第1話 二人のバカ
目を閉じれば思い出す。
崩壊し、瓦礫の山となった街、周りを埋め尽くす炎の渦、助けを求める声を。
何も出来ず目の前にの怪物に殺されるのを待つしか出来なかった無力な自分。
思い出すだけで胸が苦しくなる。
忘れたくても忘れられない記憶。
「お・・おき・・・ろ・た・や」
何かが聞こえる。
その声で、自分が寝ていた事に気付いたが、無視してもう一眠りをしようとしたが、頭部に走った鈍い痛みをうけ、目を覚ました。
「いってぇなぁ、何だよ鋼鬼」
俺は相方である、鋼鬼に文句をつけようとしたが、鋼鬼は怯えた顔をしながら、何かを指差していた。
俺は何か分からずそちらを見た、そこには、黒髪ポニーテイルを揺らし、誰が見ても美人と応える美女が立っていた。
それを認識した瞬間、俺の顔から血の気が引いた。
「やぁ、龍也くん」
俺は怯えながら挨拶を返した。
「おっ、お疲れ様です、整備士長」
「うん、お疲れだよ、休む暇なく機体の整備をしてたら、そりゃ、誰だって疲れるよねぇ」
「そっ、そうですねぇー」
この時点で、雪乃さんがかなりご立腹なのがわかった。
「みんなが、休息の時間をなくしてまで頑張ってるのに、君は何をしてるのかなぁ〜?」
適当の言い訳を探そうと、脳みそをフル回転させた。
「えっと、ですね、自分は神機の性能向上に向け、どのようにすればいいか、目を閉じ考えておりました」
自分でいっておいてなんだが、これはダメだなっと、自分でも思ってしまう。
「そっかぁ〜、神機の問題解決の為に一生懸命考えてくれてたんだねぇ〜」
予想外の反応で騙せたと思い、すぐに肯定した。
「そうなんです、ですので決してサボっていたわけではなく」
「それ、私の目を見てもう一回いえる?」
言われ雪乃さんの顔を見ると、額に青筋を浮かべた、笑っていても、笑っているように見えない顔があった。
こうなったら、やることは一つしかなかった。
「すみませんでした‼︎ 寝てました、許して下さい」
完璧なフォームからの土下座だった。
これでチョットは許してもらえると信じて、再び雪乃さんの顔を見たが、全く変わっておらず、そして、最も恐ろしい言葉を告げられた。
「天之川 龍也、二級整備士及び相方、古城 鋼鬼、二級整備士、両二名は仕事放棄と見なし夕食抜きの罰を言い渡します」
俺は絶望した。
この世界での唯一の楽しみを奪われたのだから。
俺はとっさに、許しを呼応としたが、それより早く、非難の声が上がった。
「待って下さいよ、なんで俺まで飯抜きなんですか? 納得いきませんよ⁉︎ 元はといえば、このバカが勝手に休んで寝てたのが悪いんだから、全部このバカのせいでしょ⁉︎ ほら俺は全く悪くないじゃないですか?」
鋼鬼の奴がコッチを指差してバカバカいっているが、そのバカは俺のことなのだろうか?
気になり訪ねた。
「おいチョット待て、そのバカは俺のことか?」
その問いに間髪入れず答えが返ってきた。
「ったりめだろうが! テメェ以外にいるか⁉︎
等々脳みそだけじゃなく、目ん玉までバカになったか⁉︎」
「なっ! さっきから人の事をバカバカいってるけど、お前も対して変わらないだろが⁉︎ このバカめ」
「お前よりかは、髪の毛一本分賢いですぅ〜」
「髪の毛一本なんて、大した誤差じゃ無いじゃ無いか⁉︎ そんな事も分からな所がバカの証なんだよ!」
「んっだと! やっんのかバカ」
「上等だ! かかって来いよバカ」
売り言葉に買い言葉の喧嘩は一人の鉄拳で終わりを告げた。
「お前ら二人ともバカ野郎だ‼︎」
「ギャッ‼︎」
「ガッ‼︎」
俺と鋼鬼はほぼ同時に地面に倒れた。
「鋼鬼、アンタも休んでたろ、それに此処では、一人の罪は、二人の罪だって何回も言ってんだろ? たく、そんなんだからいつまで経っても二級整備士のままなんだよ。
言っとくけど、今のご時世、働かない者に食わせる飯は無いよ」
「またそれかよ、言われなくてもわかってんよ整備士長」
俺より先に回復した鋼鬼が返事を返してくれた。
「分かってっんなら、態度で示しな。まぁ兎に角、今夜の晩飯は抜きだ、以上。早く仕事に戻りな」
俺と鋼鬼は渋々立ち上がり、自分達の持ち場に戻る事にした。
その後、鋼鬼と殴り合いの喧嘩をして、雪乃さんに、トイレ掃除まで増やされたのは、言うまでも無い。
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後、もう一つの作品である、「村人勇者の英雄譚」も見ていただけると光栄です。




