第一話 時空を越えた怨み(榊原渚(仮)さんの場合)
時とともに憎みは消えていくといいますが……怨みに時間軸が関係あるのでしょうか?
赤い、赤いこの道はすべて、大体つまらない遊びから始まっている。
ねぇ、いつ、気がついてくれるのかな……。
僕が壊れるまで?
貴女が何もわかんないまで……終わる瞬間まで……?
この日、一人の女子高生が鋭利な刃物で切り殺された。
彼女は成績、中の上で、先生のいうことをよく聞く大変真面目でいい子だったとワイドショーでは取り上げられていた。
でもね、故人を悪くいう人間なんていないから。
かなり美化されているの。
だって、僕は知っている。
僕の小学生時代のクラスメイトだった、みんなも知っている。
あの娘は……ね……。
親が再婚したの。
新しいお母さんに問題があったの。
よくその継母にいじめられていたって知ったのはいつだったか覚えているけど、時にはそのつらい思いを……よりにもよって僕にぶつけたの。
僕は、どんくさかったから格好の的だったな……。
そのうち、皆も僕のこと貶したり、罵ったりしたな……。
鈍感な、僕でも傷ついたよ。
担任の先生に相談したら……その娘の家庭の状況を事細かに教えてくれた。
そして、言ったんだ……。
「我慢しなさい」
ってね……。
うん、そこで僕は壊れたよ。
まぁ、今普通に高校にいるけど。
親の都合で引っ越してさ、まったく新しい土地に着たけど、ここが僕と相性が良くってさ〜。あのいじめられていた小学時代と比べるまでもなく、快適♪ 天国だね♪
受験勉強でヒーヒー言っているけどね〜。
でも、あの、壊れた瞬間……呪ったね。
あの学校も。
先生も。
そして、僕をいじめることでストレスを発散させた愚かで哀れな……実験体も。
うん。
僕はもう、あの娘を僕と同様の人間だと思っていないよ。
ただのモルモット。
可愛かったら、あの先生みたいに愛玩用にしてあげられたのに、な……その点は残念。
そんな僕は、親の都合で引っ越すことになるけど。
引っ越す前夜、当時の僕は小さな身体で一生懸命考えてあの実験体の処刑方法を考えていた。二度と会うこともないのに、なんであんなにあの娘のこと考えていたのかな、って今は思うね。
でも当時の僕はあのモルモットが憎くて、憎くて仕方がなかった。
もっとも残酷で、不可解な死をそのモルモットに与えたくて。
必死になって、必死になって……。
そして、気がついたら……高校生の女の人を……この手で刺していた。
「え……」
何が起こったかよくわからなかった。
どくどくと僕の身体に滴り落ちるのは刺した相手。
血が無くなっていくためか、青くなっている顔。
バタバタと陸に上がったばかりの魚のように身体を動かし、僕に執拗に手足をぶつけてきた。
醜い。
醜くて、吐き気がする。
汚らしい、てめぇこそ、こっちくるんじゃねぇええ!
さっさと、電池切れろよ、このポンコツ実験体がぁああぁああぁああっ!
僕は夢中になってその女子高生を刺し続ける。
脂肪が多いから、なかなか重要な臓器に刺さらなくて苦戦したことは覚えている。
終わった、と思ったのはあの女子高生が白目を剥いて、ピクピクと痙攣したかのように地面に蠢いたとき。
当時は気がつかなかったが……あれが死後硬直だったのかな?
とにかく、あの実験体がちょっと大きくなってH女子高の制服を着ていたモノを処分した。
あまりにも暴れたから、僕に返り血がついて……気持ち悪かった。
この日、上着を着ていて丁度よかったと思う。
僕は血のついた服をその辺の川に放り投げた……。
青いジャケットジャンバーを。
今までそれは僕の妄想だと思っていた。
当時はあまりのリアルさに、三日三晩寝ていたな……。
テレビから女子アナウンサーの声が聞こえる。
「警察の決死の捜査で犯人はここで青いジャケットジャンバーを捨て、逃走したようです」
今日もワイドショーは僕が昔住んでいた近辺の女子高生殺人事件を取り上げていた。
犯人の目星も付けられずに捜査が難航している……復讐劇を。
いかがでしたでしょうか。
渚様はこのあとも普通に暮らしているそうです。今は来年の大学試験に向けて塾に通っているらしいです。国立の第一志望校に受かると良いですね♪
私はこれからもこういった話を皆様に提供して行きたいと思いますが……よろしいでしょうか? 私もそれなりに忙しい身の上なので更新が亀になると思いますが。
気に入ったら幸いです。
ところで私、蘆花はこの話のナビとして誘われました。作者の雪子とは別物と考えてくださると嬉しいのです。ここでは雪子がまったくの空気と化しているというのがこの怪談話の趣旨ですね。もし、感想、質問などがあっても私、蘆花が蘆花としてお答えしていきたいと思います。(笑)
では、アディオス、アディオス。