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都市伝説は、本物だった。  作者: 日向神 命
第3章 ドッペルゲンガーノキョウフ
33/41

シュウショウ〜ドッペルゲンガーノキョウフ〜

 真名美も死んだ。

 そして俺は、すべての仲間を失った。

「真名美……」

 安らかな顔で眠る最愛の人に、俺は無意識に呼びかけていた。沈みゆく夕陽に照らされて、彼女の顔は赤く光っている。

 腕の中で段々と冷たくなっていく真名美の身体を思いっきり抱きしめ、屋上で1人涙を流した。

 夕陽ももうすぐ山の向こうへ隠れようとしていた頃、どこからともなく懐かしい声が聞こえてきた。

「篠崎優……。また君は最後まで生き残ったね」

「誰だ⁉︎」

 辺りを見回すと、屋上へと上がってくるための唯一の階段、ドッペルゲンガーに壊された扉の向こう側から、その声の主はゆっくりと上がってきた。

 その顔は俺も知っている。

 俺たち都市伝説研究部を襲った最初の妖怪・テケテケ。そいつを俺たちの元に呼んだ元凶と言っても差し支えない女。

 多田峰妖香だった。

「なんで……?」

 テケテケのことを知った人間はみんなテケテケに殺される。テケテケのそういう性質が俺たちを襲った原因だというのに、なぜ俺たちにテケテケのことを教えた彼女は殺されていないんだ。

 それに、彼女の服装。

 服のつくりは真名美も着ている青龍高校の女子の制服と同じものだが、白いはずの部分は真っ黒で、水色のはずのラインは紫色になっている。

 そして、先ほどの彼女の、何かを含んだような口ぶり。

「お前は……何者なんだ……?」

 尋ねると、突然彼女は笑いだした。

「あははっ、君はいつも同じことを聞いてくるよねぇ? まあ、記憶が消えても同じ人間だから仕方ないか」

 いつも……? 記憶……?

「何を言っているんだ……?」

 わからないことが多すぎる。

「今回はついに君も力に目覚めて、わたしの力が効かなくなっちゃうし」

 彼女はつかつかと歩いてくると、俺の前でかがんだ。彼女の顔が俺の顔に当たる寸前まで近付く。そしてその唇が言葉を紡いだ。

「君に、最後の種明かしをしてあげよう」

 そう言って、多田峰妖香は微笑んだ。

 

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