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短編とかその他

ね?綺麗になれたでしょ?

作者: リィズ・ブランディシュカ




 それは、遮断機の前で電車の通過待ちをしていた時の事だ。




 綺麗ですか?

 これは、綺麗ですか。

 そうですか、綺麗なんですね。


 目の前を、女の人が通り過ぎていった。


 意味不明な質問をして、だ。


 答えは聞かなかった。


 質問をしただけで満足してしまったようだ。


 こちらの事なんて、もう見えていない様子で、どこかへと向かっていく。


 一体、何だったんだ。







 後日学校で、その話をするとクラスメイトにおののかれた。


「へたな事言わなくてよかったな。それは怪異だよ」


 怪異?


「自分が美しいか聞いてるんだ」


 褒めたらどうなるの?


「つきまとわれる」


 じゃあ、貶したら?


「殺される」


 どちらもダメなようだ。


 無視するのが正解だなんて、変なの。


「美しくなることに命をかけていた女は、そうなる前に命を落とし、怪異となった。だから、認めたくないんだよ。望みが叶わなかった事を」


 未練があったって事ね。


 ふぅん。


「美しくないっていえば、クラスのあいつ、そうだよな」


 確かに。


 豚ちゃんみたいだもんな。


 動物園にでもいっとけよ。


 檻の中で。ブーブー鳴いてた方が面白いのにな。


 あっ、目が合った。


 こっち見んなよ! ブス!







 次の日。


 歩いていたらまたあの女の怪異と出くわした。


 線路の前で、待ち構えていたみたいだ。


 うわ。またかよ。


 綺麗?


 このかお、綺麗?


 って、問いかけてくる。


 無視無視。


 今、急いでるんだから。


 あれ、いなくならない。


「無視しないで、もっとこっちに来てよく見てよ。綺麗になるために、頑張ったんだから」


 そいつは俺の腕を掴んでグイっとひっぱった。


 けれど俺が抵抗したから、バランスを崩して遮断機の向こうへ倒れ込む。


 遮断機?


 いつの間に降りてたんだ?


 俺は警報が鳴り響く中、いそいで女をふりほどこうとして、いつも見慣れた女の傷だらけの顔を見た。


「ほら? 頑張って形を整えたから、綺麗になったでしょ?」



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