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超短編集〜雫のかたち3〜

作者: 今河
掲載日:2023/03/16

バツの気持ち


 公園で、どちらが大きいバツ印を書けるか、友達と競っていた。


 初めは、小枝で砂場を掘っていた程度だったが、勝負は白熱していき、学校からライン引きを借りたり、隣町の広い公園まで足を伸ばしたりした。


 一週間後、携帯のニュースを見て、額から汗が吹き出した。


 「公園に謎のバツ印! 宇宙人からの交信か」


 ………………………………………


丸の気持ち


 深夜残業の帰り道。


 私は誰も知らない秘め事を楽しむ。


 夜空に向けて、オッケーマークを作るのだ。


 人差し指と親指の輪の中には、まん丸のお月様がぴったりと張り付いている。


 幼い頃から優等生を貫き、会社でも傀儡のよう。


 からっぽの私。


 でも、今、この瞬間だけは希代の大怪盗となる。


 月泥棒の誕生だ。


 ………………………………………


三角の気持ち


 小学生の頃から、ずっと好きだった優也。


 二人きりで話があると誘われると、もちろん期待してしまう。


 ステンドグラスに囲まれたカフェ。


 高鳴る胸を必死で抑え込んでいると、彼が口火を切った。


 「実は…俺、圭介のことが好きなんだ」


 私の元カレ・チャラ男の圭介。


 なるほど。


 ライバルはなかなか手強そうだ。


 ………………………………………


四角の気持ち


 夏休み最後の日曜日。


 僕は一人、教室で自分の机を見つめていた。


 指でなぞると、これまで刻んできた思い出が蘇る。


 友達と落書きをして遊んだ時期もあった。


 机の中には、切り裂かれた教科書と大量の虫の死骸。


 僕は、そっと手製の爆弾を忍ばせた。


 もう二度とここに戻ることはできない。


 「さようなら、二年二組」


 ………………………………………


星型の気持ち


 太ももにある星型の痣は、私の誇りだ。


 推しメンの首筋にも同じ痣があることに気付いてからは、堂々とミニスカートを履けるようになった。


 「おそろじゃん」と羨ましがる者もいれば、「痣をいじるとか可哀想だって」と嫌悪感を抱く者もいる。


 どちらも正しい。


 けれど、最後は自分が決めちゃえばいいか。

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