
…………最近、やけにクームのことばかり考えてしまうな
昔から面倒見が良いって言われてたからなー……
ん?捏造なんてしてないからな?決して!………多分
まぁ……クームは何かと危なっかしいからなぁ………
この前も、村の酒場の前に飾られた。
英雄の像を破壊しかけたからな………
まぁ、元々少し壊れているんだがな………
俺がずっと、クームを無視して礼拝していたら
剣で破壊しようとしたからな………女々しいやつだ
……………俺は杖を構えて目を閉じた
その直後、背後から気配を感じた。
この禍々しいオーラは今までの人生で初めてだ
昨日のスライムと比べ物にならないだろう
恐る恐る振り返ると、謎の仮面をつけた男が立っていた
とても荒々しい服装をしていて、金棒が武器………
あ、もしかして、これ鬼の仮面か?
なんて考察をしていると、男が口を開いた
「貴様が……勇者パーティーの魔法使いフードだな……?」
「あー……まぁそうなるな、
前にいた勇者パーティーを思い出しかけた………」
「私は魔王軍最強格の死天順王の2。鬼人だ。
今から貴様を必ず殺す。」
「死天順王?聞いたことあるな、確か魔王軍最強格の……」
「それはさっき私が説明した」
「あ、そうか。
星の紋章も身に着けているし、嘘ではないのか……
それで?何で無名の勇者パーティーに所属する俺を殺す?
俺が前にいた勇者パーティーを
全力で潰すべきじゃないのか?」
「貴様達はスライムDを殺した……そうだろう?」
「え?もう魔王サイドに伝わっているのか?」
「あれを倒せるのは勇者以外にあり得ない。
つまり、お前達ほどの実力者は、ここで死ぬべきだ」
「なるほど……クームも殺しに来ているのか……」
「あぁ、今頃死んでいてもおかしくはないな」
「?どういうことだ?」
「勇者の元にも死天順王を送り込んでいるからな……」
「は!?」
俺の記憶が正しければ、死天順王は1人で町1つ破壊が出来る
そんなやつとレベル0のクームが戦ったら結果は分かる
完全敗北!!
腕を切られて、足を潰されて、頭を破壊されるのだろう………
早く助けに行かなくては………
と思ったが、目の前にいる死天順王をなんとかしないとな
「貴様は……私のスカイドラゴンを殺したな………」
「…………ん?スカイドラゴン?あー殺ったな」
その瞬間、オーラが禍々しい色に変わった
ヤバい………地雷踏んでしまったようだ
ま……まさか………
「私達がここまで乗ってきたスカイドラゴンだ………
私に一番懐いて、心を通わせ、
仲良くやってきたスカイドラゴンを………
貴様は必ず、ここで殺す……!!」
「あ、なるほど。だから2匹のスカイドラゴンがいたのk」
予備動作無く、俺に近づき金棒を振ってきた。
速い……前勇者よりも強いぞ!?これ!?
俺は冷静に体を仰け反った。金棒の振りは避けた
完璧だと思ったんだが、吹き飛ばされてしまった
木に着地を試みたが………木が折れてしまった………
俺のレベルが25じゃなければ確実に骨折していただろう……
(いつの間にかレベル上がってる《1話参照》)
落ち着け、とりあえず反撃だ
「ギガエネル!ギガエネル!ギガエネル!ギガエネル!」
なんと、4連雷魔法を余裕で避けやがった
あの焦りを感じない表情(仮面で見えてない)、あれは余裕だ
圧倒的戦力差による…………強者の余裕………!!
接近戦にだけはしてはいけないな………
その瞬間、彼の金棒攻撃を完全に喰らってしまった……
俺は骨が砕けた音を聞いてしまった………
俺はキヒトの背後に吹き飛ばされて倒れてしまった
「なんだ……サイバーの忠告は杞憂だったか……
早く殺して……任務を終わらせるか………」
「…………ガハッ!!………いってェ……
俺はまだ……死ねないんだよなァ……………」
「もういい………楽にしてやる………」
「分かった…………こっちも120%で戦ってやるよ!!
エクストラスキル:獣を繰りし者!!」
俺がそう告げた瞬間、俺の足元に魔法陣が描かれた
魔法陣から何かが俺に纏わりついた
キヒトは呆気に取られている
姿の変化はほとんどない。
目が光り、ローブのフードが空中へ溶け出しているくらいだ
俺の意識が保っていられる内に早く殺せ
「アアァ………ウアアァァ………オオオオオオオオオ!!」
「なんだ………貴様………姿が………魔族……か……?」
俺は杖を腕で高速回転させながら、光速移動をする
かろうじてキヒトは俺の攻撃をガードしているが
俺の攻撃速度に追いつけていないように見える
このまま完封して………ウ………ウアアァァ!!!
「ウアアァァ!!」
「!?もしかして……理性がない……!?」
「ウアアァァァァァ!!」
「押されている……油断していたせいで……反撃が………!」
「ウアアァァァァァァ!!!?!??!!?」
「化け物…………人間………なのか………?」
このままだと、押し負けてしまう………
だが、この回転攻撃には隙が無い。防ぐだけで精一杯だ
………エクストラスキルって何………?
皆がスキルを持っているのは知っている………
だが、ここまで強力な物なのか………
冷静に見えるかもしれないが、状況は最悪すぎる
その瞬間、フードの攻撃がキヒトに当たった!
仮面が吹き飛び、キヒトの素顔が露わとなった
キヒトの素顔を見た瞬間、
フードのエクストラスキルの効果が切れて、我に返った
「え………兄……貴…………?」
「………!!!!」
直ぐにフードから離れると、お互いに戦意を喪失していた
その瞬間、草むらから猫のような何かが飛び出して
フードを守るように前に立った
その正体は、酒場のマスターだ
「あなたは………誰………?」
「…………命令は勇者と魔法使いだけ殺せ……か……
一旦撤退とするか………」
「待って!」
「追わなくていい!!!」
「!?。大丈夫!?」
「あぁ………それにしても………マスターが……なぜ……ここ……に」
「あ…………それは………」
「!?ゲホッゲホッ!!」
俺は激しい吐血に襲われた。息苦しく、頭痛が酷い
マスターの心配する声を横目に俺は意識を失ってしまった