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プロローグ
現状を把握してみよう。
まず、視界は真っ暗でで何も見えない。自分の手すら見えない程の「黒」で塗りつぶされている。
聞こえるのは自分の身体が空をきる音だけ。
それから……「落ちていく」感覚。始まりも終わりも見えない、縦長の筒のなかをすごい速さで落ちていくような。何かに例えるとするならば、ジェットコースターで落ち続けている、といったところだろうか。まあ……自分が乗るためのものはないが。
不意に、辺りが白っぽい光で包まれ、私はその光の眩しさに耐えきれず目をつぶった。そして……
気づけば私は、大勢の「人間」たちの中に独り、立っていた。