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都市伝説は、本物だった。  作者: 日向神 命
最終章 タダミネアヤカノキョウフ
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ユウジン

 俺が高瀬真名美と大谷慧の2人に出会ったのは、高校生になってからだった。

 両親の事件のことがあって都市伝説研究部に興味を持っていた俺が部室を訪れたとき、たまたま2人もいた、というのが2人との最初の邂逅である。

 2人ももともと面識は無く、同じクラスで同じ部活に興味を持っていたことから繋がったらしい。

 それから俺達3人は、まるで幼い頃から一緒にいた幼馴染のように仲良くなった。

 いつしか俺は真名美のことが好きになっていたのだが、3人の関係を変えることが怖くて何も言えなかった。

 2年生に上がっても、2人とは違うクラスだった。俺は2-G、2人は2-Bだった。

 だが、1学期に多田峰妖香によって2-Gは壊滅。唯一生き残った俺は、他の6クラスの中で最も人数の少ない2-Bに入れられた。

 これが、妖香によって書き換えられていた記憶だった。書き換えられた記憶そのものはもう残っていないが、書き換えられた記憶が消えたという事実は記憶に残っている。頭がこんがらがりそうだ。

 以前自分が2人とどんな関係だと思っていたのかは、今となってはもうわからない。


 ■ ■ ■ ■


「真実を思い出した?」

 妖香が楽しそうに尋ねる。

「なんで……わざわざこんなことを……」

 俺はズキズキと痛む頭を押さえた。

「そのほうが、より君の絶望した顔が見られると思ったから。幼馴染みを失った絶望と、その幼馴染みが偽物だったという絶望。2回分楽しめるでしょう? ふふっ」

 恍惚とした表情で彼女は答える。

「まるで神だな……」

 好き放題に人の記憶を奪ったり植え付けたり、こんなチート能力はいまどきバトル漫画でもそうそう出ない。

「でも、私の力はそんなに万能じゃないよ。記憶を奪ったり植え付けたりするときはその相手の身体に直接触れないといけないし、他人に植え付けることができる記憶は奪ったことのある記憶だけ。自分で都合のいい記憶を創り出して植え付けることはできない。……結構大変なんだよね」

 ならやらなきゃいいだろうと言いたいところだが、きっとそれでもやりたいからやると言うのだろう。

 彼女が道楽のためには労力を惜しまない奴だということは、これまでの会話で嫌というほど実感させられた。

「君は全部知りたいって言ったね? じゃあ、こういうのはどうかな。君が殺した口裂け女────あれはただの人間だよ」

「は……?」

 そんな馬鹿な。口は裂けていたし、都市伝説通り「私、きれい?」と尋ねてきた。鎌も持っていたし────。

 だが、そこで涼太先輩の台詞を思い出した。


 ────大丈夫だ! 見た感じ、こいつは人並の力しか持っていない!


 口裂け女は都市伝説通りなら100メートルを6秒台で走るという。そんな妖怪を相手に涼太先輩は逃げ切れるか? ……否、きっと不可能だ。

 ならば妖香の言ったことは本当なのか。

「嘘じゃないよ。君たちを襲った口裂け女は、人間の女に本物の口裂け女の記憶を植え付けて口を裂いただけ。都市伝説通りの人間離れした能力も持ってなかったでしょ?」

 だったら、俺は────

「────とっくに人殺しだったのか」



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