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都市伝説は、本物だった。  作者: 日向神 命
第3章 ドッペルゲンガーノキョウフ
20/41

トウコウ

 真名美と共に遊園地に行った翌朝。

 俺は久しぶりに登校した。約1週間ぶりの学校は──当たり前なのだが──俺がいない間に授業は進み、何事もなかったかのように1日が過ぎていった。

 休んでいて授業に全くついていけない俺は、頬杖をつきながら適当に先生の言葉を聞き流していた。

 幸いにも、今日は一度も指されなかったので、他のことばかりを考えていた。

 みんなから消えた4人の記憶。

 送られてきたメール。

 涼太先輩が話したいこと。

 そして、つい一週間前に燿人先輩と紅葉先輩が校内で惨殺されたというのに、先生も生徒も普段と全く変わらずに授業をしていることについて、とても違和感を感じえない。

 違和感を感じてるのは俺だけなのだろうか……?

 考えたところで何も分からず、ただ時間が過ぎていくだけだった。


 ◾︎ ◾︎ ◾︎ ◾︎


 放課後。俺は真名美と一緒に都市伝説研究部部室へと向かった。

 ドアを開けると、すでに涼太先輩がソファに座っていた。もう1人の部員、石田誠は来ていないようだ。

「揃ったようだね。じゃあ、話を始めよう」

 まだ誠が来ていないのに始めようと言い出した先輩に、俺は尋ねる。

「誠は? まだ来てないみたいですけど」

 すると、先輩は残念そうに答える。

「ああ、誠なら今日学校を休んでいるらしい。どれだけ待っても来ないよ。この話は全員にしておきたかったんだけどね……」

 それを聞くと、俺と真名美は先輩の座っているソファとは反対側のソファに並んで座った。

「で、話っていうのは?」

 俺が切り出すと、先輩は真剣な顔をして話し出した。

「最近、というか一昨日くらいからかな…? この学校の生徒の偽物が度々目撃されているそうなんだ」

「偽物……ですか?」

 真名美が鸚鵡返しに聞く。

「ああ。本人がいる場所とは全く別の場所でその人が目撃された、という話が、俺が聞いただけでも12件ある。それも学年・クラス・部活動を問わず、別々の人からほぼ同時に、だ」

 学年・クラス・部活動を問わず、ということは、その12人が結託して俺達を騙そうとしている確率はないだろう。

 それにそれほど多くの人からの情報であれば、信憑性も高い。

「見間違い、とかの可能性は?」

 俺は口を開く。

「それはないと思う。みんな、『あれは絶対に見間違いなんかじゃない』と口を揃えて言っていた」

 少し間を空けて、涼太先輩は言った。

「この件、俺はドッペルゲンガーじゃないかと思っている」

 俺達は、今までに2つの都市伝説に遭遇している。テケテケのほうは何故か誰も覚えてないみたいだが、少なくとも口裂け女の存在は目の当たりにしている。都市伝説は本物であるということを知っているからこそ、先輩はこう推測したのだろう。

「ま、これが俺の話したかったことだ。2人とも気をつけろよ? この事件は青龍高校全体で起こっているようだから俺達の偽物が目撃される可能性もあるし、それが本当にドッペルゲンガーなら自分と遭ってしまったら死ぬという話だからね」

 では、と先輩は立ち上がる。

「今日の部活は、早いけどもう終わりにしようか。明日は始発の電車で地図の場所に向かおうと思う。何があるかわからないから、しっかり休んでおくんだよ。僕も今日話すことについて考えてたら、今朝遅刻しちゃってさ」

 と、自嘲気味に笑いながら鞄を持つと、ドアに近付きドアノブを握る。

「あ、そうそう」

 思い出したように先輩は言った。

「明後日の文化祭だけど、あんなことがあったから俺達は参加しないことにしたよ。じゃ、また明日」

 先輩は手を振り、ドアの向こうに消えていった。

 ガチャン、とドアが閉まる。

「俺達も、帰るか」

 俺が言うと、真名美は答えた。

「うん、そうだね」


 地図の場所に行くことで、何か謎が解けるかもしれない。そう思うと、自然と気持ちが高揚した。

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