99話目 一方的な戦争 Ⅲ
あれ?投稿ミスしてた…
短いですがよろしくお願いいたします。
マイランside
何故かあちこちで遊ばれている気配がします。
こちらは二人で行くように言われノドカと他二名を連れて私たちはモルド帝国と小国の境付近にまでやって来ました。
境と言っても侵攻が進んだ今となってはあまり関係がないように思えますね。すっかり我が物顔でモルド帝国の砦に占領している様は自分の国の物だとアピールしているようです。
「マイランさん、何でここは私たちの担当なのでしょうか?」
「他の方々ではやり過ぎてしまうからでしょうね」
レンでは砦を全て砂に変えてしまう。天華様、皇様では瓦礫、もしくは焦土と化してしまうでしょう。今の師匠でも恐らく同様。
加減の効く私たちが抜擢されたと考えるべきでしょうね。
「ふーん、でもこれ四人で何とかなる?普通こう言うのって軍で攻めるものよね?」
「ふえぇ、私には無理ですよぉ」
この二人は相変わらず泣き言を言いますね。砦を形を保ったまま敵を倒せないとは情けない。
「ミネリアもマルアも鈍ってますね。調教しますよ?」
「「勘弁して(よぉ)」」
「普通の人は尻込みして当然ですから」
「ノドカは甘いですね。魔法があります。エルフの名が泣きますよ」
「マイランの魔法は異常じゃないのよ」
「そうですよぉ」
「…はぁ、情けない」
二人はここまで来た目的を忘れたのでしょうか?捕らえられたパルサとルデルフを助けるためでしょうに。
何故この二人はこうして私たちと合流したのか。
簡潔に説明をすれば偶然としか言えません。
拠点にしていた川辺より漂流して来たのがこの二人。
聞けば、エルフの里を出て私たちを探していたと。目的は師匠の料理。あの食べたパンケーキの味が忘れられなくてパルサとルデルフも合わせて四人で旅に出たそうです。
そうしたら運の悪い事に里を襲った勇者とは違う勇者に出会い、パルサとルデルフが囮となっている間に逃げたそうです。
しかしその際に崖から転落。滝から流されたと。
「そうだね。今頃どうしてるかなあの二人」
「ですよねぇ。私たちを助けるために囮になってくれたんですから次は私たちが助けないとぉ」
「ならばしっかりしなさい」
私たちが二人を救助して落ちた崖まで行った時には人の影さえ見つけられませんでした。
顔だけは良いパルサとルデルフですので十中八九どれかの勇者の奴隷になっているでしょう。飽きられて捨てられていないとも限りませんが。
「ではそろそろ始めましょう。準備は良いですか?」
「当然です。いつでもいけます」
ノドカは【竜人解放】をしないままに答える。
ですが問題はありません。もう彼女にスキルの概念は不要なのですから。
「【サンダーレイン】」
さっそく私は雷の塊を生み出し、砦に放るとその塊は幾多の雷を落として砦内を混乱させます。
「うっわ、さらっと無詠唱で魔法とか本当にエルフ止めてるわね」
「普通じゃないですよぉ」
何をバカな。確かに最近私のステータスは消失しましたがエルフの種族は止めていません。
「それでは行ってまいります」
「気を付けて下さい。万が一が、あるとは思えませんが一応」
「分かっています」
ノドカは走り去ると砦の壁を軽々と越えて侵入する。その様は【竜人解放】した時の昔のノドカと遜色ないですね。
聞こえて来る阿鼻叫喚な声は私の魔法か、それともノドカの武術か。どちらにしろ生きてはいないでしょう。
「……なんか私たち要らない気がする」
「……それは最初から分かってたじゃないですかぁ」
貴方たちは雑用係です。精々師匠の手を煩わせないようにして頂きたいものです。
・・・
レンside
「……(ふんすー)」
レンはご主人様に言われてモルド帝国からフレグラン王国の間にまで来た。
相手を消してでも防衛するように言われた。今まで命令らしい命令もなかったから嬉しい。頑張る。
「レン殿張り切っておられますな」
竜人種のハガクレのジィ。少し前に里で偉そうにしてた竜人種を粗方の去勢をし終えたからと合流して来た。
なんでも皇様と密約を交わしてて恩を返せるように居場所が分かるようになってたらしい。皇様が人を迎え入れるなんてびっくりした。
「…ご主人様に良いところ見せる」
でも今はそんな事どうでも良い。ご主人様にレンの頑張りを見せる。
敵は多いけど強くない。だから大丈夫。そう判断して皇様はレンをここに回した。
「…さっそくやる」
「では見守るといたしましょう」
ハガクレのジィは見物。万が一の保険と言うよりも配置するのに都合の良い所がなくて回って来ただけ。
こんな数ばかりの相手ならレンだけで圧勝出来る。ふんすー。
敵を見落とすような遮蔽物はない。
森林はあるけど軍隊として整列しながら歩いているから隠れて来る可能性はない。でも斥候とかいるかも?
なら面倒だしまとめて潰す。
「…【レンだけの軍隊】」
名前は大事だって武内様が言ってた。
でもレンには名前を付けるセンスが全然無かった。だからとりあえず思い付いた名前を入れてみた。聞いて見たら「これはこれでありだね」って言ってたから多分良いと思う。
レンが出したのは総勢十万は下らないレンと同じ姿をした人型の偽物。それがキチンと整列した状態で立っている。
力や能力はレンと変わらない。だってレンはレンを生み出したから。
でも思考は持たない。その代わり真っ直ぐ進んで障害物を砂にするようになっている。
レン達が通った後には何も残らない。草も、木も、石も、武器も、人も分け隔てなく砂にして消してしまう。
「はっはっは、中々壮観ですな」
「…出発進行」
乾いた笑いをするハガクレのジィは無視して進む。
どれだけでも抵抗すれば良い。また増やすだけ。問題はない。