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第1話(7)

ほどなくして到着したギルドの馬車から降りてきたギルド員たちが、ミィウに挨拶をしたあと、てきぱきとギーギルの回収をしていく。


「いやあ、それにしてもすごいですね。これだけの数のギーギルをこの短時間で」


ギルド員のひとりがそう声をかけてきた。


俺に。


そういえば、俺、リーダーだったか。


「ははは……」


曖昧な笑みを返す。


回復魔法以外何もしてないからなぁ……いやはやなんとも。


「回収が終わりましたので、報酬の受け取りは近日中にいらして下さい。今回の回収品の中で必要なものがありましたら明日までにギルドで手続きをお願いします。それでは失礼します」


回収のリーダーらしきギルド員がそう言うと、ギルド員たちは馬車に乗り込んで帰って行った。


「報酬の話だけど」


と、ミィウ。


「うん?」


「今回は数が多かったのと、距離もそんなに離れてなかったから回収をギルドにお願いしたの。だから回収費用がかかるのね。それを差し引いた分を半々でいいかしら?」


半分?!


「さすがにそれは……」


「足りない?」


「ぎゃっ、逆だよ、逆。俺は4分の1でいいよ。ブラウとモクルだって大活躍だったじゃないか。あと、食料だってこんなに買ったんだから、その分も差し引いてから、でいいと思うんだけど、どう?」


「ウォルンがそれでいいならいいわ。でも、リーダーなんだし、もっと欲張ってもいいと思うけど?」


「いや、俺はあくまでも仮のリーダーだから。そのうちメンバーを増やしていつかはリーダーをかわってもらうんだ」


「なにそれ」


「僕がリーダーってのはどうだろう」


ディールが割り込んできた。


「いや、それはない(わ)」


ミィウとハモった。


とはいえ、ディールをメンバーに加えるのはミィウも俺も反対ではないので、翌日ギルドに報酬を受け取りに行くついでに、ディールをパーティメンバーとして登録した。


その時のことは思い出したくない。例によってディールの嘘かどうかはともかく、大げさ、紛らわしい自慢話を延々と聞かされた俺とギルドの受付の人。2人で深いため息をついたのだった。


ミィウ?


彼女は森でブラウ、モクル、ノノルたちと遊んでいたに違いない。


「私は魔獣たちの面倒をみているわ」


そう言っていたが。


そんなわけで、ディールをメンバーに加えた俺たちは、新たなる旅へと出立するのだった。


─── 完 ───












だったらいいな、って思っただけだよ。


その夜、新メンバー増員祝賀会とかなんとかミィウが言い出して、ミィウ、ディールと共にナーピの宿へ行くことになった。


「ナーピの宿? あんな高いとこ泊まれるわけないだろ。俺はこれでも万年Fランクなんだぞ。無茶言うな」


「あら、今回の報酬が入ったじゃないの」


「それはそうだけど……」


せっかくだから装備とか新調したかったのだ。


しかも、万年Fランクだなぞと言いはしたが、今回の依頼で、俺、Eランクに昇格しちゃったんだよね。


Eランク。どうだ、いーだろう。


………………。


「とにかく、ナーピの宿に泊まるわよ。異論は受け付けないわ」


「へーい」


しかたがない。


今日だけだぞ。


************


あれ……?


ここはどこだ……?


目の前には足がいーっぱい並んでる。人とか椅子とかテーブルの足。


足足足足足足足、あっしも足、なんてな。


「まったく、誰の歓迎会だと思ってるんだか。もっと僕がパーティに入ったことを感謝のあまり号泣とかしてもいいんだぞ。そんなところに転がってないで」


「ふゃー? にゃーてほー? こりょ? こりょ?」


なっ、なんだ?!


ふにゃふにゃとしか声が出ない。


「まさかこんなにお酒に弱いなんて思わなかったわ。飲ませすぎちゃったのね。今後は気をつけなきゃ」


「うぃーう、なー、ふぁ?」


ディールやミィウが何か言ってるが、ちゃんと聞き取れない。いや、聞き取れてはいるんだが頭に入ってこない。


「ディール、ウォルンを部屋まで運んでくれる?」


「僕はまだまだ飲み足りないんだが。ウォルンがこの状態ではしかたないな。いっそのこと、部屋にぶん投げてしまおうかな。そのあとゆっくり飲み直すとするか」


「そうね。悪いけどお願いするわ」


「じゃ、行ってくる」


おいっ! ディール!


俺を荷物みたいに抱えるんじゃない!


はらが……はらが……ぐえぇ。


俺は酔ってない!!


まだ部屋に戻るつもりはないんだーーー!

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