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1話 トラック
最近、俺の学校では歴史の講義がはやっていた。まあ、講義というかバカな話し合い。
例えば、本能寺の変はなぜ起きたかを、光秀派と信長派に分かれて話し合う。
もちろん、俺は興味ない。
「ただいま。」
「おかえりなさい。」
俺はランドセルを置くと、公園に出かけた。
歴史の講義よりも公園で遊んだほうがよっぽど楽しい。
しかし、公園にはだれもいない。
「つまんねえな、みんな歴史の講義してんのか。帰るか。」
道路に出た。
ブレーキ音が聞こえた。
俺の横からじわじわと迫ってくる白い壁。それはトラックだ。よりによって大型だった。
世の中の厳しさというものを、俺は改めて実感した。
そうか。世の中というものは年齢に関係なく命を取ろうとするものなのか。わざと轢くわけじゃないことなど、すでに分かっている。
死というものは、目前にすると大してこわくないものだ。
数秒後、俺の体は吹っ飛び、同時に激しい痛みが襲った。
意識がうすれていった。