マスクの外せない世界
ご覧いただきありがとうございます。よければ最後までお読みください。
2025年。いつまで新顔つらしてるんだと噂の新型コロナウイルスは未だに猛威を奮い、マスクをつけているのが日常となった。
そんなある日。ある発明家がとあるマスクを発明した。そのマスクは「しゃべるマスク君」
その売り込みの様子をご覧いただこう。
ピンポーン
「あらどちら様かしら?」
「こ……こんに……ちわ」
「こんにちは!奥様。突然失礼します。今この辺りでマスクの新商品のご案内を差し上げておりまして、お時間よろしいでしょうか?」
「あら、でもマスクはあるので大丈夫ですわ」
「マスクの……紹介……を」
「実はこのマスク普通のマスクとは違いまして、話している人の声を学習して、お話ししてくれる機能があるのです。今私の声も実はマスクが話しております!分からないでしょう?」
「えっ本当なの?ちょっとマスクを外して見せてちょうだい?」
発明家がマスクを外す。マスクしてるとイケメンに見えるけど、意外と普通の顔ねと主婦が思っていると、マスクから声がする。
「ほら!このように同じ声がするでしょう?」
「……で……しょう?」
「あら!本当ね!でもあなたが本当に話しているかもしれないでしょう?お試しはできないのです?」
「できますとも!実際につけてみてください!」
主婦がマスクを着ける。普通のマスクと何ら変わりがない。喋り出す様子もないので思わず呟く。
「普通のマスクねこれ」
「普通のマスクとかわりないように見えますけど、本当に話すのかしら?」
主婦は驚く。呟いたことを丁寧に自分の声で言ってくれるからだ。
「凄いわねこれ!おいくらかしら?」
「世界が羨むほどの高機能ですわ!是非ほしいのだけれどお値段はおいくらかしら?」
「1500……円で……」
「今回は勉強させていただき、一枚1500円でいかがでしょうか?この辺りを回っているのは今だけなので、是非ともおすすめです!」
「買うわ!!」
「戴くわ!!素晴らしい!」
こうしてマスクは一枚、また一枚と売れていった。
そして数年後。マスクは外せない必需品となっていった。コロナはもう収まったというのに。
お読みいただきありがとうございます。
この短編は星新一短編集「肩の上の秘書」より着想を得ました。
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