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鶴ヶ島綾瀬

「じゃぁ、よろしく」

丈さんとの握手を終えた俺は綾瀬のほうに向いて同じように握手を求める。

綾瀬は握手に応じるかのように手を出したかと思うと


バシーーン


と俺の手を払いのける。


「あんたの助けなんかいらないわよ」


えっ?

思わず拒絶を受けたせいで困惑し

丈さんに助けを求めるように視線を送る。


「いやぁ、うちの娘さ、じゃじゃ馬娘でさぁ」

と、頭をかきながら

「すまんね。頑張って」

と、手を合わせて、申し訳なさそうな顔を俺に見せる。


「なに?私はじゃじゃ馬じゃないわ。ただひとりでダンジョンに行けるって言ってるだけじゃない」

「ダンジョンには一人で行くからそんな奴いなくていいわ」


そんな奴ってさぁ。ちょっとひどくない?


「そんなこと言うなよ~。俺、もうカリーに頼んじゃったし。ね。お願い。ほらこの通り」


プンっと口を膨らましてすねている綾瀬。


「そうだっ。あれあげるから、ダイラタンス鉱石(結構レアな材料)あげるからさ。ねっ」


「それだったら…、考えてあげてもいいかも」

少し目を輝かせて提案に応じる綾瀬。


丈さんは先ほどまでのまじめな雰囲気はどこかへと消え、ただただ娘に甘いだけ父親になっていた。


何とか説得を終えた丈さんは

「とまぁ、娘も納得してくれたようだし…、頼んだよ」

こちらを向いて俺の肩をポンとたたきながらきめ顔で言った。


いやいや、絶対納得してないでしょ。

顔見た?めちゃくちゃいやそうな顔してんじゃん。


◎ ◎ ◎ ◎


俺たちは、原材料のとれるダンジョンの岩附ダンジョンまで来ていた。


岩附ダンジョンは隣の県にあるから丈さんが仕事で使っているという車で送ってもらった。

送ってもらっている間に綾瀬とコミュニケーションをとろうかとも思ったが綾瀬のほうが着信拒否という感じだったのであきらめた。


ホントにこんなんで大丈夫か?

とも思ったけど仕事は仕事だと割り切る。


車から降りるときに、丈さんは綾瀬に鉄の棒を渡しているのが見える。


「そんな鉄の棒…、何に使うんですか?」


「そりゃぁ―――」

丈さんが何か言おうとするが綾瀬が遮る。


「パパはだまってて」

「あんたに言う必要はないわ。あんたは、私にただついてくるだけでいいから」

「それで…、パパから報酬がもらえるんだから楽じゃない」


口めちゃくちゃ、わるっ。

えっ、俺そんな邪魔なの?


「そんなこと言っちゃいけないよ。あやちゃん」

丈さんが甘めに注意する。


さすがに注意するか。

でも注意が甘いよ。だからあんな子になっちゃうんだよ。


「そうはいってもね、俺も報酬をもらうんだ。できる限りのことはやらせてもらうつもりだよ」


「好きにすればいいじゃない。でも私の邪魔だけはしないでね」

綾瀬はフンっと言ってから、俺より先に(ゲート)の中へと入っていく。


「ああいってるけど、あやちゃん意外と甘えんぼなところあるから…頑張ってな」

「もしかしたら仲良くなっちゃったりするかもよ」


いやいや、あの態度見ました?

ほんとに言ってんの?

仲良くなれるビジョンが全く見えないんだが。


「あと…、これ」

丈さんはメモを渡してくる。

メモを開くと箇条書きでアイテムが書いてある。


「そこに書いてあるアイテムをとってくるんだよ。特に一番下に書いてあるやつ。それは取りづらいから気をつけな」


一番下に目を移すと土竜石と書かれている。


「とりあえず…、行ってきますね」

丈さんに別れを告げる。


「おうっ。頑張れ」


俺はt手を振る丈さんに見送られながら、(ゲート)の中へと入っていった。


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