閑話:シンディのお嬢様言葉講座(1)
はい、シンディです! おはようございます!
今回はパティ姉さまが得意な、お上品な言葉遣いの秘訣を単語と文法レベルからご紹介していこうと思います! 第1回のテーマは…………「ファエバ」です!
……え? この学園の皆様は「ファロファロ」のことを一番知りたがってる、ですか? そのデータはこちらでも把握しております。ルデリット会長閣下が私に直接、「ファロファロがぶっちぎりで人気ですね」と教えてくださいましたので!
ただそれを聞いたパティ姉さまが「ファエバ! ぜってーそいつらハシシュ食ってるんだろ? 腹いっぱいハシシュ食ってるんだろ? なあ? なあ? ハシシュ出せよ! ルデリット、いますぐハシシュを出せよ! ファエバ! アゾール! ファロファロ!」みたいな感じのハシシュ食べたい魔神化してしまいましたので、まずは2番人気のファエバから行きたいかなって!
さて!
ファエバ! パティ姉さまとお話をする貴重な機会を得たことがある方であれば、最低でも1分間に1回は聞くことになるお言葉ですね! シンディは分速10回くらいまでは聞いたことがあります! パティ姉さまの魅力が最大限に発揮される、素敵な言葉ですよねー!
ところでファエバの最も一般的な使い方における意味ですが、実はあんまり意味はありません。「まぁ」くらいの意味ですね! ということで以下が「まぁ」の用例となります!
■ファエバ(副詞的用法)
・ファエバ、ハシシュが食いてえなあ……
・ファエバ、説得するなら言葉より銃弾のほうが早い。言葉は音速を越えねぇからな?
パティ姉さま以外が格上の相手にこれを言うと最悪で懲罰委員会からご招待状が届きますが、完璧なお嬢様であるパティ姉さまならそんなことはありません! やっぱり言葉は人柄なんですねえ。
さて、もちろんですがファエバの使いみちはこれだけではありません。人に感動を伝えるときにも、とっても便利です。
■ファエバ(感嘆用法)
・ファエバ! ハシシュが食いてえなあ……
・ファエバ! アゾール! ファロファロ!
パティ姉さま以外が格上の相手にこれを言うと間違いなく懲罰委員会からご招待状が届きますが、完璧なお嬢様であるパティ姉さまならあまりそんなことはありません! やっぱり言葉は人柄なんですねえ。
ちなみにパティ姉さまは奥ゆかしいので、「クソ!」みたいな汚い言葉は使われません。そういうことが言いたいときは、すかさず「ファエバ!」。完璧なお嬢様を目指して、みなさんも練習してみてください。
さて、もちろんですがファエバの使いみちはこれだけではありません。人に祈りを捧げるときにも、すごく便利です。
■ファエバ(祈祷用法)
・ファエバ! とっととこの世から失せろ!
・ファエバ!
パティ姉さま以外が格上の相手にこれを言うと懲罰委員会からご招待状が届く前に営倉入りですが、完璧なお嬢様であるパティ姉さまのことはみんな諦めているのでそんなことはありません! やっぱり言葉は人柄なんですねえ。
ちなみによく誤解されますが「死ね」というのは罵倒語ではなく祈りの言葉です。ですので丁寧に言うと「可及的速やかにご逝去いただけますと幸甚です」なのですが、これだと慇懃無礼になっちゃいます。そこですかさず「ファエバ!」と祈りましょう。適切な強度の暴力とセットにすると、効果はばつぐんです。
ファエバの代表的な用法は以上となります。
ここまで読んでくださった方でしたら、「こんな素晴らしい言葉はどうやって生まれてきたんだろう?」と思うかもしれません。実際、パティ姉さまのように美しく、芸術的なファエバを使いこなすには、その語源から理解していなくてはなりません。
ファエバはもともとアメリカ合衆国(カナダ=アメリカ神聖民主教団の母体となった教団)で使われていた「ほわっとえばー」という単語だったという説が有力です。「ほわっとえばー」を早口で言うと、確かに「ファエバ!」ってなりますよね!
ほわっとえばーの意味ですが、だいたい以下の3種類があったと言われています。
第1用法:しらんけど
第2用法:しらんがな
第3用法:しらんわ
第1用法の「しらんけど」は、もうちょっと現代的な言葉で表現するなら「などなど」「エトセトラ」みたいな言葉だと本に書いてありました。「この薬を飲めば助かる、しらんけど」は「この薬などを飲むなどといった行為をすれば、助かるなどといったことが起こる」という意味になりますね。何か言うべきだけど何も言いたくないときには、とても便利そうです! 現代では副詞的用法にこの「特に何も言っていない言葉」という要素だけが引き継がれています。
第2用法の「しらんがな」は、感動を伝える用法で、現代のファエバにもこの要素は強く残っています。例えば「あんなデッカイ鬼種、しらんがな」は「あんな巨大な鬼種がいるなんて!」という意味ですので、パティ姉さまなら「ファエバ! 巨大鬼種だ!」とでも言うかなと思います。これはもう、そのまま感嘆用法ですね!
第3用法はちょっと複雑です! もっと古い時代では、第3用法の「しらんわ」は「ようしらんわ、好きにせえ」といったフレーズで用いられていましたが、これは「お前が自分の意思で何かを決定したらぶっ殺すぞ」という意味です。「好きにせえ」を否定すると同時に強調している形ですね!
でもやっぱりこういう用法は伝わりにくかったみたいで、やがて同じ状況でも「しらんわ」と言うだけになったようです。意味は古典用法と同じで「それは非常に重要な論点であり、自分は自分の手札を先に明かすつもりなどない、馬鹿死ね」程度の意味となります。ここまで来ると、だいぶ現代語のファエバの趣を感じますね! 祈祷用法のファエバは、明らかにこの用法がルーツだと思います!
さて、こんなに豊かなルーツを持つ「ファエバ」ですが、残念ながら下品な使い方をしてしまう方はしばしば見受けられます。ですがこれにも、ファエバの語源が影響していると考えられています!
というのも、ファエバの語源「ほわっとえばー」は、当時のアメリカで平均的に利用されていた罵倒語「ふぁっくゆー」の、上品な言い換えだったという説があるんです! 「ほわっと・えばー」と区切って読むと、確かに「ふぁっく・ゆー」とリズムが似ています!
このため、せっかく上品に言い換えた言葉「ほわっとえばー」の、言い換え元である下品な罵倒語「ふぁっくゆー」のニュアンスが、現代に至ってもなお「ファエバ」に乗ってしまうのだ……と、最先端の言語呪術学者は考えているそうです!
ですがこれまで見てきたように、「ファエバ」と「ふぁっくゆー」の間には、今となってはもうまるで関係がないと言えます! 「ふぁっくゆー」はかつて4文字言葉として避けられた(何をどう数えれば4文字なんでしょう?)ため、「ファエバ」も4文字言葉だとして批判する人たちがいるそうですが、的外れも甚だしいと思います! ということで、みなさんもパティ姉さまのように、上品に、美しく、ファエバを使えるようになりましょう!
今回のお嬢様言葉講座は以上になります。いかがでしたか?
それでは皆さん、ファエバ~!




