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都市伝説は、本物だった。  作者: 日向神 命
最終章 タダミネアヤカノキョウフ
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シュウショウ〜タダミネアヤカノキョウフ〜

『────私立青龍高等学校で大量惨殺事件が起きてから、もうすぐ1ヶ月が過ぎようとしています。依然として犯人もその犯行方法も分かっておらず、事件は迷宮入りしています。……そして、青龍高等学校は本日10月31日をもって廃校となることが決定しました──』

 青龍高校のほとんどの生徒・職員が惨殺されたこの事件以来、どのチャンネルもこのニュースで持ちきりだった。

 生徒801人、職員43人がわずか数時間で殺害されたというこの奇妙で残酷な事件は、人々の話題を攫うのに充分すぎるほどの破壊力を秘めていた。

 これだけの大事件が起こり、非難は殺到。ほどなくして廃校の話が上がり、理事会でも満場一致で廃校が決定した。

 事件の異常性から、ニュースはもちろん、ワイドショー、ひいてはオカルト番組にまで取り上げられ、青龍高校大量殺人事件は歴史に残る大事件となったのである。

 もはや、この国にはこの事件を知らない人間はいないと言っても過言ではない状況であった。

 しかも、それだけではない。

 この学校では半年前にも1クラス──生徒39人が死亡していたという事実に、今頃になって気付いたというのだ。

 学校側も、警察も、そして亡くなった生徒の親でさえも、惨殺事件の日まで気付かなかったのである。

 そのとき死亡した生徒の存在を忘れて今まで過ごしていたかのような様子の関係者たち。惨殺事件の直後にふと思い出したように泣き喚き出したのだという。

 そのせいで精神に異常をきたした者も続出し、付近の精神病院の今月の入院者数はこれまでに類を見ないほどの多さだったと報道されていた。

 現在はだいぶ落ち着いたほうだが、当時日本中は大混乱に陥った。

 また、犯人は未だ分からないままであったが、犯人ではないかと疑われている人物が2人いた。

 青龍高校の生徒であった篠崎優と、多田峰()香である。

 理由は、この2人の死亡時刻は当時通報を受けた警察が高校内に突入したのとほぼ同時刻であり、他の被害者の死亡時刻より2時間近く遅れていたこと。そして、2人には他者に傷付けられた形跡は一切無く、その死因は屋上からの心中とみられているからだった。

 また、屋上に近づくほど遺体の数が増えており、彼らの死亡推定時刻から考えると犯人は生徒を殺害しつつ屋上に向かっていたとしか思えないことも理由の1つに加えられる。

 さらに篠崎優に至っては、これまでに彼の周りの人間が何度も死亡していることが発覚したのだ。そしてこれも半年前の件と同様、今まで誰1人気付いていなかったのである。

 しかし、たかだか高校生2人に、果たしてこのようなことができるのであろうか。

 たった数時間で800人以上の人間を殺すなど。

 2人がなぜこのような行動をとったのか。そして本当に彼らは犯人なのか。しばらくの間議論され続けてきたが、真相は誰にもわからない。

 警察内ではあくまで「疑い」止まりであったが、世間では完全に彼らが犯人だとされていた。そのまま事件に進展はなく、今世紀最大の未解決事件としてその名を残すことになった。

 そして────。


 ■ ■ ■ ■


「ねえ、知ってる?」


「今はもう廃校になった高校なんだけど、そこで過去に起きた惨殺事件の犯人が幽霊になって、その高校を彷徨っているんだって……」


「もし出会ったら、その幽霊に惨殺されるって話」


「その幽霊の名は────」




「────死ノ先幽(しのさきゆう)




都市伝説は、本物だった。終

これにて『都市伝説は、本物だった。』完結となります。基本的に飽き性の僕が、こうして最終話まで辿り着けたのは、ひとえに読んでくださった方々、感想をくれた方々のおかげです。最後までお付き合い頂き、本当にありがとうございました。

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