見る子
最近、視線を感じることが多くなった。なぜなら、僕の家にはみっこがいるから。
みっこって言うのは、僕のおばあちゃんが名付けた。見る子でみっこ。性別は分からない。悪さはしないらしい。みっこは、僕の家に住み着いているくせに中に入れない。庭にいるんだ。
あとなぜか、おばあちゃんだけがみっこをとても嫌がる。
今日はおばあちゃんの誕生日。僕は誰よりも早く伝えようと思って、おばあちゃんの部屋に向かった。普段は入るなって言われてるけど、こんなことなら怒らないよな。
物音を立てないように襖を開けて、そおっと忍び込む。すると足に何か硬いものが当たって、コトっと音を立てた。ざらざらと何かが落ちる。
その瞬間、部屋が異様に静かになった。そこからのことは覚えていない。僕は自分の部屋で寝ていた。
あのとき、おばあちゃんは心肺停止で亡くなったらしい。なぜそんなことになったかは分からない。
後から聞いた話だが、おばあちゃんは昔不倫相手との子供を堕ろしたことがあるらしい。みっこは見る子だけじゃなくて、水子の意味もあったのかもしれない。
おばあちゃんが死んでから、みっこはいなくなった。その代わり、おばあちゃんのお墓に行くと視線を感じるようになった。




