冬休みスタート
題名、変更しました。
あまりきれいな言葉遣いじゃなかったので。
すみません。
ご理解いただけますと幸いです
冬休みが始まった。
それでもまだ母さんとは話をしていない。
話をしたところで納得してくれるとは思えないから。
そこで俺は考えた。
実績を残せば、母さんも納得してくれるのではないか?と。
だから、俺は冬休みの間ダンジョンに潜ることに決めた。
ただ、母さんにばれると何を言われるかわからないから、実家へ行ってきますというウソの書置きを残して家を出た。
一応、実家のじいちゃんとばあちゃんに
「家出するから口裏合わせといて」
ってお願いの電話をしたら
「任せとけ。ワシも若い時、そういうことがあったからのう。青春じゃぁ。のう、ばぁさんよ」
「何を馬鹿なこと言ってんですか。あなた。」
ばあちゃんのあきれる声が電話越しからうっすら聞こえる。
「でも、夏。気を付けるんですよ」
と優しく声をかけてくれるばあちゃん。
弟には何かあったら連絡するようにと母には内緒でメールを送っておいた。
わずかな食事と、防具、そして武器の短剣をカバンに入れる。
なんか修行に行くみたいでいいかもしれない、なんて思いながら。
◎ ◎ ◎ ◎
世間はクリスマス真っただ中で、イルミネーションの明かりが俺の孤独をより一層強める。
例年の今頃だったら、母さんがクリスマスケーキを買ってきてみんなで食べていたのになぁ、なんでこうなってしまったんだろとどうしても昔を思い出し少し悲しい気持ちになる。
でも、そういった気持ちを何とか押し殺して俺はダンジョンに潜ると決めたんだ。
今更、その考えを変える気はないし、ここで変えちゃったら俺は何者にもなれやしない。
頬をベチッとたたいて気合を入れなおす。
甘い考えは捨てなきゃいけない。もう俺には後がない。
冬休み中に、俺でもダンジョンに潜って成果を出せるということを証明しなくちゃいけない。レベル1でも大丈夫だ、ということを。
誰にも文句言われないくらいの成果を見せつける。
そう心に誓って。
「さてと。どこに行くかな」
今の時代、ダンジョンポータルというアプリがあるおかげでかなり調べやすい。
スマホを少しスクロールして門を模したアイコンの“ダンジョンポータル”アプリをタッチして起動させる。
ダンジョンポータルでは、ダンジョンの位置、今の時点で確認されているモンスターの種類、そして採取できるアイテムなどが記載され、GPSと合わせて利用するとおすすめのダンジョンを教えてくれる。
しかも、月500円を追加で払うことで、採取したアイテムの買い取り価格や、使い道、そして、判明しているダンジョンのマップを表示してくれるという優れものだ。
まぁ、レベル1の俺には関係のない追加プランなんだけどね。
俺はダンジョンポータルで、それなりに遠い場所にあるダンジョンを探す。
なぜわざわざ遠いところに行くか―――?
それは修行してる感が出るから。それだけ。
うそ。ホントは学校のやつに会いたくないというのも理由の一つだ。
やると決めたのに、いつものダンジョン、いつもの人に会ったりなんかしたら気落ちするかもしれないから。
俺でも行けそうなダンジョンをスクリーニングする。
するといくつかの候補が出てくるからさらに場所で絞り込みを行い、候補一覧を抽出する。
そうだ、行先は運に任せよう。
一覧をスクロールしてちょうど止まったところに行くことにしよう。
俺は全力でスクロールする。
「ここだっ」
――――――――
N県、淡雪ダンジョン
その名の通り、ダンジョン内に雪が積もっていたりする。
そのため足をとられてスタミナが減りやすいから気を付けて進まねばならない。
モンスターは、雪スライム、雪オオカミなど。
雪スライムからは上質な氷や、雪の結晶といったアイテムが採取できる。
雪オオカミは、寒さに耐えるために、毛を多く蓄えており、毛皮を採取できる。
またレアアイテムとして牙を落とすこともある。ただ、凶暴性が高く目が合っただけで襲ってくることもある。
あとは…
――――――――
あとはなんだ?
《細かい情報は月額500円で読めます。すでに契約済みの方はこちらでログイン》
「ふざけんなっ。あとはって書かれてたら気になるだろ」
ケチな俺はもちろん月額なんて払わないから、ウェブで検索する。
《N県 淡雪ダンジョン》
おっ、出てくる出てくる。
《話題のN県淡雪ダンジョンについて調べました!》
うんうん。で。
《淡雪ダンジョンは最近発生したダンジョンらしいです。》
ふむふむ。
《結構危ないという噂も…》
うん。
《いかがでしたか?》
「おいっ。いかがでしたか?じゃねーんだよ。何もわかんねーよ」
ツッコみ終えてから、落ち着きを取り戻す。
まぁ、ケチった俺がいけないな。
百聞は一見にしかずともいうし、ここで得た情報だって正しいとは限らないからとりあえず行ってみることにするか。
行先は決まった。雪の降りつもるN県だ。
修学旅行で一回行っただけの場所だ。
それでも俺は胸の高鳴りを抑えることができなかった。
お読みいただきありがとうございます。
まだまだ技術が足りない部分もございますが、頑張りで補う所存です。