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都市伝説は、本物だった。  作者: 日向神 命
第3章 ドッペルゲンガーノキョウフ
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ハンゲキ

 俺逹3人は、電車で青龍高校へと向かっていた。電車に揺られながら、考える。

 ────青龍高校で、大量のドッペルゲンガーが出現している……。

 これも、俺の力のせいなのだろうか。

 俺のせいで今までの怪異が起こっていたのだ、と誠は言った。奥真先輩、エリス先輩、金地、慧、耀人先輩、紅葉先輩、そして、涼太先輩。みんな、俺のせいで殺されてしまったのだ。

 ────俺のせいで……。

 そして今、青龍高校の人達がどんどんドッペルゲンガーに殺されている。いったい何人、いや、何十人死んだのだろうか。

 すべての元凶である俺が、このまま生きていていいのか……?

 何度も何度も、ぐるぐると思考が繰り返されている。

「優くん、しっかりして……」

 気がつくと、真名美が俺の膝を手で押さえていた。俺は震えていたようだ。

「あ、ああ、大丈夫」

 これ以上心配かけたくはなかった。だから、やせ我慢のように俺は自分の頬を叩いた。

「よし。……なあ誠。ドッペルゲンガーを倒す方法は何か無いのか?」

 真名美とは反対に座っている誠に尋ねる。

「テケテケのときのような、呪文などによる倒し方は存在しません。でも、口裂け女のときのように、物理的にダメージを与えることはできると思います」

 と、誠は答えた。

「優先輩。あなたと僕なら、人を殺して成り代わる前のドッペルゲンガーを殺すこともできるはずです」

 2人にしかできないことだというニュアンスを含む言葉に、少し疑問を感じる。それを尋ねる前に、誠はその理由を述べた。

「さっき屋敷でも言ったように、僕らは陰陽師の力を持っている。そして最近ではあなたの力が増している、とも。その力で触れずに滅したりだとか、お札などで封印したりだとか、そのような漫画みたいなことはできませんが、物理的なダメージを与えることによって殺すことはできます」

 さっきの【涼太先輩】のようにね、と誠は言った。

「物理的なダメージを与えるだけなら私でもできるんじゃないの?」

 真名美が尋ねる。すると誠はこう答えた。

「力を持っていない真名美先輩では、少々ダメージを与えることはできても殺すことはできません。以前の口裂け女もそうでしたが、力を持つ者の攻撃のみ妖怪にとって致命的なダメージとなります。しかし、力がない者の攻撃では、そのうち回復されてしまい、殺すことは不可能です」

 つまり、

「優先輩と僕だけは、反撃することが可能です」

 まだ、希望はある。そう思うだけで、俺は少し気分が楽になった気がした。


 ◼︎ ◼︎ ◼︎ ◼︎


 そして俺達は、青龍高校に到着した。ドッペルゲンガーに襲われる生徒達の悲鳴が絶えない。1人でも多くの生徒を助けたくて、俺は正門から走り出した。

 青龍高校に着いたら、まずは昇降口へと向かおう。

 駅からここまでくるときに、3人で話し合ったことだ。真名美は来ても危険なだけなので来るなと言ったのだが、付いてくると聞かなかった。誠が「また優先輩が暴走したときに止めてくれる人が必要でしょう」などと言って後押ししたので、仕方なく付いてくることを許可したのだ。

「────助けてくれぇッ‼︎」

 前方から助けを求めて走ってくる男子生徒がいた。その数メートル先には、彼と同じ顔の人物────ドッペルゲンガーが彼を追っていた。

「いま助ける!」

 俺は走りながらポケットからナイフを取り出す。このナイフは、誠の家から持ってきたもので、電車の中で誠に渡された。少々心許ないが、ドッペルゲンガーと戦うための武器だ。俺は右手でしっかり握ると、彼の後ろを走るドッペルゲンガーの胸に突き刺した。グシュリ、とでも言い表せばよいだろうか、そんな音と嫌な感触と共に、ナイフはいとも簡単に深々と肉を貫いた。

 すると、ドッペルゲンガーは声も無く消失した。

 あのとき────涼太先輩が殺される前、俺がこんな風に戦っていたら、涼太先輩は死なずに済んだかもしれないのに。

 後悔の念が脳裏をよぎるが、今の俺にはどうしようもないことだった。

「成り代わる前のドッペルゲンガーは声を発することはできず、殺すと消失するのか」

 またも冷静に分析している誠。真名美は男子生徒にもう大丈夫だと声をかけていた。

 ────さあ、人間側の反撃を始めるぞ。

 俺は本当にドッペルゲンガーを倒すことに成功したことにより、自信がついていた。

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