第五話 残酷な童話は好きですか?(笹山命(仮)さんの場合)
お久しぶりです。ここでの話は全て私、蘆花の独断と偏見によって選んでいます。
あとは、友の脅し……ゲフン、ゲフン。
ところで話は変わりますが、読書者の皆さんの中に呪殺に興味のある方はいらっしゃいませんか? 私的にはややっこしい制約(ターゲットの髪などの一部や、呪術的に必要な高価で手に入りづらい道具)が多いのでお勧めしませんが。それに、いろいろと……問題も多いようですから……相手によっては特に……。
僕は、はっきり言って怨霊は嫌いである。
古今東西、そんな気味の悪い彼らの話は、フィクション、実際の団体などは関係ありません。いうことで、そんな怖い話にぴったり都合のいい幽霊なんて居るわけがない。どうしてそう言いきれるかって? だって、僕はそういう祟りが行われたところ一度も見たことがない。
見たこともないものを信じろとか言うのは無理な話だろ?
まぁ、夏の夜に怪談を聞いてビービーみっともなく泣いた事があるから……なんだけどさ、嫌いな理由。
話的には、まぁ、そんなに嫌いではないな。
ほとんどなんとなく教訓話みたいなところがあるだろう?
僕みたいなケツの青いガキが一人夜道を歩くってどういう状況だよ……それなら幽霊じゃなくたって、親切な振りをした悪い大人に【ごっくん】とされちゃうだろうが!
赤頭巾ちゃんみたいに。
え、猟師さんが助けてくれるから大丈夫だって?
あんた、マジで言っているのか?
あれは後世で付け足された外伝、おまけみたいなもの。
原文ではそのまま赤頭巾ちゃんは狼に食べられて終わっちゃうよ。
だいたいそんなご都合主義よろしく、で大人が助けてくれるなんて……どんなエスパー?
運がめちゃくちゃいいよ、それ。
普通に考えたら、食べられたら終わりだろ?
誰も助けてくれないよ。助けるたって……もう、胃酸で融けてどろどろ……うわ、想像しただけで鳥肌立ってきた!
狼というのはただの仮の姿でソレに匹敵する悪い輩に騙されちゃったらだめだよって話なんだよな……赤頭巾ちゃんは。
つうわけで、僕は教訓的に考えるならば、童話や怪談は好きだな〜。
「と、いうわけなんだよ、そこのゲスが!」
命は冷酷に、ソレを見下していた。
ソレは真っ黒で、もやもやしたよくわからない生き物、と言っておこう。
呪術に中途半端に踊らされた哀れな人間のなれの果てであるが……。
人間だったものを、命はさらに足蹴りする。
声音が無事であったならばそれは叫んでいただろう――だが、命によって真っ先に喉をつぶされたソレは唸ることもできない。
「ふん。このぼくを呪い殺す等とよくもまあそんな戯言をほざいたな……生前の君は!」
そう、ソレにはもう帰るべき肉体がない。
プラズマが人間と同じような姿と感覚を与えているので苦しみはあるだろうが。この呪術に痛感が残っているのは……いやその言い方だと痛みしか残っていないような言い回しだな、ちゃんと喜怒哀楽、すべての感覚がその姿には備わっている。
本来の楽しみ方は呪った相手の苦しむ姿を見て、楽しむといった厭らしい活用が見込まれている。
でも、その相手が悪かったな……僕的には君をいたぶるには都合がいい。
昨日こいつの葬式のせいで、正座して足がしびれた。
それの腹いせにはちょうどいい。
命はさらに無慈悲にソレの首と思われる所を掴み、握る。
白い眼玉を出してソレはがちがちと歯を鳴らしていた。
「まぁ、君は本当に馬鹿だね……僕のことをまったく知らずに、こんなケチな呪術のために生を終わらせ、今もまた……」
首を握る手に力を込め、さらに絞めた。
ああ……君は悲しくて恨みがたくさんこもった僕が最も嫌う目で見てくる。
ぞくぞくしてきた。
肌の毛穴が震え、歓喜しているようだ。
こいつの生きている間は、一線を越えるようなことは出来なかったから手加減していたんだぜ?
拳を振り下ろし、蹴りつける。爪先を腹にめり込ませ、どろどろと元は内臓部分、今は内臓みたいなものを取り出し、掻き混ぜる。
悪霊となったクラスメイトは悲痛の表情でのた打ち回っている。
でも、これは紛い物。品のない、欠陥品。ならば……。
「もっと惨めに、痛みやがれ、そして這い蹲りな!」
命の力が、ますます高まる。
影が、闇が、圧倒的な霊力の前に粉砕する。
堕ちたプライドも、僕に対する執着心を……もっと、もぉおっと、罵倒したい……だから言葉を紡ぐ。
「僕のストレス解消にしか役に立たない、屑が!」
げらげらと笑ってやる。
命の身体から紅蓮の光りがあふれ出る。
「さぁ、お前はもう弱いお前でも守ってくれた法律も、守ってくれる人間もいない……」
だから、お前は力ある者に物以下として叩かれ、しゃぶられ、嬲られ……地に堕ち、脳味噌を地面に撒き散らされる。
「はぁ、はぁ……」
息が、切れてきたな……。
それにしてもどこぞのちんけな精霊に唆されて手にした紛い物でこの僕に立ち向かってくるなんて……。
まったくもって愚かだ。
こんなケチな方法でこの僕を呪うだなんて……あ、なんか、腹が立ってきた。
あまりにも僕をなめているから。
「さぁって、君に朗報だ」
うん、これで終わりにしてあげよう。
「さっさと、地獄に堕ちろ、ゲスがぁあああぁああ!」
閃光が走った。
素質……才能……それは誰にどんな宝物があるか? 己と他者をよく知らないとわかりもしない原石。
そして、中には普通ではありえない厄介なものを持っている者がいる。
「あら、清めの塩いらなくなった?」
台所から塩を持ってくる、女性。
「あ、母さん。もう、いなくなったから大丈夫だよ」
命は少しすすけた右手を服で拭おうとする。
「だめよ〜、怨霊のモノって洗剤じゃなかなか汚れがおちないから。ほらそこの雑巾にする予定のタオル使って」
次の燃えるゴミの日まで三日あるわね〜、と呟く命の母。
霊能力がある家系なんて……常識的に考えたら、隠しておくものだろ?
僕の家のルーツの本家の方ならまだ商売にしているらしいけど、僕の家は三代前から分家だったしな……それに、んなオカルト、だれが信じるんだい?
見えない人が多いソレを認めさせようとするのは、僕的にはナンセンス。
変人扱いされるのがおちだし、見ていないってことにしないと。
「さよなら。本当に……」
僕は二度と目にしなくて済むクラスメイトのことを思い、笑った。
冷酷に。
残忍に。
力も脳もなかった哀れで賎しい物体に……。
悪いオオカミに騙されて赤ずきんちゃんは食べられて……見る影もなくなった哀れな排泄物は森の掃除屋がちゃんときれいにしてあげるんだよ?
と、いうこともありえるので呪術といういい加減なもの、お勧めしません。
ところで……これで五話目なのですが、皆さんはどういったここでの怪談がお好みでしたか?
不思議な力を持って……復讐しますか? または己の邪悪な欲望のために使いますか? 己の思考にそぐわないものを抹殺しますか?
私だけの独断ではそろそろきつくなってきましたし、ここは皆様の読みたい話とは何かというのも気になっています。
そういうわけで、皆様の感想、ご意見お待ちしていま〜す♪
では、アディオス、アディオス。