Battle Feedback
やっと戦いが終わった。時間にしてみればとても一瞬だったのだろう。それでも俺にとっては何時間も過ごしたように長く感じられた。
「赤宙ナイスだ。あと一秒でも遅かったら俺の命はなかったかもしれねぇ」
「もー、君は無茶しすぎ。かもじゃなくてホントに死んでたと思うよ」
赤宙の言う通りだ。俺の今までの人生を振り返ってみてもこんなにも命掛けの戦闘はしたことがない。しかし、我ながらよく勝てたものだと思う。作戦自体は非常にシンプルなもので、俺が注意を引き付けているうちに、赤宙が秘密兵器をぶっ放す。それだけ。秘密兵器とは赤宙が持ってきた最強の殲滅兵器「超圧縮光射出装置」。これは文字通り予め光を装置の内部にため込みそれを一気に放出するというもの。その威力は圧縮した光の量に左右される。先ほど敵を跡形もなく消し去る威力を見せたが、これで30パーセントの出力しか出してないらしい。100パーセントならどうなるのだろうか。考えただけで恐ろしいので口には出さない。
「しかし、自分でも驚くほど上手くいったな」
「君の演技が良かったんじゃない?」
「演技なわけないだろ!必死だったんだよ」
この作戦はいわば賭けでもあった。俺が秘密兵器を使うのではなく、実際に使うのは赤宙なわけだ。ここがこの作戦の肝だ。俺が戦闘前に「一撃で倒す」と宣言した理由もここにある。敵に俺が何かすると思わせることが大事なのだ。装置を発動させるのは赤宙だと気づかれてはいけない。もし気づかれたら警戒されてしまうからだ。この装置の性質上、光を全て一気に放出してしまうため一回しか使えない。そのため絶対に外すわけにはいかなかった。この勝利は敵の慢心に依るところも大きい。もし仮に冷静になって少し頭を使っていたら赤宙だけが脅威だと気づいたはずだ。実際、俺が宇宙の未知なる装置の使い方なんてわかるわけがないし、知っていたとしてもあの威力を知っていたら装置に触りたくもないというのが本音だ。装置が使えないと分かったら、地球人にすぎない俺のことなんていつでも殺せる。となると必然的に赤宙を排除してしまいさえすれば向こうの勝ちは確定した。こればっかりは相手の慢心でしかない。つまるところ、運が良かったのだ。
「それで、例の宇宙人についてなんだがよ」
「なにか、わかったの?」
「実は心当たりがあるんだ。戦い終わってすぐのとこ悪いがちょっと付き合ってくれるか?」
「いいけど、まだ授業中だよ」
「今が授業中だってことすっかり忘れてたぁあ!」