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都市伝説は、本物だった。  作者: 日向神 命
第3章 ドッペルゲンガーノキョウフ
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ソウグウ

 翌朝。メールに添付されていた地に訪れるために準備をしていると、玄関のチャイムが鳴った。

「優くーん」

 真名美の声だ。俺はリュックを背負うと、玄関へと向かう。

「おはよう」

 ドアを開けて真名美に挨拶すると、真名美も元気に挨拶を返してくる。

「おはよう!」

 挨拶を終えると、ガチャリ、とドアに鍵を掛け、ちゃんと閉まっているか確認したあと真名美に声をかける。

「じゃ、行くか」

 そして俺達は、まだ薄暗い中、駅に向かって歩き出した。駅までは10分とかからない。現在は5時20分くらいだ。 始発の電車は午前5時35分。この季節は日の出が遅いため、まだほとんど明るくないのである。

 よくよく考えてみると、先輩はどうして始発電車で行こうと言い出したのだろうか?

 もう少し遅くても問題はないと思うけど……。あとで尋ねてみようかな。

 ふと、俺は右手に強く握られている感触があることに気付いた。見ると、真名美の左手が俺の右手を強く握りしめていた。そして、よく見ると真名美は震えていた。

「ど、どうしたんだよ?」

 俺は真名美に訊く。すると、真名美は前を指差した。

「あれ……」

 前方には人が立っていた。顔は暗くてよく見えない。しかし、何かを持っているわけでもなく、別段普通の人にしか見えない。

「あの人が、どうかしたのか?」

 だが、その人がこちらに近付いてきて街灯にその顔が照らされたとき、俺も異常に気が付いた。

「涼太先輩……⁉︎」

 そこにいたのは、涼太先輩なのである。

だが、涼太先輩は俺達が乗る駅の次の次の駅で乗ってくることになっている。つまり、ここで出会うはずがないのだ。ならば───

「まさか……ドッペルゲンガーかよ…ッ‼︎」

 俺は真名美の手を引き、来た道を走って戻り始める。

  少し戻ったところから右折し、別ルートで駅へと向かうためだ。

 ただ、このまま追われて涼太先輩に逢わせてしまうといけないと思い、細い路地裏や入り組んだ道を通って走り駅を目指した。

 数分後、2人は駅に辿り着いた。急いで切符を買い、ちょうどやってきた電車に乗り込む。

「はぁ……はぁ……。よかったな、少し早く家を出てて」

 もしもギリギリに家を出ていたら、この電車には乗り遅れていただろう。

 俺は5分前行動の大切さを思い知った。

「涼太先輩にも、このことを伝えないとな」

 そう呟いて、俺は涼太先輩にメールする。

「始発って、全然人がいないんだねぇ……」

 真名美は呑気に電車を見回していた。満員かそれに近い人数が乗っている普段と違い、人気の無さが寂しさと不安を感じさせる。

 まあ、土曜日の午前5時半過ぎだ。そんなに人はいなくても不思議ではないだろう。

 このまま何事もなく、目的の地まで行くことができればいいのだが……。

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