sakura
そこは、大樹を中心に、四つの国がある世界。
一本の枝には、夏。涼風渦巻く土地ながら、気温は常に三十度を超える。独特の文化があり、人々は自然に根を張って暮らしている。
一本の枝には、秋。木々が色づいた美しい国で、民主国家。機械技術を取り入れつつもそれに傾倒せず、人間として自然な生き方を根幹とする。
一本の枝には、冬。常に雪降る国で、機械化した町に昔ながらの文化が生きる、不思議な王国。国と民との間に溝があるものの、人々の結束は強い。
そして――春。大樹の幹をぐるりと囲む土地。色とりどりの花々が咲き乱れる国。そこには強い結界が張ってあり、夏・秋・冬三つの花晶を手に入れなければ、それを破ることはできない。中では、春のミハシラがたった一人、いつか来たる来訪者を待っているという。
ラグナロク――それは世界の終焉と再生。見事勝ち抜いた神――――ミハシラを有する国は、大いに栄える。故に、ラグナロクが起きた時には、ミハシラを全精力で以て支援し、敵国を滅ぼさねばならない。それは国民の義務である。
寝物語に聞かされてきた御伽噺。秋の国にすむ学生、真白は、現実には起こりえない夢物語だと、そう思っていた。
あの日、あの夜、彼と出会った瞬間から、彼女の運命は大きく流転することとなる。
*カクヨム、個人サイト「けふこえて」と重複して連載しております。
一本の枝には、夏。涼風渦巻く土地ながら、気温は常に三十度を超える。独特の文化があり、人々は自然に根を張って暮らしている。
一本の枝には、秋。木々が色づいた美しい国で、民主国家。機械技術を取り入れつつもそれに傾倒せず、人間として自然な生き方を根幹とする。
一本の枝には、冬。常に雪降る国で、機械化した町に昔ながらの文化が生きる、不思議な王国。国と民との間に溝があるものの、人々の結束は強い。
そして――春。大樹の幹をぐるりと囲む土地。色とりどりの花々が咲き乱れる国。そこには強い結界が張ってあり、夏・秋・冬三つの花晶を手に入れなければ、それを破ることはできない。中では、春のミハシラがたった一人、いつか来たる来訪者を待っているという。
ラグナロク――それは世界の終焉と再生。見事勝ち抜いた神――――ミハシラを有する国は、大いに栄える。故に、ラグナロクが起きた時には、ミハシラを全精力で以て支援し、敵国を滅ぼさねばならない。それは国民の義務である。
寝物語に聞かされてきた御伽噺。秋の国にすむ学生、真白は、現実には起こりえない夢物語だと、そう思っていた。
あの日、あの夜、彼と出会った瞬間から、彼女の運命は大きく流転することとなる。
*カクヨム、個人サイト「けふこえて」と重複して連載しております。