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都市伝説は、本物だった。  作者: 日向神 命
第1章 テケテケノキョウフ
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シュウショウ~テケテケノキョウフ~

 テケテケが消滅した次の日、俺は慧の葬式に出席した。真名美と紅葉先輩も一緒だ。

 俺達3人は遺族や親族じゃないので1番後ろの席に座る。

 俺と真名美は喪服を持っていないため制服(夏服)で来ているのだが、紅葉先輩は全身真っ黒の喪服を着ている。長袖に足首まで隠すスカートはとても暑そうだ。

 腰まで伸びる黒い長髪に黒い喪服。一言で言うと漆黒。なんか日本風である。

 お経が始まる。俺はこの長いお経を、覚えてしまうくらい聞いている。なぜなら、祖父母・両親の葬式を経験し、法事でも散々聞いたものだから。

 4人とも死んだ……つまり、俺の家族は全員この世にいない。

 現在は両親がすでにローンを払い終わっている、1人には広すぎる家に1人暮らし。お金は4人とも生命保険に入っていたので、俺の口座に数百万入っていた。なので、お金には特に困ってはいない。

 どうして親戚とかが俺を引き取らないのかというと、みんな俺を気味悪がっているからだ。

 6年前に、祖父母は原因不明の死。2人とも鍵が掛かった家の中で遺体がバラバラにされていた。その半年後に父が死に、後を追うように母も死んでいる。

 父の遺体は、外見は傷一つ無かったのだが中身はミキサーにかけられたかのようにグチャグチャになっていた。母の遺体は両手両足を切断された状態で見つかった。2人とも祖父母と同様に、鍵の掛かった家の中で。

 4人ともわけの分からない死にかたで死んでいると、俺の家族は呪われていると誰もが思った。

 そして当時小5だった俺の周りから、ほとんどの友達が離れていった。

 前と変わらず俺と接してくれたのは、慧と真名美の2人だけだった。

 慧はみんなが避ける俺に「俺達は親友だ」と言ってくれた。

 真名美は家族のいなくなった俺に「わたしが優くんと結婚して家族になる」と、言ってくれた。

 2人のおかげで俺は、今まで生きていられたのかもしれない。

 なのに、どうして、そんなに優しい慧が、死ぬんだよ?

 もしかしたら、俺のせいかもしれない。俺が呪われているから、俺のそばにいた慧が死んだのかもしれない。

 そうだ……。俺のせいで……慧は死んだんだ……!

 俺がいなければよかったんだ……。俺がいなければ――――。

「優くんのせいじゃないよ」

 横にいた真名美が呟いた。

 瞬間、やわらかい暖かさが俺を包んだ。

 真名美に抱きしめられていた。

「優くんのせいじゃない……。悪いのはテケテケだよ……」

 気付いたら、俺は大粒の涙をボロボロと零していた。

 

  ■  ■  ■  ■


 慧、金地、奥真先輩、エリス先輩の死は、公には「通り魔事件」ということになっている。

 警察はいもしない犯人を逮捕しようと躍起になっていた。

 俺達は何度も警察に事情聴取を受けたが、俺達の話を聞き入れてくれる人なんていない。

 結局、警察も捜査を諦め、この事件は迷宮入りとなった。

 

 そして夏休みは終わり、学校が始まった。

 あれから都市伝説研究部は活動していない。学校側も今は何も言って来ないでいる。

 重たい足を何とか動かし、クラスメイトが1人いなくなった教室へと、俺は向かった。

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